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ALI PROJECT「POISON」(2009)

01.Poisoner
02.処女懐胎、あるいは白骨塔より少女たちは飛翔する
03.お毒味LADY
04.阿芙蓉寝台
05.極色一代女
06.Animals on the Earth
07.上海繚乱ロマンチカ
08.世紀末ゲネシス
09.この國の向こうに
10.discipline [instrumental]

全曲作曲:片倉三起也
編曲 01~04、06~08:片倉三起也/05:斉藤暁/09、10:平野義久
ストリングスアレンジ 01、03、04、06:渡辺剛
コーラスアレンジ 04、08:平野義久


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ボーカル:宝野アリカ、作曲:片倉三起也によるユニット「ALI PROJECT」が2009年にリリースした、メジャー通算10枚目になるオリジナルアルバム。タイトルはフランス語読みで。複数のレコード会社からリリースしている関係か、ここ数年、オリジナルアルバムは全曲新曲、シングルリリースが貯まるとベスト盤発売と言う形が続いていますが、近作も収録曲は全て新曲となっています。

以下各曲について。

01.Poisoner
ここ数作アルバム1曲目では、シングルタイトル曲っぽい激しいメロディアスな曲が入っていましたが、今回はストリングスとデジタル音の乱舞する曲調ながら、若干ダークで曲展開が複雑になった印象があります。サビでの爆発力はそんなにないのですが、早口の歌メロは健在。初聴での印象はちょっと薄かったのですが嫌いではないです。しかし「喝采トクシコロジー」ですか…w

02.処女懐胎、あるいは白骨塔より少女たちは飛翔する
しかし凄いタイトルw スリリングなストリングスから始まる、こちらもダークでプログレ要素のあるデジタルチューン。サビでは儚げに歌い上げています。ストリングスが曲全体に緊張感を与えている感じがします。こちらも最初に聴いた時はちょっと印象薄かったかな。

03.お毒味LADY
前曲にも増して緊張感のあるストリングスが印象的な、ちょっと和風なメロディーも出て来るアップテンポな楽曲。シングルとは違った方向で和ゴスな雰囲気ながらも、急いだ感じのリズムに軽快な印象も感じさせられます。要所要所で鳴るシンセも好み。

04.阿芙蓉寝台
大仰なストリングスをバックに歌うバラード。Bメロの盛り上がりからサビでの力強く歌い上げる展開がツボです。後半から入る男声コーラスで壮大さがアップするのもたまりません。歌詞も合わせて濃ゆい1曲。

05.極色一代女
ド頭からびっくりしました。ジャズかよ!? と。前作「禁書」ではツタツタメタルチックな曲が入っていて驚きましたが、今回は意外性では更に上を行った感があります。歌謡スイングジャズ? に完全になっていて、アリプロを知らない人がこれを聴いたら、絶対そっち方面のバンドだと思う事間違い無しかと。Dillettante収録の「昭和恋々幻燈館」とはまた違った方向で初期昭和臭を感じた曲でした。何気に今作では一番好きかもしれません。メロディーもキャッチーなので聴き易さも一番でしょうか。

06.Animals on the Earth
4、5年前のシングルタイトル曲を思い出す、打ち込みリズムとストリングスが前に出た、サビで爆発する早口メロディアスな曲で、普通にツボなのです…が! 何だろうこの不自然なまでに健康的な歌詞は。アルバムタイトルが「Poison」な事もありわざとやっているとしか思えませんがw 実は凄くエグい意味が隠されていたらどうしよう…。ある意味衝撃度は一番高かったかもしれません。自分のように「月蝕グランギニョル」辺りから入った人には取っ付きやすい曲ではないかと。

07.上海繚乱ロマンチカ
ショッキングなストリングスから始まりますが、Aメロがちょっと可愛いらしい印象もうけるミドルテンポの曲。すぐに妖しくなりますが。タイトルに引っ張られているのかもしれませんが、サビ終盤のメロディーにチャイナな匂いを感じます。全体的には結構淡々とした印象の曲でした。

08.世紀末ゲネシス
イントロのデジタル音バックに歌う濃いコーラスからもう陥落しました。ゴシック感溢れるダークな曲。曲全体に入っているコーラスと高音のボーカルが雰囲気出しまくっています。暗くドロッとした曲調ながら、神々しさも感じる曲になっています。個人的には今作中一番どっぷりはまれる曲。

09.この國の向こうに
ラスト2曲は、ここ数作のオリジナルアルバムで続いている、ストリングスをメインにしたバラード&それを基にしたインスト、という構成。クラシカルなメロディーですが、和の要素も感じられるバラードになっています。聴き手に向けたメッセージ性もやはり強めな印象。この手の曲は毎回恒例になっている感もありますが、最後の締めには向いているのでしょう。

10.discipline [instrumental]
前曲のメロディーを基にしたインスト。重厚なチェロから始まり、物悲しい雰囲気のメロディーを弾くチェンバロをメインに展開する、クラシカルな曲になっています。こちらのバージョンも好み。

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タイトルが「毒」ですが、このアルバムで言うなら割と遅効性の毒物でしょうか。シングルタイトル曲のような強烈なメロディーを前に出した曲はあまりなく(まあ今年になって出たアリプロのシングルは、現時点でまだ聴いていなかったりますが)、ダークに寄った曲が多いように感じました。6曲目みたいなのもありますが、このアルバムの中で見ると寧ろ変化球に思えます。この辺りをスルメと見るか、印象に残らないと見るかで好みは分かれるかもしれません。個人的には今回、シングルタイトル曲の流れを少し外した曲に好みを感じました。最近のシングル曲から知ったは、シングルコレクションか前作・前々作から聴いた方が良いかもしれません。ダークなアリプロが好きな人にはお勧めです。

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