谷山浩子「テルーと猫とベートーヴェン」(2006)

01.竜
02.テルーの唄
03.数え唄
04.旅人
05.空の終点
06.素晴らしき紅マグロの世界
07.雨のアタゴオル
08.人生は一本の長い煙草のようなもの
09.夢のスープ
10.ポプラ・ポプラ
11.かおのえき
12.偉大なる作曲家 Decomposing Composers

作詞 01〜05:宮崎吾朗/06〜11:谷山浩子/12:Michael Palin(訳詞:谷山浩子)
作曲 01〜11:谷山浩子/12:Michael Palin
全曲編曲:石井AQ、谷山浩子


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70年代から長く活動している谷山浩子の、2006年にリリースされたオリジナルアルバム。自分に近い年代ですと「まっくら森の歌」をみんなのうたで聴いて心に大きな傷を負った人が多そうな気がしますがw(とても良い曲なんですよ)、自分がこの人の曲をきちんと聴き始めたのはここ1年程になります。
Wikiによると通産33枚目のアルバムだそうですが、前半5曲が手嶌葵のアルバム「ゲド戦記歌集」に提供した曲のセルフカバー、6曲目から9曲目がますむらひろしの漫画「アタゴオルは猫の森」をテーマにしたライブで歌われた曲になっています。

以下各曲について。


01.竜
重厚で壮大な雰囲気のあるスローバラード。手嶌葵の方はこの曲がオープニングではありませんでしたが、この凛とした感じは1曲目としても相応しい気がします。アレンジは個人的に谷山バージョンの方がゴージャスになっていて好きです。ゲド戦記関連曲の全体に言える事なのですけれど。

02.テルーの唄
世間的には手嶌葵バージョンが広く知られているゲド戦記の挿入歌。物悲しさと懐かしさを持ったスローバラードになっています。手嶌バージョンは硬質でシンプルなアレンジでしたが、こちらはボーカルとアレンジの所為か、広く包み込むような音作りになっている印象があります。間奏の笛が哀愁を出していてツボ。

03.数え唄
文字通り数を数え上げながら歌う短めの曲。手嶌葵のアルバムではオープニングに使われていますが、自分もこの曲はアルバムの頭に持ってきた方がしっくり来るような気が。構成が被るのを避けたのかな? ちょっとした小休止的な曲、といった感じもします。

04.旅人
こちらも壮大な感じの曲ですが、終始哀愁のある歌メロがひたすらツボです。この手のメロディーは大好きなので悶えまくりw ちょっと歌詞運びに違和感というか、所々モタつく印象があるのですが(宮崎作詞曲全体に感じる事でもあるのですが)、それを差し引いてもゲド戦記曲では個人的に一番な曲ですね。バックの笛(バグパイプ?)のメロディーもたまりません。

05.空の終点
ほのかに明るさを感じるアルバム前半の〆っぽい雰囲気のバラード。エンディングっぽい感じもあるかな。個人的に映画自体の方は…な印象でしたが、この関連曲はかなり気に入っています。後でゲド戦記歌集も聴いたりしましたし。取りあえずアルバムA面はここで終了、と言った雰囲気があります。

06.素晴らしき紅マグロの世界
ここからアタゴオルサイドに入りますが…シリアスな前半とのギャップがw アタゴオルの主人公ヒデヨシが、好物の紅マグロへの思いを綴ったと思われる、ユーモラスな行進曲といった感じの曲。それにしてもこの流れで聴くとインパクトが半端無いです。一度聴いたらしばらく耳から離れないでしょう。
この曲聴くと紅マグロを一度食べたくなってきますが、壁とお風呂まで魚にするのは勘弁してw

07.雨のアタゴオル
可愛らしさと柔らかさ、あとちょっと冷たさも感じる、ゆったりとしたポップな曲。アタゴオルがファンタジー世界の日常を主に描いているからか、原作の雰囲気を多く感じられる曲になっていると思います。

08.人生は一本の長い煙草のようなもの
物悲しいメロディーのピアノが前に出たバラード。この曲を聴く度、切ないメロディーに涙腺が緩みそうになります。間奏のリコーダーソロにも、ダメ押し的な哀愁を感じます。

09.夢のスープ
アタゴオル編ラストの曲ですが…ポロポロと少しずつ崩れていくような不安感を煽るピアノ、左右に分けられた儚い印象のボーカルとホラーな印象の歌詞、不意に入る子供の笑い声…ぶっちゃけ怖いですw サビではちょっと明るくなるのがまた違和感を感じるというか。実際原作読むと夢のスープ自体は別に怖いイメージはそんなに感じないのですが…。紅マグロとは全然違う方向で印象に残る曲ではないでしょうか。

10.ポプラ・ポプラ
森山良子に提供した曲のセルフカバー。ストレートなスローバラードといった趣の曲なのですが、歌詞から感じられる「昔の少女漫画の様な世界」と「大人になってからその時期を振り返っている」感じに、男の自分でも胸が締めつけられる様な感覚を覚えます。素直な曲だけに余計にそう感じられるのかもしれません。
この曲がアルバムのラストなら凄く綺麗に終わりそうなのですが…。

11.かおのえき
で、次曲がこれかよ! とw アラビアンな感じのメロディーが前に出たアップテンポな曲。「毛穴に種まき二毛作」など電波感も全開です。もうこれはこの曲が発する電波に身を任せるのが正解なのでしょう。純粋に聴いてて楽しいですし。…で「かおのえき」は何処にありますか? え? 私の後ろ?

12.偉大なる作曲家 Decomposing Composers
ピアノメインの穏やかなバラード。モンティ・パイソンのカバーという事ですが原曲は未聴。過去の著名な作曲家へ捧げた曲…なんですよね? ただこの訳詞を見る限り、何故この曲をカバーしようと思った!?(しかもアルバムラスト)と問いたいw この可愛らしいボーカルでサビが「腐敗して〜溶け〜て〜」なのが逆に怖いです。そしてこの曲のキモは終盤の男性による語りパートなのかもしれません。「――黙った」には笑いました。

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改めて聴いてみると、かなりカオスな構成になっている印象がありますが、割と、いやかなり聴き易いのは、やはりメロディーが立っている曲が多いからなのかもしれません。前述したようにゲド戦記関連曲のA面、それ以降がB面として聴くとしっくりくるかなと。ちょっと変わった、しかし良質なポップアルバムになっていると思います。

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