メガマソ「涙猫」(2006)

01.涙猫
02.伍式融天マゾチー
03.ダーシャード人の踊り
04.a morning ray is cold
05.サスクワッチランカー
06.脂肪の塊

全曲作詞・作曲・編曲:涼平

発売日:2006/12/06
品番:NXSI-0011


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2006年に彩冷える(アヤビエ)を脱退した涼平が、同年に結成したバンド「メガマソ」。結成当初のメンバーはインザーギ(ボーカル)、涼平(ギター)、Gou(ベース)、優太(ドラム)でしたが、2007年に優太が脱退して以降は3人で活動を続けています。彩冷えるで殆どの曲の作詞作曲を手掛けていた彼がバンドを抜けた事に当時は驚きましたが、そこから間髪入れずに新バンド結成、音源リリースという流れにも驚くやら安心するやらだったのを覚えています。脱退時に複雑な思いを持ったファンも少なからず居たかもしれませんが、残された彩冷えるのメンバーも涼平在籍時とはまた違う独特の方向に進み、2009年にはどちらのバンドもメジャー進出、これを書いている時点(2010年3月)では少し前に両バンドともメジャー1stアルバムをリリースしたりと、取りあえずは順調に活動が出来ているみたいです。
今回紹介するのは、そのメガマソの初音源にあたる1stミニアルバム。彩冷える在籍時の涼平の特徴として、V系の王道っぽい要素と涼平節とも言える独特のメロディー回しがあったように思うのですが、今作でもその流れを引き継いだようなメロディーが楽曲の中で大いに発揮されている感があります。脱退前の彩冷えるの音源の特徴だった、妙にこもった音質も引き継いじゃったのはどうなのよと思ったりもしますが(苦笑)。

以下各曲について。


01.涙猫
打ち込みのリズムのイントロから一気にサビへと展開する、アッパーでメロディアスな楽曲。ボーカルが葵ならそのままアヤビエの曲になってしまいそうな、V系的な展開と、サビメロやギターソロでの涼平のメロディーセンスが混在した、涼平色の強さが分かりやすい楽曲になっており、初音源の1曲目としてこのバンドの色を伝えるには最適の曲と言えるのではないでしょうか。インザーギの声はヴィジュアル系ボーカリストの中では普通のポップス寄りと言うか、結構ライトな印象を受けましたが、アヤビエよりこちらの方が受け入れやすいと思う人もいるかもしれません。歌詞は相変わらずヘンテコですが、涼平のバンド活動への決意表明とも取れるものになっています。

02.伍式融天マゾチー
アヤビエ時代の曲「マゾチ-三月に見た夢の再構成-」のメガマソによるリメイクバージョン。歌詞は英詩になっています。構成にあまり大きな変更はありませんが、原曲よりも音がヘヴィになっており、ボーカルにもエフェクトがかかっている箇所が多いため、全体にハードになった印象があります。歌詞が直接頭に入ってこない分、原曲のキテレツさは薄れたと言うか、当時から出て来るようになったヘヴィ・モダン寄りのV系っぽいかもしれません。

03.ダーシャード人の踊り
ちょっとチープなシンセの音が前に出た、ポップな曲。譜割りによって、ただでさえ良く分からない歌詞がズタズタになって(特にAメロ)、まぁ脳がウニウニすることw 個人的にアヤビエが「鉄の島」をリリースした辺りの音に近いものを感じ結構好きだったりします。

04.a morning ray is cold
和風のメロディーが心地よいスローナンバー。と言っても分かりやすく和風なのはBメロくらいで、全体的には涼平風の和メロといった感じですが。アルバムの中ではちょっと地味かもしれませんが、サビメロはメジャー向きの明るさを持っています。

05.サスクワッチランカー
マズいあまり言う事がなくなってきたw嫌いじゃないんですけどね。こちらはV系王道らしい疾走チューンでキャッチーなサビも印象的です。今作中ではV系初心者には最も入りやすい曲になっている気がします。しかしテリって誰なんだろう…。

06.脂肪の塊
ザクザクしたギターが前に出た、Aメロの独特なメロディー運びが耳に残るヘヴィ寄りの楽曲。しかしサビでは一気にメロディアスになる展開や、オリエンタルっぽさを持ったギターソロに涼平色を感じます。こちらも1曲目同様、涼平脱退前のアヤビエが好きな人はすんなり気に入るのではないでしょうか。

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このミニアルバムを聴いて改めて思う事は、涼平が在籍していた時のアヤビエは疑いなく涼平バンドだったのだな、という事でした。それ位アヤビエで彼が展開していた楽曲の世界がこちらでも表現されており、正直涼平がアヤビエの看板を引き継げば良かったんじゃ…とまで思ったものでしたw(それじゃダメだったから脱退したのでしょうけれど)。
基本的にアヤビエを追ってきた人にはお馴染みの曲調が続き、個人的には1曲目のインパクトがかなり強かったがために、曲が進むにつれそのテンションが維持出来ているかちょっと微妙だったりもしますが、逆に言えば、アヤビエ在籍時の涼平の曲が好きだった人には安心して聴くことが出来る良アルバムになっていると思います。ただ、私自身はこの音源より後、今の所シングルを散発的に聴いているくらいなので、現在のメガマソの楽曲の傾向についてはあまり言えなかったりするので、今回の感想もそれくらいの信憑性という事でひとつ…w(最近になって「BLESS」や「chimes」を聴きましたが、またちょっと変わってきているかな? という感じを受けました)
最初に述べたように音質だけがちょっと残念ですが、涼平在籍時のアヤビエのファンは勿論、王道ながらちょっと独特のポップセンスを持ったV系バンドが好きな人にはお勧め出来るかもしれません。

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