Cocco「エメラルド」(2010)

01.三村エレジー
02.ニライカナイ
03.蝶の舞う
04.Spring around
05.玻璃の花
06.4×4
07.のばら
08.十三夜
09.Light up
10.クロッカス
11.Stardust
12.あたらしいうた
13.カラハーイ
14.絹ずれ〜島言葉〜

全曲作詞:Cocco(方言指導 14:真喜志勉)
全曲作曲:Cocco
編曲 01、06、10:Curly Giraffe、Cocco/02、09、11、13:根岸孝旨、Cocco/03:teamきらきら/04、07、:RYUKYUDISKO、Cocco/05、12:Cocco/08:Mine-Chang、Cocco/14:堀江博久、Cocco
弦編曲 13:弦一徹

発売日:2010/08/11
品番:VIZL-389(初回盤)/VICL-63648(通常盤)


***

Coccoの7thアルバム。初回盤にはアルバム未収録曲を含む、シングル曲のPVが入ったDVDが付いていますが、私の手元にあるのは通常盤になります。
本作からセルフプロデュースとなり、曲毎に多くの人と共同で編曲を行なっている為か、非常に音作りの幅が広い印象のアルバムとなっています(自分が復帰一枚目の「ザンサイアン」から、一気に飛ばして本作を聴いたせいもあるとは思いますが)。

以下各曲について。


01.三村エレジー
オープニングは、アコギとサクサク乗った打ち込みが前に出たポップチューン。全体的に抑えめな雰囲気ですが、Bメロに入るとコーラスも入り壮大さも感じます。歌詞は沖縄ことばをメインにしていますが、英訳の方を読むと、結構シリアスな題材を扱っているのが分かります。ブックレットによると三村節を取り入れているそうで。

02.ニライカナイ
16thシングルタイトル曲。
Coccoのシングル曲っぽい? ヘヴィなロックサウンドに広がりのあるボーカルが乗った曲となっていますが、男声の語りが挿入されたり、沖縄民謡調のコーラスや太鼓が全編にわたって前に出ていたりと、かなりエネルギッシュな印象を受けます。自分のような熱心に活動を追っていない人にも入りやすく、且つ変化も感じられる曲なのではないかなと。

03.蝶の舞う
こちらも一度活休に入る前のCoccoのパブリックイメージにありそうな、ヘヴィなバンドサウンド+ピアノと力強く歌い上げるボーカルの取り合わせとなっています。こちらの方がスローテンポなせいか、重ためというかドロッとした雰囲気を感じますが、唄メロ自体は前に出ているので、そんなに聴き疲れはしないのではないでしょうか。

04.Spring around
イントロからピコピコしたデジタル音+ダンサブルなアレンジで、初聴時はぶっ飛ばされました(前曲との落差もあって)。でもこのキラキラ感が、ボーカルとあっけらかんとした少しエロい歌詞に合うのですよ、本当に。こちらは編曲とプログラミングを担当したRYUKYUDISKOの色が出ているのかな? 考えてみれば、活休前の音は根岸孝旨の色が濃く出ていたのでしょうけれどね。こういう音になっても別ジャンルに聴こえない辺り、やっぱりメロディーの力は凄いなと。

05.玻璃の花
フワッとしたシンセが透明感を演出している、穏やかながら壮大なバラード。ボーカルもスコンと突き抜けながら伸び伸びと歌っている様に思います。

06.4×4
前半はほぼアコギとボーカルのみで進行する、シンプルなミディアムバラードですが、歌詞のせいもあってか、前曲よりも物悲しい雰囲気を強く感じます。中盤からピアノや薄いシンセも入り徐々に盛り上がっていきます。バラード続きですが、あまりまったりした感もないのは、2曲の方向が対照的だからかな? とも思ったり。

07.のばら
そしてこちらもRYUKYUDISKOが参加し、Spring aroundよりも更に突き抜けた感のあるキラキラダンスチューン。「わぁ〜お〜〜」のコーラスが妙に癖になったり、早口でいろは唄が入ったりと、ユーモラスな部分も強く感じますが、歌詞はあまり深追いすると、ハートフルボッコな事態になりそうなのが怖い。いや本当に大好きですこれ。

08.十三夜
で、今度はR&B調アレンジ! ちょっとラップっぽい歌い方も入ったりとする辺り、本作はマジでただ者ではない…w ただこちらはサビに入ると、沖縄民謡コーラスも交えた、壮大なバンドサウンドに移行するので、ニライカナイ同様、良い具合にイメージを壊せている気がします。
自分の書き方だと随分カオスな曲みたいですが、凄く聴きやすいアレンジだと思いますよ。

09.Light up
哀愁を感じさせるピアノと歌メロが印象的な、ちょっとレトロなワルツ調の楽曲。バックのギターやフルートもクサいメロディーを奏でています。うらぶれた雰囲気から、終盤にかけて感情的に盛り上がる展開もツボ。

10.クロッカス
アコーディオンとピアノの音に優しい印象を受ける、こちらも3拍子のポップナンバー。ボーカルもほわんと包みこむような歌い方をしており、聴いていてこちらも穏やかな気分になりますが、その歌い方で「何か言いたいのならば表へ出ろ 何も知らずかわいそうな輩ども」とサラッと言われるとドキッとしたり。2分半弱なのが食い足りない程に、メロディーがスッと耳に入ってきます。

11.Stardust
キラキラしたピアノから始まる、明るく壮大なミディアムポップナンバー。クロッカスの方向を更に進め、シングルタイトル曲になってもおかしくなさそうな、無駄のない展開とキャッチーさ、良い意味で癖の薄い入りやすさを持った、終盤の盛り上がりドコロだと思っています。この曲ライブで聴いたら凄そうだなあ…。

12.あたらしいうた
ある意味、本作中最も衝撃的だったかもしれない、どストレートで弾けたメロディックパンクナンバー。音も(自分の素人耳の判断ですが)ラフに作ってあるように聴こえますし、ちょっと力を抜いて作られた曲だったのかもしれません。サポートメンバーも、他の曲のクレジットから判断するに、この曲だけパートチェンジしてたりするのかな? Stardustとカラハーイの間にこれ、という所も挑戦的な気がしますw

13.カラハーイ
打ち込みのリズムを前面に出した前半に、デジタル民謡? と思っていると、サビで一気に(本当に一気に!)、爽やかなストリングスを乗せキャッチーに展開するのに驚かされた、民謡要素とダンサブルな色が融合したような、でもちゃんとポップな楽曲。終盤のストリングス・打ち込み・三線が入り、過剰なまでに盛り上がる展開もたまりません。

14.絹ずれ〜島言葉〜
15thシングル「こっこさんの台所CD」に収録されていた曲の島言葉バージョン。シングルバージョンを聴いていないので聴き比べは出来ませんが、こちらはCoccoのシングル曲っぽい、壮大さを持ったロックナンバーになっていると思います。終盤に民謡調のコーラスが入り盛り上がりを見せます。このラスト2曲で相当お腹一杯にさせてくれますよ。

***

Coccoはヘヴィなバンドサウンドしか認めない! という人が本作を受け入れられるかまではちょっと分かりませんが、基本は歌メロを前面に出しているので、そういう意味ではずっとブレは無いのかなと思っています(上にも書きましたが、その辺りの音作りは根岸孝旨による功績が大きいと思いますし)。
アレンジ陣の色がかなり強く出たのか、1曲1曲の振り幅が広いアルバムになっている印象ですが、かと言ってオムニバス的という事でもなく、あくまでCoccoのアルバムとして楽しむことが出来ました。出身や中の人の部分から語られている事が多い印象も大きいですが、純粋にポップアルバムとして、かなりお勧めなアルバムになっていると思いますよ。

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ニライカナイ/琉球國祭り太鼓振り付け全編バージョン