Kaya「QUEEN」(2011)

01.Arachne
02.Nouvelle Mariee
03.Awilda
04.Ophelia
05.Sorciere
06.Sugar Rose ※通常盤のみ収録
07.Rose Kingdom
08.Medusiana
09.Last Snow -piano ver.-
10.Addict
11.Transmigration

全曲作詞:Kaya
作曲 01:Hiro/02:匠-TAKUMI-/03、06、07:KALM/04、08、10、11:Hora/05:RIU/09:Kei Suzuki
編曲 01〜08、10、11:Kei Suzuki/09:Tetsuro Sugiura

発売日:2011/04/20
品番 初回盤:DDCZ-1748/通常盤:DDCZ-1749


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Kayaのメジャー1st、通算2枚目のオリジナルフルアルバム。間に1st「Glitter」を基にしたインディーズベストや(タイトルは同じくGlitter)、シャンソンをカバーしたミニアルバムがリリースされていましたが、オリジナルは約4年半振りと、V系界隈でなくともそこそこ間が開いている印象。
本作にはKalmやShwarz Stein時代の相棒Hora(最近一日復活しましたね)らに加え、元RENTRER EN SOIの匠、メトロノームのリウが1曲ずつですが提供をしています。

以下各曲について。


01.Arachne
浮遊感のあるコーラスから幕を開ける、儚げな雰囲気のバラード。ボーカルも、この後続く楽曲の力強い歌唱に比べると、幾分掠れさせたような歌い方をしており、楽曲の空気に合わせた声になっているのではないでしょうか。前作「Glitter」収録の「Hydrangea」を思い出させる雰囲気モノ寄りの楽曲ですが、イントロを含め何度か登場する中東っぽさを感じる旋律や、不協和音を感じるピアノソロなど、おっと思う所も。

02.Nouvelle Mariee
イントロのクッサいシンセから濃さを感じる、トランシーなメロディアスチューン。
トランス寄りの音作りにキャッチーな歌メロを乗せるというのは、これまでのKayaにとっても王道かと思うのですが、ここまで歌謡曲寄りのメロディーは珍しいかもしれません。ギラギラしたサウンドやクサいサビ、間奏のクラシカルなオルガンソロと、2曲目からそのクドさに嬉しい胸焼けがしてきますよ。楽曲提供者の匠が在籍していたリエントはそこまで聴き込んでいなかったのですが(シングルとアルバムが1枚ずつ手元にあるけど)、今更ながら聴き直してみたいと思わせられる楽曲でした。

03.Awilda
8th(メジャー4th)シングルタイトル曲。
勇ましいシンフォニック音が印象的な、アッパーなダンスチューン。歌詞のモチーフが(実在した"らしい")女海賊ということもあってか、歌い方含めて耽美さと力強さの両立を感じる楽曲となっており、一度音数を減らしてからバキバキとしたリズムを乗せ盛り上がるサビ→そのまま疾走する大サビという展開がツボです。

04.Ophelia
7thシングルタイトル曲。
物悲しいピアノのフレーズが耳に残る、冷たい印象のトランスナンバー。と言っても基本的に歌メロはキャッチーなので、取っ付き易い曲にはなっていると思います。こちらは曲調はアッパーながら、(これも歌詞のテーマに引っ張られているのかもしれませんが)水の底に沈んでいくような悲しさと透明感を感じました。また個人的には、Schwarz Stein時代の楽曲「Current」を思い出したりも…あちらのモチーフは人魚姫でしたが。

05.Sorciere
基本デジタル寄りの楽曲を歌っているKayaですが、この曲はリウの提供ということもあってか、ザクザクしたギターや打ち込みらしい打ち込みサウンドが前に出た、跳ねたデジポップナンバーとなっています。一部ボーカルにエフェクトがかかりますが、そちらも無機的に聞かせてくるような印象が。
と言っても、軽やかな歌メロやエロティックな歌詞もあってか、極端にアルバム内で浮いているという感じもなく、中盤の良いアクセントになっているのではないでしょうか。

06.Sugar Rose
通常盤のみ収録。
ベースのメロディーのせいか、ちょっとジャズっぽさも感じるライトなポップナンバー。他の曲に比べるとギラギラ感が抑えめに感じるからか、パッと聴きの印象は薄めでした。が、前述のジャジーな雰囲気からサビに入るとダンサブルになる曲展開や、ウィスパーボイスから力強く歌う切り替え、実は耽美なメロを奏でるバックのシンセ、終盤のエロ吐息(!?)等結構色々やっており、聴きこむ程に癖になってくる所があります。

07.Rose Kingdom
「Ophelia」カップリング曲。
硬質な音のシンセとマーチ調のリズムが映える攻撃的なゴシックトランスナンバー。そのシンセによるキメキメのフレーズや朗々と歌い上げるボーカルがバッチリハマっている印象で、歌詞もKayaさんお得意のヤンデレ全開のラブソングなので、この手の曲が好きな人にはたまらないのではないでしょうか。

08.Medusiana
クラシカルなイントロから幕を開ける、ダークなダンサブルナンバー。Aメロ→サビという構成を繰り返しながら3分弱で駆け抜ける、勢いを重視した楽曲なのかもしれませんが、「Rose Kingdom」と「Last Snow」に挟まれているとちょっと印象が弱く思えてしまうかもしれません。同系統なら2曲後の「Addict」の方がインパクトあるように思えますし。
サビパートは吠えるような声を交えながら煽っているので、ライブで威力を発揮する曲なのかも。

09.Last Snow -piano ver.-
6thシングルタイトル曲のアルバムバージョン。
サブタイにピアノバージョンと銘打たれている通り、ピアノ一本をバックに歌うバラードとなっており、前作で言うと同じく鈴木啓が作曲した「Silverly Dark」と同じポジションでしょうか。全体的には物悲しい雰囲気で儚げに、終盤では力強く歌い上げるボーカルもハマって居ると思います。こういう曲調がメインになられると、個人的な好みとはまた違ってくるのですが、ベタでクサいバラードを正面から歌えるのは間違いなく強みだよなぁと。
因みにシングルの方はオーケストラアレンジになっています。

10.Addict
こちらもMedusiana同様、Aメロ→サビの基本構成によるアッパーでダークなダンスナンバーですが、サビメロがアニソンに使われてもおかしくない位どキャッチーなので、個人的にはこちらの方が好みでしょうか。クラシカルながら踊りやすいアレンジと力強く歌いあげるボーカルにも、Schwarz Steinから通じる安心クオリティーを感じます。歌詞についてはファンクラブ名をタイトルにしていることもあってか、ファンへのメッセージソングと受け取れる形になっているように思えます。

11.Transmigration
ラストはやはりダンサブルながら、前曲とは対照的に柔らかくキラキラした音作りな印象のポップチューン。PVも作られている辺り本作のメイン的位置づけに思えますが、それも納得なあざといまでの白さとキャッチーさを持った楽曲になっており、ここまで明るいと逆に裏があるんじゃないかと疑ってしまいそうな…w 実際、歌詞のモデルは処刑される直前のマリー・アントワネットなので、それを考えて読み返すと、うん……(このアルバム自体、彼女について書かれた歌詞がメインだそうです)。

***

耽美な世界観は踏襲しつつ、楽曲提供者の増加に合わせ少しずつ幅も増えてきた印象のアルバム。Kayaの歌い方もバリエーションが増えており、これまでのファンにも無理なくその広げ方を聴かせられているのではないでしょうか。耽美な言葉選びやデジタルメインのサウンドが嫌いでなければ、取っ付き易いメロディーがメインになっていますし、現時点でインディーズベストと並んで入りやすいアルバムになっていると思いますよ。

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