V.A.「PARADE RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK」(2012)

01. Acid Black Cherry / ROMANESQUE
02. BREAKERZ / JUST ONE MORE KISS
03. cali≠gari / MISTY ZONE
04. POLYSICS / Sid Vicious ON THE BEACH
05. 氣志團 / MACHINE
06. MERRY / 悪の華
07. MUCC / JUPITER
08. Pay money To my Pain / love letter
09. D'ERLANGER / ICONOCLASM
10. N'夙川BOYS / EMPTY GIRL
11. THE LOWBROWS / エリーゼのために (THE LOWBROWS REMIX)
12. acid android / SEXUAL×××××!
13. AA= / M・A・D

作詞 01、04、09〜11:今井寿/02、03、05〜08、13:櫻井敦司
作曲 01〜06、08〜13:今井寿/07:星野英彦

発売日:2012/07/04
品番:TKCA-73785


***

2012年にメジャーデビュー25周年を迎えたBUCK-TICKへのトリビュートアルバム。
2005年の「PARADE」に続いて2度めのトリビュート盤ですが、BUCK-TICKと同年代、もしくは先輩格の面子が目立った前回に比べ、今回は一世代下:リアルタイムで影響を受けた世代がメインに構成されている感があります(デランジェがいたりはするけど)。そのせいか、選曲が結構初期寄りになっているのですが(13曲中、初出時の音源が80年代のものが6曲。91年「狂った太陽」収録曲まで含めると10曲に)、蓋を開けてみれば参加者が各々上手く料理してきた印象があります。

以下各曲について。
参考までに、オリジナルバージョンが収録されている主な音源も付記してみたり。


01. Acid Black Cherry / ROMANESQUE
Janne Da Arcのボーカリストyasuのソロプロジェクト。
勝手にエロティックな雰囲気のカバーにしてくるかと思っていたら、ゴリッゴリなメタリックアレンジで驚きました。ギターがちょいちょい速弾き入れつつも、構成自体は原曲に忠実にしている印象。
この人なら、もう少し原曲の(良い意味で)軽薄で妖艶な雰囲気を引き出せた気もしますが、現在のBUCK-TICKがセルフカバーしてもこうはならないだろうという路線を持ってきた事を面白がるべきなのでしょう。
各楽器ごとの音も拾いやすいので、サポート陣のプレイを聴きたい人にもお勧めかもしれません(ギター:HIRO(Libraian/La'cryma Christi)、ベース:SHUSE( †яi¢к/La'cryma Christi)、ドラム:淳士(BULL ZEICHEN 88))。

オリジナル収録音源
アルバム「HURRY UP MODE」(1987、1990)、ミニアルバム「ROMANESQUE」(1988)
ベスト盤「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



02. BREAKERZ / JUST ONE MORE KISS
今作の面子で何気に楽しみだったのがこちら。前回のトリビュートでは清春がカバーしていました。
原曲のキラキラ感を現在に蘇らせたらこうなる、といった感のあるツインギターとシンセを活躍させたポップロックに仕上がっており、DAIGOをはじめ何だかんだでメジャーで長く演ってきている人達だからこそ? の安心感があります。要所要所でキメを作る所も、ダサさへのギリギリのラインを感じて面白い。

オリジナル収録音源
シングル「JUST ONE MORE KISS」(1988)
アルバム「TABOO」(1989)、セルフカバーアルバム「殺シノ調べ」(1992)
ベスト盤「CATALOGUE」(1995)、「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



03. cali≠gari / MISTY ZONE
何度か再発されているビクター時代のアルバムですが、その中で唯一スルーされ続けているミニアルバムからの選曲に天邪鬼感を感じてしまうのは、このバンドだからでしょうか……w
イントロのSE的な展開も含めてほぼ原曲に忠実なのですが、それでも細かい所でのエフェクト等にカリガリ流のニューウェーブ的解釈を感じ、この後の氣志團とはまた違った感触があります。石井の一定のトーンながら艶のあるボーカルも合っているのではないかなと。
それにしてもこの曲、改めて聴くと凄くポップで凄くヘンだ……。

オリジナル収録音源
ミニアルバム「ROMANESQUE」(1988)
ベスト盤「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



04. POLYSICS / Sid Vicious ON THE BEACH
数少ない2000年代からの選曲ですが、今井メインボーカルの明るく気怠いパンクチューンが彼らに掛かると、熱量のあるピコピコアレンジに。これは楽しいコバルト60感(そんな)。
POLYSICSのCDを沢山聴いている訳ではありませんが、その中にしれっと入っていてもおかしくない、ほぼ彼らのオリジナルと呼んで差し支えない作りになっている印象です。
本作でPOLYSICSが気になった人が、すんなり入っていけるアレンジになっているのでは。

オリジナル収録音源
アルバム「Mona Lisa OVERDRIVE」(2003)
ベスト盤「CATALOGUE ARIOLA 00-10」(2012)



05. 氣志團 / MACHINE
本作の完コピ大賞
初聴時、イントロからしてあまりにもそのまんまで吹き、ボーカル入って更に吹いた覚えが。今の時代、音圧までオリジナルに近づけるのは逆に難しいんじゃないかと思ったりしますが。CDジャケットをはじめ、これまでにもオマージュを取り入れてきたのを知ってはいましたが、ここまで再現されるとそのに対して何かを言うのは野暮なんじゃないかとすら思えてきますよ。
実を言うと、これ書いている時点で殆ど氣志團の曲を聴いた事がないのですが、このカバー念頭にオリジナルへ手を出すのはアリなのでしょうか。

オリジナル収録音源
アルバム「狂った太陽」(1991)
ベスト盤「CATALOGUE ARIOLA 00-10」初回限定盤(2012)



06. MERRY / 悪の華
きちんとメリー聴くのって「現代ストイック」ぶりなので……ほぼ10年ぶりでしょうか。前回トリビュートではrallyがカバー。
その辺りの「しゃがれ声を乗せたレトロな旋律+乾いたウネウネギター」というイメージだったのですが、いざこちらのカバーを聴いたら、原曲から大きい変更はないものの、攻撃的でソリッドなアレンジになっておりちょっと驚きが。何となく「殺シノ調べ」のバージョンが念頭にあるのかな? とも思いますが。
個人的にこの曲は、シンセ入りの音質ペラペラながら影があるオリジナルアルバム版が好みだったりするのですが、今聞くならこちらをお勧めします。ライブ映えしそうだなぁ。

オリジナル収録音源
シングル「悪の華」(1990)
アルバム「悪の華」(1990)、セルフカバーアルバム「殺シノ調べ」(1992)
ベスト盤「CATALOGUE」(1995)、「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



07. MUCC / JUPITER
ほぼオリジナルに忠実なアレンジで、原曲で神々しさを演出している(と個人的に思っている)ギターや高音コーラスも再現されています。
シングルを散発的に聴いているだけでも、絶望的なまでの重さを強調したものからエレクトロ路線まで手広くやってのける引き出しの多さに驚かされるバンドなだけに、今回のカバーは良くも悪くも優等生的というか、もっとやらかす事ができたのではないかな、とも。間奏に「スピード」のフレーズを挿入していますが、そちらの化学反応では、個人的にデランジェの方がインパクト大きかったもので……。完コピ枠では氣志團が振り切ってますし、位置的に損をしている部分はあるかも。
ただ、本家のセルフカバーもあまり大きく変化がある訳ではないので、色々と難しい曲なのかもしれません。後半に向けて徐々に感情を露わにするような逹瑯のボーカルは、しっかりとした存在感を示しています。

オリジナル収録音源
アルバム「狂った太陽」(1991)、セルフカバーアルバム「殺シノ調べ」(1992)
シングル「JUPTER」(1991)
ベスト盤「CATALOGUE」(1995)、「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



08. Pay money To my Pain / love letter
当時のバクチク流ハードロックサウンドが、更に攻撃性を増した疾走ハードコアとなって作り変えられました。終始デス声で押しまくりサビではテンポダウンするのも、こういう所での王道感がある気がします。
本作でこのバンドが初聴であったため、公式YouTubeでアップされている音源を視聴してみたのですが、そちらにも結構近いアレンジだったので、ポリと同じく本作を切っ掛けにオリジナルに入って行きやすくなっているかもしれません。
テンポ上がったせいもあり、約2分半の尺を一気に翔け抜けていく印象。

オリジナル収録音源
アルバム「Six/NiNe」(1995)
ベスト盤「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



09. D'ERLANGER / ICONOCLASM
ボーカリストkyoは、前回トリビュートのrunaway boysに続いての参加。また前回はJがカバーしていた曲でもあります。
反復されるギターのフレーズは勿論ですが、最初に耳が行ったのは、原曲の無機的なリズムとは対照的な哲のあばれ太鼓っぷり。バックの不穏なシンセや抑え目気味のボーカルもあり、ダークで淫靡な雰囲気が強調されているように思います。
そして間奏では「Kiss me goodbye」のメロディーをごっそり挿入。ここもまた妖艶でツボなのですが、ここを切っ掛けにボーカル含めて攻撃的性を増した展開に突入、サポートのピアノ(都啓一)も一緒に暴走するのがたまりません。
1曲で何度も美味しいというか、取り敢えず本作では最も好みに入ったカバーになりました。

オリジナル収録音源
アルバム「TABOO」(1989)、セルフカバーアルバム「殺シノ調べ」(1992)
ベスト盤「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



10. N'夙川BOYS / EMPTY GIRL
こちらも初聴。調べてみたらKING BROTHERSのメンバーがいるバンドなのですね。
いかにも80年代なポップな歌メロと一発録り的な荒々しい演奏に、やっぱり1つはこういうのも居ないとね、でも試聴音源だと女性ボーカルだったような……と思っていると、妙に長いブレイクの後、唐突にそのあっけらかんとしたボーカルに! この長い間、多分パートチェンジの時間をそのまま入れてます(しかももう1回ある)。このやり逃げ感、参りましたとしか言い様がありません。
色んな意味で衝撃度は一番でしたが、聴けば聴くほどタイトル通りなカバーに思えてくる辺り大成功なのでは。

オリジナル収録音源
アルバム「SEXUAL×××××!」(1987)
ベスト盤「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



11. THE LOWBROWS / エリーゼのために (THE LOWBROWS REMIX)
前回はMCU、Ken Ishiiが務めていたリミックス枠(?)ですが、本作では直近のシングル曲が選ばれました。
LOWBROWSに関しては、Futonのアルバムでやはりリミックスを手掛けていたのを聴いていたのですが、そちらでも聴けた「ボーカルは全面に出しながら、バックの音をエグくダンサブルに」といった耳障りの音になっているような。原曲もダンサブルな要素が強いですし、聴きやすさの高いリミックスなのではないでしょうか。シングルのカップリングに入ってもおかしくなさそう。

オリジナル収録音源
シングル「エリーゼのために」(2012)
アルバム「夢見る宇宙」(2012)



12. acid android / SEXUAL×××××!
オリジナル音源のイメージから、ノイジーでインダストリアルなアレンジにしてくるかと思いきや、憂いのあるメロディーのピアノが印象的な、繊細なデジポップになっていてびっくり。間奏のシンセがまた切なくて驚きつつツボに入りましたが、こうして聴くと元々の歌メロも実は哀愁あるものなのだと、今更ながら気付かされたり。
yukihiro先生のボーカルに関しては…まぁ、いつも通りというか(苦笑

オリジナル収録音源
アルバム「SEXUAL×××××!」(1987)
ベスト盤「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)



13. AA= / M・A・D
マッドのCDはちょこちょこ聞きつつも、上田剛士ソロのこちらはまだ手を出せていなかった為、切っ掛け的なものになれば良いな……という部分も込みで楽しみに思っていたこちら。
エフェクト塗れのボーカルを含めザクザクとリズムを刻んで攻撃的な流れを基調にしながら、フッとピアノのみをバックに儚げなトーンに落ち着く、その静と動の切り替えが絶妙に思えます。
「殺シノ調べ」のセルフカバーが徹底的な破壊行為だったとしたら、こちらは破壊した上で再構築した印象。

オリジナル収録音源
アルバム「狂った太陽」(1991)、セルフカバーアルバム「殺シノ調べ」(1992)
シングル「M・A・D」(1991)
ベスト盤「BT」(1999)、「CATALOGUE 2005」(2005)、「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」(2012)


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初期曲が多いというのも大きな理由になるでしょうが、何だかんだで聴きやすいのは、活動を進めるに連れ音の装いを変化させながらも、BUCK-TICKの根っこにポップさがあるからなのでしょう。
もう少しエゴを出してもいいのよ? という所も前回に比べるとあったりしますが、個人的にほぼハズレもなく楽しむことが出来たアルバムでした。そういう意味では、侠気反覆爐里皀▲蠅もしれないですね。


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