PLASTICZOOMS「STARBOW」(2012)

01. DREAM WAVE
02. SHOOTING STAR
03. KMKZ
04. SAVAGE
05. CRY.DISTANCE.
06. DOOR
07. WOODS UNDER THE MOON IN THE LOOP
08. SWAN
09. CAVE
10. WITCH
11. CAT
12. SCENT
13. STARBOW

作詞 02〜05、07、08、10〜12:SHO ASAKAWA/13:SHO ASAKAWA、ERI FURUSAWA
全曲作曲:SHO ASAKAWA

発売日:2012/01/11
品番:PECF-1036

Member
Vocals:Sho Asakawa
Bass:Jun Yokoe
Drums:Yuta Kurata
Keyboards:Shinpei Morishige
Guitars:Taiyo Ikeda


***

写真・映像作家やファッションブランドとのコラボなども行うPLASTICZOOMSが、2012年1月にリリースした2ndアルバム。前作はオリジナルとそのリミックスが5曲ずつという構成だったので、本作が実質的な1stフルアルバムという事になるでしょうか。2011年のシングル「WHITCH」の新録バージョンや、公式サイト・YouTube等で先行公開されていた楽曲らも収録されています。
クールな黒さを感じるビジュアルの彼らですが、本作では80年代ゴシック・ニューウェーブからの影響を受けながらも、そのバランスを壊さない塩梅のポップさを取り入れることで、予想以上の幅広さを感じる作品になっている印象があります。煌びやかなゴス、というか。

以下各曲について。


01. DREAM WAVE
規則的なギターのフレーズのみのイントロから音数を増やし、徐々に壮大なアレンジへ盛り上げていくスローなインスト。
開けた印象な次曲への前哨戦のような楽曲でしょうか。

02. SHOOTING STAR
浮遊感のあるシンセと跳ねるようなリズムが印象的なポップナンバー。
星空をモチーフにした本作のジャケットを象徴しているような、そのシンセを中心としたスペーシーなアレンジとポップなメロディーは聴いていて非常にワクワクさせられるものがあります。タイトル曲ではないながらも(歌詞中に「Starbow」というフレーズは登場します)アルバムの核となっているのではないでしょうか。
ここまでポップに振り切れるか、という驚きと共にすっかり掴まれたオープニングになりました。

03. K M K Z
2011年10月から、PVと共にオフィシャルサイトで無料ダウンロードが開始されたアグレッシブな疾走曲。
一転して生っぽさが強調されたドラムや前に出たギターで一気に畳み掛ける構成になっており、V系スキー的な視点からの分かりやすさがあったりもして、昨年視聴した際はそのかっこ良さに一聴き惚れしたものでした。
色々と前曲とは対照的な楽曲ですが、こちらではがなるような歌い方をしつつもボーカルのテンションは一定に聴こえるのが面白い。アレンジとその低音ボーカルもあってか、UNHOLY NIGHTを出した辺りのSPEED-iDを思い出したり。

04. SAVAGE
低音で反復されるフレーズを基礎にしている、こちらも激し目の楽曲。
……なのですが、淡々としたモノクロ映像が連想されるアレンジには、KMKZとはまた違うダウナーな冷たさを感じます。ベースとドラムをメインに、音の隙間を作ることを意識したゴシックパンク寄りの曲なので、彼らのヴィジュアルから想像しやすいという意味では分かりやすいかも知れません。前半ではソナー音のようにバックで鳴っていたギターが、進行するに連れ激しく絡んでくる展開も好み。

05. CRY.DISTANCE.
ダンサブルなリズムに物悲しいメロディーが乗った、ちょっとダウナーなポップナンバー。こちらもアルバム発売前にPVが先行公開されました。
浮遊感のあるアレンジやキラキラしたシンセもあり、決して陰鬱一辺倒というわけではありませんが(本作中ではポップな部類に入る曲かと)、前述の甘さを感じさせながらも憂いのある歌メロや、心中を連想させる歌詞もあってか、どこかしんみりとした余韻を残す楽曲となっています。終盤の大サビにおける盛り上がりも、むしろ切なさを強調されているような印象を受けました。

06. DOOR
次曲「WOODS〜」のメロディーを使った50秒程のインスト。
弦楽器をメインにしたクラシカルなSEといった趣です。

07. WOODS UNDER THE MOON IN THE LOOP
そしてこちらでバンドサウンドに切り替わるポップナンバー。
歌詞にも引っ張られているのかも知れませんが、可愛らしさも感じる柔らかく跳ねるようなアレンジや、「DOOR」にも使われていた弦楽器音の存在もあってか、メルヘンチックな印象を受けた楽曲です。

08. SWAN
フワッとした感触のギターが印象的なスローナンバー。時折挿入される女声コーラスもあり、神々しい雰囲気もあります。
ただ、個人的にメロディーが印象薄かったこともあってか、現時点であまり好き嫌いに振れることが無い曲だったりも。前述のギターが、後半になるとノイジーな演奏に変わって徐々に盛り上げていく展開もあり、メロディーよりトータルの雰囲気重視で聴くべき曲なのかもしれません。
店舗限定特典CDである「BEDROOM」にはアコースティックバージョンが収録されています。

09. C A V E
打ち込みを中心とした、不穏でサイバーな雰囲気を持ったインスト。

10. WITCH
2011年にリリースされたシングルの再録バージョン。
構成は大きく変えないながらも、シングル版に比べテンポが挙げられており、最初聴いた時はちょっと忙しなく感じましたが、慣れればこれはこれで疾走感が気持ち良いというか。暖かさを感じたのがシングルなら、こちらは爽やかな色が出ているでしょうか。

11. CAT
こちらも「WOODS〜」に近い、柔らかいアレンジと跳ねるドラムがメインのポップな楽曲……なのですが、タイトル通り歌詞が猫視点となっており、訳詞を読むと若干ツンデレ気味だったりと非常に可愛い(笑) 相変わらず一定ののトーンで歌うボーカルも、これは他の曲とは違った意味でまた合っているというか。
ほっこりすると同時に、ある意味本作中最も衝撃的な曲だったかもしれません。
「この先12年 一緒に過ごそう
僕のしっぽが割れて 化猫になるまで」


12. SCENT
クリーンなギターと流れるようなメロディーが映える、メロディアスながら耽美でゴシック的な雰囲気も感じられる楽曲。
その憂いのあるサビメロがとにかくツボにハマりますが、時折クラシカルなフレーズが挿入されたり、間奏でのヒヤリとするようなダークな展開もまた好み。個人的には、KMKZと合わせてV系好きにとって入りやすい1曲なのではないかと思っています。

13. STARBOW
ラストのアルバムタイトル曲は、包み込むようなオーケストラ音とシンセをメインにしたスローバラード。こちらも「BEDROOM」にアコースティックバージョンが収録。
「SHOOTING STAR」と対を成していそうな、壮大なエンディング曲といった印象を受けるアレンジになっており、ボーカルは前に出ると言うより全体の音の一つとして機能している感があります。
こちらも間奏でクラシカルなメロディーが入るのがツボ。

***

個人的に今年最も聴いたアルバムなので、何とか2012年中に感想を書きたいと思っていましたが、ギリギリで間に合いました……(苦笑)
各曲感想にもしばしば書きましたが、どの曲でもボーカルのテンションが一定の冷たさをを保っている事が、幅広い曲調の本作を一つに纏めているのかもしれません。
ゴス・ニューウェーブという言葉を使わずとも、ちょっとだけ現実を離れた雰囲気を持つ良質なポップアルバムとしてお勧めしたいCD。


試聴あり
STARBOWSTARBOW
PLASTICZOOMS

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