Sound Horizon『Chronicle 2nd』(2004)

01. 黒の予言書
02. 詩人バラッドの悲劇 (Instrumental)
03. 辿りつく詩
04. アーベルジュの戦い (Instrumental)
05. 約束の丘
06. 薔薇の騎士団
07. 聖戦と死神 第1部「銀色の死神」〜戦場を駈ける者〜
08. 聖戦と死神 第2部「聖戦と死神」〜英雄の不在〜
09. 聖戦と死神 第3部「薔薇と死神」〜歴史を紡ぐ者〜
10. 聖戦と死神 第4部「黒色の死神」〜英雄の帰郷〜
11. 書の囁き
12. 蒼と白の境界線 (Instrumental)
13. 沈んだ歌姫
14. 海の魔女
15. 碧い眼の海賊
16. 雷神の左腕 (Instrumental)
17. 雷神の系譜
18. 書の魔獣
19. キミが生まれてくる世界
20.<ハジマリ>のChronicle
21.<空白>のChronicle

・Bonus Extra Track(CD-extra)
謎のボーナス音源

全曲作詞・Image Story・作曲・編曲:Revo

Members
Vocal(01、03、05〜11、13〜15、17〜19)、Voice(01、03、05〜11、13〜15、17〜19):Aramary
Vocal(02):Hazeri
Vocal(01、07、08、11、15、18)、Voice(01、07、08、13、15):Yasrow
Vocal(01、07〜09、11、15、18)、Voice(01、03、07〜10、13〜15、17、18):Jimang
Vocal(13、14)、Voice(13、14):Haruka Shimotuki
Violin(03):Yukari Shinozaki
Other All Violin:Mutumi Suzuki
Violon Cello:Shigeru Ohara
Flute & Piccolo Flute:Remiko Kawase
Clarinet:Kazuhisa Kojima
Oboe & English Horn:Masayo Miyata
Fagott:Hiroaki Kimizuka
Trumpet:Miki Iwatuki
Trombone:Takuya Honda
Alto Sax & Tenor Sax:Kei Suzuki
Mandolin & Bouzouki &Acoustic / Nylon Guitar、Electric Guitar / Bass & Accordion & Keybords、Udu & Djembe & Tanbourine & Castanet & Other Percussion & Computer Programming、Recorded & Mixed & Mastered:Revo
Booklet & Lebel Design:Yokoyan

発売日:2004/03/19
品番:SH-CHR05


***

Revo率いるSound Horizonが2004年にリリースした、自主制作時代最後のアルバム。1st Story Renewal CDと銘打たれていますが、これは1stCD「Chronicle」の楽曲が基にあり(私は未聴。全曲インストとのことです)、トラックを大幅に増やし、ナレーション・ドラマパートを積極的に取り入れたフルサイズのアルバムとなったため。この時期は複数の登場人物の多くをAramary(女性キャラ)とJimang(男性キャラ)の2人で廻している為、今聴くとちょっと変な感じもしますが(ヒーロー寄り・ラスボス格が、どちらもじまんぐさんのショワショワボイスだったりとか)、まぁそこも含めて味というか。
殆どの曲始まりに、ストーリーの時間軸を示すナレーションが入っていたり、後の作品ではブックレットに未記載になりやすくなるセリフが、ほぼ全て載っていたりと、物語のアウトラインの把握しやすさはSHの中でも上位に来るのではないかと。因みに、インスト曲にも物語のイメージ的な詩が記載されています。
曲数は多めですが、ストーリーに合わせてインスト・短編・長尺の配置がされている感もあり、実は最近のストーリーCDより取っ付きやすいのかもしれません。リズムは全て打ち込みなのですが、個人的には特に気にならず。


01. 黒の予言書
イントロから厳かなパイプオルガンをバックにした、あらまり・じまんぐ両氏のナレーションがむせ返るほどの中二臭(勿論良い意味で)を醸し出す、メロディアス疾走チューン。
ボーカルが高音部で苦しそうになるのが若干気になりますが、それを差し引いても全編通してキャッチーなメロディーが気持ち良く、特に中盤のウィスパーボイス気味に囁くパートからパッと開けるような力強い旋律への展開は、何度聴いても鳥肌モノです。
(殆どの曲に言えることですが)随所に挿入される台詞と即効性のあるメロディーによって、初めて触れる人にとっては、この手のアレが好きか嫌いかをハッキリ分けてくれる楽曲になっているのではないかと。

02. 詩人バラッドの悲劇 (Instrumental)
アコーディオン音がメインの旋律を担当する、民謡調で三拍子の軽やか且つ哀愁あるメロディーが映えるインスト。2分ほどの楽曲ですが、そのクサさを堪能できるのでは。
これを始めとしたインスト曲が「Chronicle」からの出典になります。

03. 辿りつく詩
前曲のメロディーを基にした、やはりアコースティック・民謡色の強いポップチューン。
「詩人バラッド〜」の後日談と思われる歌詞と併せ、切なくも凛とした雰囲気を強めていますが、バックで繰り返されるコーラスがファンタジックな色も添えている印象。中盤、ナレーション終わりからのバイオリンソロがまた哀愁たっぷりでたまりません。

04. アーベルジュの戦い (Instrumental)
こちらも2分ほどのインスト。
イントロから展開される、ドが付くほどにキャッチーで勇壮なメロディーに、いかにもRPG的な世界観を想起させられる――と言っても、本作自体が全体的に王道RPGぽくはあるのですけれど、こちらは特にその傾向が強いというか。この曲のメロディーが、この後の「約束の丘」〜「聖戦と死神」1〜4部で多く使われ、ブックレットの詞もそれらのストーリーの大本を思わせるものとなっています。

05. 約束の丘
木管楽器とバイオリンをメインとしたアレンジに、じまんぐ・あらまりのデュエットが乗った小品バラード。
1分半と特に短い尺ですが、曲始まり・終わりのナレーションや、登場人物のベタベタなシチュエーション、1度だけのサビメロに使用される前曲の旋律などが相まって、色んな意味でクサいトラックとなっています。

06. 薔薇の騎士団
ナレーションパートがメインながら、「詩人バラッドの悲劇」、「辿りつく詩」での登場人物が再登場する民謡調の前半、中世の戦争を思わせるストーリーの展開を演出するような勇ましいアレンジの後半と、物語始まりのワクワク感を抱かせるトラック。個人的には、終盤に入る可愛らしい声で歌われる「薔薇の騎士団のテーマ(?)」のメロディーがたまりません。
「約束の丘」と合わせて、「聖戦と死神」のプロローグ的な位置にあると思われます。

07.〜10 聖戦と死神
せっかくなのでひと纏まりに。
前曲で始まった戦争を舞台とした、4部構成・計15分にわたる、本作中最も歌劇色が強いと思われる大作。全体的にはシンフォニックメタル寄りの壮大なアレンジながら、明確にサビパートを設けるのではなく、ストーリー展開に合わせて盛り上げ所を用意しており、第2部における、「薔薇の騎士団」の男声コーラスバージョンからの展開や、第4部冒頭の緊張感あるナレーションと合わせたオーケストラの盛り上がりなど、燃える展開が目白押し。尺的にも楽曲としても、アルバム前半部のピークと言って良いでしょう。
3部がほぼ丸々ドラマパートとなっているなど、セリフ量もてんこ盛りなため(ストーリー展開もいかにもといった感じが)、ダメな人には本当にダメでしょうが、個人的にはコレで良い。コレが良い。英語圏の人には、Rhaps○dy等のバンドはこんな感じに認識されているのでしょうね。
このような楽曲制作はメジャーでも行われ、CD1枚を丸々一曲のように展開させるシングル『聖戦のイベリア』、アルバム『Moira』で更に推し進められていくことになります。

11. 書の囁き
パイプオルガンと女声コーラスをメインとした荘厳でちょっと不気味なバックに、あらまりさん演じるクロニカの思わせぶりなナレーションが乗ったインタールード的楽曲。
この曲のメロディーは「書の魔獣」でも使われますが、メジャー1stシングル『少年は剣を…』収録「終端の王と異世界の騎士」にもちらっと挿入されていたり(因みに『少年は〜』のブックレット裏表紙にはクロニカの姿が)。

12. 蒼と白の境界線 (Instrumental)
ここまで比較的シリアスな楽曲が続いて来ましたが、ここでアコギ(ブズーキかも)による陽性でのんびりとした旋律がメインのインストが登場。波やカモメのSEも聴き手の癒され度を加速してくれます……何より歌詞内で誰も殺されないですし(!?
後半テンポアップしますが、全体的には穏やかなムードを保った楽曲。小休止的な位置になっちゃた感はありますが、個人的にはこちらも良メロを堪能できると思っています。

13. 沈んだ歌姫
Aramary・霜月はるかのツインボーカルによる、アコーディオンが前に出たポップチューン。
前半は、あらまりさん演じる色気あるロベリア、霜月さん演じる幼さを含んだセイレーn清廉なジュリエッタのボーカルが絡む、情熱的で小気味良いアレンジが印象的で、ストーリーの舞台からか随所にイタリア語で歌わせているのも軽快な雰囲気を演出しているように感じます。楽曲やストーリーとは直接関係ない所ですが、ブックレットでの2人のフルネームが、ボーカリストの名前をもじっているようなスペルになっていたり。
後半は不穏な空気漂うドラマパートがメインとなり、ナレーションを乗せてアコーディオンをメインに疾走していきますが、その途中でアレッサンドロ1世を演じているのは、Revoさん……ですよね?

14. 海の魔女
こちらのメインボーカルは霜月はるか。
「沈んだ歌姫」終盤のメロディーを使用しつつ、ストリングスをメインとした切ないバラードとなっており、前曲とは全く趣を異にしている印象があります。サビ1回・尺も2分半弱と、ストーリー面とも合わせて前曲のエピローグ的な位置づけでしょうか。

15. 碧い眼の海賊
ド頭からYasrow、Aramary、Jimang演じる、いかにもRPGの海賊キャラといった感じのトリオが強烈な、本作でもユーモラスな色が強い楽曲。「ハァーラフラフゥホゥッホゥッ」のコーラスが耳に残ってしょうがない。
「蒼と白の境界線」の旋律がこちらでも使われていますが、一瞬切なくなるも、基本的にはマンドリンやコーラスによる、明るくカラッとしたアレンジになっています。個人的には「聖戦と死神」3部より、こちらでの台詞の掛け合いの方がむず痒い……w(でも嫌いじゃない

16. 雷神の左腕 (Instrumental)
個人的には終盤の盛り上がりへの始まりと思っている、ピロピロ言うギターとキャッチーなクサメロを奏でるシンセがメインの疾走チューン。「アールベルジュの戦い」と並んで、RPGのBGMに使われそうな王道感があるんじゃないかと。
その最もクサい(と私は思っている)部分の旋律が、次曲「雷神の系譜」の大サビに使われます。

17. 雷神の系譜
ストーリーもアレンジも前曲からの流れを汲む、キラキラシンセとギターが絡むメロスピ色が濃い疾走曲。
約8分と比較的長尺ですが、ポップな歌メロとナレーション・台詞の展開もテンポ良く、ストーリー展開に合わせた長めのギター・キーボードソロ、その後前述の大サビへの雪崩れ込みという展開は非情に高揚感を煽られるので、個人的には一気に聴けてしまう1曲。
終盤、あらまりさんが一人二役を演じていますが、パッと聞き同じ人に聞こえない位に声の使い分けをしてます。
この曲と「辿りつく詩」は、メジャー1stアルバム「Elysion 〜楽園への前奏曲〜」にも収録。

18. 書の魔獣
最初に聴く人は、頭のじまんぐさんの高笑いに面食らうこと間違いないと思われる、こちらもメロスピ色が強い疾走チューン。ストーリー面でもラスボス戦的な位置にあることもあってか、クラシカルな高速シンセと早口気味のボーカルの緊張感、その後の「書の囁き」の不気味なコーラスが勇壮なアレンジで再登場する展開、勿論台詞パートもあるよ! 等々、こちらの中二心をぐりぐり突いてきてくれます。
終盤はここまでの楽曲を逆回転したようなSEが挿入されるため、実質の尺は3分半程なのですが、変な詰め込み感もなく展開しているのではないかと(勿論前曲みたいに長くても良いんだけど)。

19. キミが生まれてくる世界
ここまでの展開を振り返るエンディング曲的な位置付けにありそうな、水泡のSEをバックに弦楽器やコーラスによって、切なく始まり徐々に盛り上がってゆくバラード。1曲目同様、高音が若干苦しそうではあるのですが。
単独で尺取ってあるバラードって本作中ではこれ位なんじゃないでしょうか。「海の魔女」は前後を含む流れの一部といった感じですし。
「めでたし めでたし」

20.<ハジマリ>のChronicle
ここからは帯に曲名記載がなく、ブックレット内にのみタイトルがあるため、シークレットトラック扱いという事でしょうか。
「黒の預言書」アウトロのオルゴールパートから始まる(短調から長調に直されている……と思う)、柔らかいピコピコした打ち込みや管楽器・アコギによる、これまでの流れからすると意外なくらいに爽やかなメロディーが映えるポップチューン。こういう曲調ですと、あらまりさんは一気に歌のお姉さんと化す気がします。
単曲で聴かされたら、個人的には正直そこまで刺さる楽曲では無かったのかもしれませんが、(ある意味)ネタばらし的ながらもちょっと切ないストーリーや、ここまで聴いてきた流れによって、このように開けた雰囲気の曲が真のエンディング曲のように生きてきたのではないかと。やっぱりアルバムの流れって大事。

21.<空白>のChronicle
無音部が10秒続いた後、突如ピアノをバックにしたナレーションが入る短いトラック。
因みに「<ハジマリ>〜」とこの曲の詞は、ブックレットではなくCDエクストラ内のhtmlファイルに記載されています。


・Bonus Extra Track(CD-extra)
CD-extra内に入っているコンテンツ。
上述した2曲の歌詞と、初期の音源「雷神の右腕」(100秒ほどですが基本のメロは既に出来上がっている印象)、アルバム内の台詞を元ネタにしたしたシステムボイス集のwavファイルが収められています。

***

現時点でこれより前の作品を聴けていないので、あまり踏み込んだ発言はできませんが、今でもこちらを最高傑作に挙げる人が居るのも理解できる、自主制作時代の集大成とも言える充実した内容だと思っています。
色んな意味で臭みはあれど、物語音楽という言葉に惹かれた方や、最近のLinked Horizonで知った方にも高確率で琴線に触れるアルバムのはず――なのですが、現在は廃盤状態で中古・オークションサイトでもプレミア値がついてしまっているのが最大のネック。これより前の作品に比べると、圧倒的に数は出ているようなので、お財布との相談さえ乗り越えれば……といった感じではあるのですが。
現在のライブでも披露される曲が多いだけに、このままにしておくのは勿体ないですぜ、陛下。

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