『INNER DIMENSION』から4年ぶりにリリースされた、2枚のオリジナルアルバム。
優朗(Vocal、Programming)、MARQUEE(Gt)、HAL(Rhythm Programming、Live Drums)の布陣のほか、ベーシストとして、Billy & The SlutsのM.SHUDO、リリース時には正式メンバーから外れていたTsuyoshiも参加しています。

これ以前から影響を受けていたクラブサウンド、トリップホップ、ジャズなどを取り入れた音作りが全開となっており、浮遊感あるシンセや涼し気なピアノ、打ち込みと生ドラムを組み合わせたリズム作り、その中でも切り込んでくるMARQUEEさんのギタープレイなどが特徴的です。
変な話、クールで抑制されたトーンのリゾートミュージックといった雰囲気もありますが(大人のバカンス的な歌詞も結構ある笑)、それらと並んで人殺しソングがしれっと入っていたりするので、その辺含めて2重に冷たい感触があるでしょうか。
後追いでMASSIVE ATTACKなどを聴いた際は、その参考文献を遡る気分になって面白かったり。

Blue LinesBlue Lines
Massive Attack

Virgin Records Us 2012-11-18
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ダミーダミー
ポーティスヘッド

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以下に2作を軽く紹介します。

『i-D THE M・A・S EDITION』(1997)
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iD THE M A S EDiD THE M A S ED
SPEED-iD

インディペンデントレーベル 1997-04-01
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01. FAR VIOLET SKY
02. SLOW MOTION PICTURE
03. SCARLET' DUB
04. THE COSMIC BEACH
05. 真夜中のオアシス
06. ピエロが5人
07. RED SHOES
08. COOL IT DOWN
09. IN THE BLUE COLORED VIEW
10. 天国を撃て!!

全曲作詞:EURO
作曲 01:MARQUEE/02:BANBINO KOJIKA/03、05〜10:EURO
編曲:EURO、MARQUEE、J.P.HAL、TSUYOSHI、MITSURU、AND HIME

品番:GV-9701


2枚のうちインディーズからリリースされたのがこちら。
夏の夕暮れを思わせる、壮大で切ないバラード「FAR VIOLET SKY」(個人的名曲!)をオープニングに、爽やかなポップチューン「SLOW MOTION PICTURE」「真夜中のオアシス」、クールでダウナーな都会の殺人ソング「SCARLET' DUB」らの対照的な楽曲が交互に登場します。
色々あって歌詞が載らなかった「ピエロが5人」は、トリップホップ方面からの影響が分かりやすく表れた気がする、優朗さんのラップ……というかリーディングがメインの抑制された印象の楽曲。同年のソロ『UNHOLY』にて、アコースティックバージョンと言う名のリベンジを行います。派手ではないですが、何気に2作通した肝となっている気がしていたり。
後半はタイトル通りヒヤリとした感触の「COOL IT DOWN」を挟む形で、スパニッシュなギターを含む「RED SHOES」と「IN THE BLUE COLORED VIEW」のダンサブルな楽曲が目立ちます。ラストの「天国を撃て!!」は94年のライブビデオより打ち込み色を強め、打ち込みリズムの手数を増やした疾走感を増したアレンジになっています。こちらはこちらでカッコ良い。
こちらのアルバムの方が、ポップに昇華している楽曲が目立っている印象があります。

余談ながら、KEY PARTYオムニバス収録曲でSPEED-iDに興味を持った後、最初に手に取ったアルバムが本作だったのですが、やはり初聴時は若干の戸惑いがあったことをここに告白します(苦笑)。

***

『i-D THE D・O・S EDITION』(1997)
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i-D THE D・O・S EDITIONi-D THE D・O・S EDITION
SPEED-iD

トライクル 1997-04-21
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01. VOICE FROM DARKNESS
02. YOU'RE SPLENDOR
03. CLOSE ME,AUTUMN RAIN
04. TRASH BLACK' DUB
05. MOON LIT JIVE
06. SPIRAL OUT MY BABY
07. ANGEL ON THE GLASS
08. 毛皮のヴィーナス

作詞 01〜07:EURO/08:LOU REED
作曲 01、02、04〜07:EURO/03:MARQUEE/08:LOU REED
編曲:EURO、MARQUEE、J.P.HAL、TSUYOSHI、MITSURU、AND HIME

品番:TCCN-25032


こちらはメジャーからのリリース。
「YOU'RE SPLENDOR」「CLOSE ME,AUTUMN RAIN」といった、iDの中でもかなりポップで透明感ある2曲があるにも関わらず、こちらの方が冷たくダウナーなイメージを受けるのは、頭の「VOICE FROM DARKNESS」とラスト「毛皮のヴィーナス」のカバーがそれぞれ、良い意味でどんよりとしたムードで包み込むようなスローチューンだからでしょうか。この2曲は後に、初期のfunction code();のライブでも披露されていました。
タイトル的に「SCARLET' DUB」と対になっていそうな「TRASH BLACK' DUB」は、直接的な描写こそないもののサイコな雰囲気を感じます。

最初に触れた時は、メジャーリリースであるこちらの方がとっつきにくい気がしていたのですが、影響を受けたバンドからの反映はこちらの方が素直に思えるので、そういう意味では「分かりやすい」のかもしれません。

***

前後のアルバムと比べると、所謂バンドサウンドとは離れたアレンジがメインとなっているため、その辺を求める人には戸惑いはあったのかもしれません(私も最初そうだったし)。しかし、今聴いてみてもV系の中で特異な位置にある2作という印象があるので、機会があれば触れて欲しいと思ったり。
この音作りの一部は、優朗さんのソロワークスや初期function code();へと引き継がれていくことになります。