松元治郎『Reverb』(2012)

01.彼方に浮かぶ月
02.Afterglow
03.Journey
04.Blindness
05.逃亡者
06.少年
07.古傷

全曲作詞:松元治郎
作曲 01:綿貫正顕/02、04、06、07:松元治郎/03:木村真也/06:安保一生
全曲編曲:安保一生

発売日:2012/10/12


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第3期WANDSのボーカリストとして活動していた松元治郎(当時の芸名は和久二郎)による、1stミニアルバム。
これを書いている時点(2014/02/16)で、ライブ会場物販及び公式サイトでの通信販売となっています。

サウンドプロデュースを同じく3期WANDSのギタリストだった安保一生(杉本一生)が手がけているほか、2、3期キーボーディストだった木村真也と、シングル曲「BRAND NEW LOVE」を提供した綿貫正顕が1曲ずつ楽曲提供をしています。安保さんはサウンドプロデュースのみならず、ブックレットデザインやオフィシャルサイト管理、CD販売に関しても一手に引き受けており、ほぼ彼のトータルプロデュース音源と言って差し支えないかと思われます。本作は完全に自主制作体制ですが、音のまずさは特に感じませんでした。この点は、多くのプロデュース、ディレクター業を務めてきたことの強みが表れているかもしれません。

十数年振りに3期の面子が揃った音源ということで、いやが上にも当時のサウンドを期待してしまいますが、綿貫さん提供の1曲目「彼方に浮かぶ月」から、3期を彷彿とさせる歌謡メロ+サイバーなアレンジのデジロックをぶつけてきたり、木村さん提供の「Journey」が、「雲が流れるように」を思わせる美メロバラードということもあって、需要を分かっているなと思わせられます。松元さんのボーカルも、ブランクを感じさせないミドルに張り上げる声が全開なので、当時のファンならず後追いで聴いていた人にもたまらないものがあるのでは。
実際、「彼方に浮かぶ月」は安保氏のツイッターで3期時代のストック曲であったことが語られています。当時綿貫さんが提供したのは「BRAND NEW LOVE」1曲だけなのですが、思った以上に3期の音として認識していたことが、自分でもちょっと意外だったり。

対して、ソロの色として松元作の楽曲が4曲収められていることが挙げられますが、4曲が4曲とも地に足の着いた印象のスローバラードとなっています。前述の通り音質で邪魔されることもなく、どれも彼のボーカルを堪能できるのですが、良くも悪くも1曲入魂という印象で、ミニアルバムという尺にもかかわらずバラード多いなと思わされたのが気になる点でしょうか。3期では作曲を行っていなかったので、元々松元さん自身がバラードやりたい人だったことが、今になって明らかになっただけなのかもしれませんが。
また、ボーカリストのソロながら、安保さんのギタープレイが随所で聴けるので、その辺はプロデューサーの色も上手く入れてきた印象があります。

久々の作品という点での飢餓感が聴き手側にあったことを考慮しても、ほぼ文句ないクォリティの作品。
現在2作目の音源を製作中ということで、どのような制作体制になるのかはまだ分かりませんが、楽曲傾向のバランスが調整されると更にハマるのかもしれません。
現在在庫が少ないそうなので、気になる方はお早めに。

reverb


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