KAMIJO『Symphony of The Vampire』(2014)

01. 第一楽章「Presto」
02. 第二楽章「Sacrifice of Allegro」
03. 第三楽章「Royal Tercet」
04. 第四楽章「Dying-Table」
05. 第五楽章「Sonata」
06. 第六楽章「満月のアダージョ」
07. 第七楽章「Throne」

全曲作詞・作曲:KAMIJO
全曲編曲:Atelier Temple

Recording Band Menbers
Guitar:Anzi
Bass:Ju-ken
Drums:Kei Yamazaki

Addtional Musicians
1st Violin:Crusher Kimura
2nd Violin:Naoko Ishibashi
Viola:Shoko Miki
Cello:Masutami Endo
Acoustic Guitar:Keiishi Takahashi
Chorus:CHISEL
Manipulator:Yasuharu Ikeda


BONUS CD(初回限定盤Cのみ)
映画『ヴァンパイア・ストーリーズ』サウンドトラック
01. Escape
02. Battle with The Mixed
03. Eyes of Ai
04. at The Room
05. Dream
06. Usual
07. Hide-Out
08. False Face
09. The Mixed
10. Attack
11. Confession
12. Denial
13. Calling
14. Death of Midori
15. Brothers
16. Heart
17. ooze out
18. Game
19. Title of Vampire Stories
20. Approach
21. Theme of Ai
22. Recall
23. Garlic
24. Ringing
25. Ruin
26. Battle with The Mixed II
27. to Sei
28. The Creature
29. Think of Hisako
30. Departure
31. Conflict
32. Death of Asagi

Manipulator:Yasuharu Ikeda

発売日:2014/03/05
品番:WPCL-11720/1(初回限定盤C)

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LAREINE、Versaillesのボーカリスト:KAMIJOが、ソロとして2014年にリリースしたミニアルバム。
ソロ名義としては本作がメジャーデビュー作品となります。
自分の手元にあるのは、KAMIJOさんが音楽監督を務めた映画『ヴァンパイア・ストーリーズ』(2011)のサウンドトラックが付いた初回盤Cになりますが、アルバム全曲のMVが収められたBlu-rayもしくはDVDが付いた初回盤A、Bもあります(収録映像自体は同一)。
先にサントラ盤の方を取り上げますと、Versaillesの『Holy Grail』(2011)と同時期に作られた映画ということもあってか、同作収録曲と共通するメロディーがよく使われているのですが、アレンジ違いと言うよりも曲を細切れにした印象のトラックが多く(ワンフレーズだけで終わってしまうものも)、インスト集として楽しもうとするとやや肩透かしを食うかもしれません。
MV付きの方を購入すれば良かったか、というのが正直な感想としてありますが、現時点で映画の方を見ていないので、片手落ちの聴き方しか出来ていない可能性が大きいことは申し上げておきたいと思います。
『Holy Grail』未聴でサントラ内のフレーズが気になったという方は、そちらも是非。


話を戻しますと、本作は、フランス革命の最中に幼くして命を落としたルイ17世に関する物語を描いており、現実の研究結果をベースにした上で、もし彼が生き延びていたら――というもの。
各曲「第○楽章〜」とトラック分けされていますが、ストーリーは一本に繋がっているため、実質約28分の「Symphony of The Vampire」1曲と言ってしまって良いかと思われます。

楽曲のアレンジは、Versailles時代における耽美なシンフォニックメタル、というイメージからほぼスライドして聴けるものですが、「第一楽章「Presto」」と「第七楽章「Throne」」で同一のメロディーが使用される構成もあってか、より組曲的な構成が意識されている印象。
その「 Presto」〜「Sacrifice of Allegro」にかけては、疾走メロスピ+歌謡クサメロという王道感溢れる展開。ストーリーとしても序盤から急展開が続くため、聴き手を引き込む構成となっているかと。

その流れを汲んだ大仰な前半部と、オルゴールの音をバックにした物悲しいアレンジとなる後半部の展開が、短い尺ながら印象的な、ワルツ調の「Royal Tercet」から、攻撃性を前面に出した本作中ではやや異色な「Dying-Table」と、三、四楽章にかけては緩急をきつめに付けた印象の展開となります。

続いて、アップテンポながらも優美なメロディーの印象が強い「Sonata」。トータルで聴かせる向きの強い本作において、シングルカットに向いていそうだと個人的に思っています。サビでの「愛し方もまだ知らない耽美主義者だから〜」の言葉選びは、ともすれば笑いの方にスイッチが入ってしまう危険性もありますが(そういう人も居る筈)、そのナルシスティックさを照れなく大真面目に歌い上げるのが彼の強みだと思っています。

本作中唯一のバラード「満月のアダージョ」は、1コーラス3分ちょっとの尺であり、ストーリー上でも「Throne」へのブリッジ的な役割なのですが、単体で膨らませれば10分越えにも出来そうなコッテリしたアレンジとメロディーをこんな使い方をする辺りに、本作はあくまで7曲で1つで聴かせる意図が感じられます。……その内、このサビメロ使って、新たに曲作ってもおかしくなさそうですが。
その「Throne」では、「Presto」から帰ってきた大団円感のある疾走メロディアスアレンジとなり、楽曲・ストーリー共にクライマックスを迎えます。

この手の物語音楽色の強い作品は、フルアルバムでもストーリーがやや詰め込み気味になってしまうきらいがあるのですが、本作は30分弱の中に具体的な描写を盛り込みながら、必要十分な分量とテンポで展開していく印象を受けました(史実に即した題材を扱っているため、聴き手側の補完がしやすい点もあるとは思いますが)。
そういう意味では、ストーリーCDに興味はあるけれど、ナレーションやセリフ全開の物は敷居が高いかも……という層に対し、ねちっこい歌唱スタイルに好みが別れるかもしれませんが、ある程度入門に適した中編作品だと思っています。。
この後、ルイ17世が本当にヴァンパイアとして活動していく(一応ネタバレ反転 笑)展開が、次作『Heart』(2014)で描かれているのですが、本作単体でもストーリーは完結していますし。

昨年末、Versaillesの活動再開がアナウンスされたばかりですが、この一連の流れはバンドに組み込まれるのか、ソロはソロとして並行していくのか、気になるところです。


試聴あり




natalieインタビュー