V.A.『EMERGENCY EXPRESS 1992 〜surging the next crisis〜』(1992)

01. VIRUS / 小さな恋のメロディー
02. しいもんきい / MY LIFE FOR YOU
03. LUCKY BON BON / WHISKY SMOKY DRIVING IN THE NIGHT
04. LIGHT & SHADE / TIME
05. SIGHS・OF・LOVE・POTION / SAVE THE LAST KISS (FOR ME)
06. THE HAREM Q / LOVE WITH ASPERITY
07. SILVER-ROSE / RAIN
08. ZINX / GLASS TOWN MEMORY
09. Amphibian / Eumenides
10. 蝶蝶 (てふてふ) / LONG BREAK TIME
11. KARIOSTORO - RABIRYNTH
12. DIE-KUSSE / EGOISTIC

発売日:1992/03/21
品番:TFCC-88016


***

1990年代にトイズファクトリーから出ていたオムニバスシリーズの一枚。
所謂ジャパメタ、パンク〜初期V系の系譜の面子が収められていますが、後にメジャーバンドで活躍する人達が在籍していたバンドも多く、参考文献をを遡るような面白さを感じられます。

01. VIRUS / 小さな恋のメロディー
作詞・作曲:HIRO 編曲:VIRUS

メンバーの変遷は大きかったようですが、本作ではギター:KIYOSHI(media-youth、Spread Beaver、machine、Lucy等)、ベース:IKUZO(馬場育三)(Dragon Ash)、ドラム:SHUE(AION、MALICE MIZERサポート、S.Q.F等)とビッグネームが揃っていました。
こちらは、休みなく動くベースとドラムをメインとしたアレンジにキリキリとしたギターが絡む、躍動的ながらも怪し気な雰囲気を持った楽曲となっています。

02. しいもんきい / MY LIFE FOR YOU
作詞:LUCY 作曲・編曲:しいもんきい

親しみやすくキャッチーな歌メロとコーラスワークが映えるポップチューン。
ボーカルのLUCYが後に結成するRed Tail Catのアルバムでもリメイクされていますが、こちらのしいもんきい版では、ややがなるような歌い方を交えているのが違いとして挙げられます。

03. LUCKY BON BON / WHISKY SMOKY DRIVING IN THE NIGHT
作詞:南木敦 作曲:斉藤清司 編曲:LUCKY BON BON

DECAMERONの元メンバーだったANDYがギタリストとして在籍していたバンドですが、上で触れたRed Tail Catと親和性の高い、懐かしくも耳に残るメロディセンスが武器だったデカメロンのイメージで聴くと、ライトでパンキッシュな曲調に、当時驚かされた人も多かったのかもしれません。ハスキーで吐き捨てるように歌うボーカル含め、これはこれで王道のスタイルと言えるでしょうけれど。
その作曲者の斉藤清司ですが、調べても本オムニバスの情報しか出てこなかったり。メンバーの誰かの本名なのか、過去の在籍メンバーなのか……。
※2016/03/01追記:ANDY氏の本名であるとの情報を頂きました。

04. LIGHT & SHADE / TIME
作詞:原徹 作曲:三上大吾 編曲:LIGHT & SHADE

近年では、池袋手刀に年一回出演するイメージで親しまれている(?)LIGHT & SHADE。つまり、本オムニバス収録バンドの中では現役なんです。この後のハーレムQと並び、本作に手を出した動機の1つがこちらだったりします。
その「TIME」は、シンプルなビートロックを基調としながらやや陰を持った耽美な色も感じられる楽曲。ちょっとDer-Zibetっぽいなぁとも。

05. SIGHS・OF・LOVE・POTION / SAVE THE LAST KISS (FOR ME)
作詞・作曲:YUJI IZUMISAWA 編曲:SIGHS・OF・LOVE・POTION

こちらもビートロックが骨子としてありますが、男臭い歌い方ながら爽やかな歌メロや、シンセを導入したアレンジにより、開けたきらびやかな印象を強く受ける楽曲となっています。作曲者のYUJI IZUMISAWAはこの時点でバンドを離れていたようですが、調べてみたらXの初期メンバーだったのですね。
ドラマーの加藤宏一は後にmedia-youthを結成。後、ベーシストのSEXY ROSE HARRYが最近になってPhaidiaに入ったのを知りちょっとびっくり。
本オムニバスにしかスタジオ音源は残っていないようなのですが、結構好みに入った楽曲になりました。

06. THE HAREM Q / LOVE WITH ASPERITY
作詞:星丸 作曲:MARKEY 編曲:THE HAREM Q

現SPEED-iDのギタリスト:MARKEY(MARQUEE)のほか、ベース:ROUGE(Billy & the Sluts、SPEED-iDサポート)、ドラム:SAKURA(L'Arc-en-Ciel、ZIGZO、gibkiy gibkiy gibkiy等)と、こちらも後に知名度を上げる人達が在籍していたバンド。
今となっては時代を感じてしまいますが、打ち込みを交えた華やかなアレンジと底抜けに明るいメロディは、当時としては結構先を行くものだったように思えます。思えば、SPEED-iD加入後のMARQUEE曲は、結構ポップな印象が強いイメージがあったり(丁度iDがダンサブルなアレンジに大きく舵を採っていたのもあるでしょうけれど)。それでも、隙あらばといった感じでギラついたギターソロを入れてくるのがMARQUEE色なのでしょうか。

07. SILVER-ROSE / RAIN
作詞・作曲:YOWMAY 編曲SILVER-ROSE

KOHICHI(Laputa、Everlasting-K、XOVER等)、KAIKI(ROUAGE、WITH SEXY等)らが在籍していたSILVER-ROSE。本作では未加入ですが、後にmerry go roundやKneuklid Romanceで活動するドラマー:キョウもおり、後にメジャーシーンで活動する有名所が揃っていました。
楽曲の方は、80年代の色を濃く残したメロディーを乗せた勢いあるポップロックとなっており、男臭い低音を武器を特徴とするYOWMAYのスタイルとも相まってヤンクロック色も感じるものとなっています。個人的には、解散後にYOWMAYさんが組んだSlide Rareを、別のオムニバス盤で先に聴いていた事もあってか、ハードな楽曲が映えるボーカリストという印象が強い。
ここから90年前後のシーンを広げてみるのも面白いと思います。

08. ZINX / GLASS TOWN MEMORY
作詞:KAI 作曲:KOICHIRO 編曲:ZINX

ハスキーなボーカルとツインギターが前に出た、シンプルなポップロックチューン。
やや音が軽いかな? とも思いますが(後ろがAmphibianのため余計にそう思うのかもしれませんが)、曲調時代はSILVER-ROSEにも通じる、時代を感じさせながらも親しみやすいメロディラインが印象的なもの。

09. Amphibian / Eumenides
作詞:SHELLA & KAZUKI 作曲・編曲:Amphibian

個人的に、この後に出たアルバムの方を先に聴いていたのですが、その際はスラッシュメタルを基調としながら、和風や中東風な旋律が顔を出すバンド、という印象を持っていました。
こちらのオムニバスでも、小気味良く高速で刻まれるギターに爆走するリズム隊、ハスキーなボーカルという基本を抑えつつ、やはり日本人好みなメロディーが耳に残るもので(所謂クサメタルともまた違うような)、バンドの魅力が伝わりやすい1曲になっている気がします。

10. 蝶蝶 (てふてふ) / LONG BREAK TIME
作詞・作曲:円花 編曲:蝶蝶

デジタルサウンドをメインにした、本作中では特に異色な位置にある印象の耽美なエレクトロポップナンバー。
ボーカルが終始高音が苦しそうなのが、楽曲とミスマッチ気味で勿体無いでしょうか。この手のアレンジは普通に好物なので、下手でも良いから低音利かせてナルシスティックに歌ってくれれば……と思わずにいられません。
余談ながら、そのボーカル:藍璃のルックスについて「BUCK-TICKの櫻井敦司を彷彿とさせる」とブックレットのライナーに記述がありますが……確かに似ている(笑

11. KARIOSTORO / RABIRYNTH
作詞:TAISEI 作曲:HEATH 編曲:KARIOSTORO

ベーシストの名前がHEATHとなっていますが、X JAPANの方と同一なのかそうでないのか、調べても情報が錯綜気味だったり(アー写見てもイマイチピンと来ない)。
楽曲の方は、良い意味で暑苦しいジャパメタといった印象。ギターをハモらせるパートでいきなり音が軽くなるのがやや気になるものの、そのギターが多彩なソロを披露するためプラマイゼロになっている……かもしれません。こちらもAmphibianのようにちょっとアラビアンなメロディーが出るのですが、曲全体の印象は全く違うのが面白いです。

12. DIE-KUSSE / EGOISTIC
作詞:CHITO 作曲:OKA 編曲:DIE-KUSSE

ベースにMAC(SPEED-iD)、ドラムにKARSUKE(Billy & the Sluts、NA-ZE?)が参加していたディーキュセ。
ライナーにもあるように、アメリカンなハードロックを強く意識したと思われる、ポップなメロディーとカラッとした演奏が映えるロックチューンとなっています。翌年に参加したオムニバス『BRAINTRASH』では、やや高音効かせすぎかなと思ったCHITOのボーカルも、こういう曲調にはばっちりハマっており、もしかしたら本作中では一番安心して聴けた楽曲かもしれません。
『BRAINTRASH』の方では、本作でTHE HAREM Qに居たSAKURAがドラマーになっています。

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正直、曲の感想書いている時間よりも、各バンドやメンバーのキャリアを調べている時間のほうが長かったのですが(笑 調べてる途中にLIGHT & SHADEのアルバムを思わずポチった)、本当に「人に歴史あり」という言葉を思い起こさせるオムニバスでした。
全体的に時代を感じる楽曲も多いため、各人の現行のイメージで遡った場合、ともすれば違和感があるかもしれませんが(SILVER-ROSEはそんなケースが多そう、という勝手な想像)、時期や関わる人が異なるプロジェクトと比べて、過剰にどうこう言うのも野暮なもの。そこも含めて変遷を味わえば更に楽しめるシリーズなのではないでしょうか、と自戒を込めて〆てみる。

また、本オムニバスについて調べていた際、ボーカル:星丸が現在活動しているPLANET GOLDのライブ映像に辿り着いたのですが……ビジュアル面含めてハーレムQの方向性を突き詰めたらこうなった的な感じが、真面目に凄いと思ってしまいました。今更ながら気になりすぎる。


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