MALICE MIZER『memoire』(1994)

01. de memoire
02. 記憶と空
03. エーゲ海に捧ぐ
04. 午後のささやき
05. 魅惑のローマ
06. seraph
07. バロック

※07:DX盤のみ収録ボーナストラック

全曲作詞:tetsu
作曲 01〜05、07:mana / 06:kozi
全曲編曲:Malice Mizer

発売日:1994/07/24、1994/12/24(DX盤)
品番:M:N-001、M:N-001DX(DX盤)

Members
vocal、classic guitar(04):tetsu
syn guitar、syn keybord(01):mana
syn guitar、syn keybord(06):kozi
bass:yu〜ki
drums percussion:kami

female voice(04):e〜da
sequence programer:miyuki takahashi


***

1994年にリリースされたMALICE MIZERの1stミニアルバム。デモテープやオムニバス参加曲を除けば、初の単独音源になります。
7月にシリアル番号入り限定盤を含む6曲入りのものが出ますがすぐに完売、12月にボーナストラック「バロック」を加えた『momoire DX』が改めて発売、という形になっており、現在はそのDX盤が主に流通しています。
これを書いている時点において、オフィシャル通販で新品購入が可能というのは、20数年前のインディーズ作品という事を考えれば何気に凄いような。
本作までボーカルを務めたのは、後にZIGZO、nilを結成するTetsu(高野哲)。高音でしゃくり上げるような歌い方は、中〜低音で朗々と歌い上げるボーカリスト(Gackt、Klaha)を擁するバンド、という後のイメージのまま遡ると良くも悪くも驚いてしまうかもしれません。ただ、V系界隈全体で見れば、この歌い方自体は寧ろスタンダードなものなのですけれど。
アレンジはバンドサウンドをメインとしたものですが、クラシカルなメロディーや変拍子の多用といった、この後も一貫して貫かれる要素も既に備えているのが本作の特徴として挙げられると思います。


01. de memoire
ピアノによる物悲しいシンプルなフレーズをループさせた、1分弱のインスト。

02. 記憶と空
変拍子を用いたパート割りや、Mana、Koziによるクラシカルなツインギター(シンセ)のハモリが印象的な、実質的オープニングナンバー。
初めて聴いた時には、後の作品に比べてシンプルな音と、時計や悲鳴のSEを用いた不気味な演出に、ホラーな印象も受けたのを覚えています。改めて聴き返すと、楽曲の尺に対する展開・歌メロの多さに驚かされる。
スタジオ音源にはなっていませんが、Klahaさん加入後に歌詞・歌メロを変えた「記憶と空〜再会そして約束〜」としてリメイクされています(ライブ作品『薔薇に彩られた悪意と悲劇の幕開け』(2000)で視聴可能)。

03. エーゲ海に捧ぐ
哀愁あるメロディーが印象的なミディアムナンバー。こちらも歌詞・歌メロを変え、Gacktさん在籍時のアルバム『merveilles』(1998)にて「エーゲ〜過ぎ去りし風と共に〜」としてリメイクされました。
曲調に対し、ややボーカルが力入り過ぎかとは思いますし(息継ぎも気になるのかなぁ)、全体のクオリティもメルヴェイユバージョンの方が安心して聴けると思うのですが、全体の歌メロや大サビで切々と盛り上がるアレンジなど、個人的にはこちらのバージョンに軍配が上がります。ただこれは、向こうを先に聴いていたからこその部分はあるのかもしれませんが。
間奏のクラシカルで優雅なフレーズは両バージョン通して印象的です。

04. 午後のささやき
Tetsuさんによるクラシックギターがメインの、弾き語りフレンチボッサ風の小曲。
こちらももう少し穏やかに歌っても良かった気がしますが(ウィスパーボイスっぽくしようとしているのは伝わってくる)、逆に言うと、そういう上品な曲調が1stからしれっと入っているということでもあり。
サビと大サビが各1回ずつの構成ですが、その大サビではバンドアレンジになり一盛り上がりします。

05. 魅惑のローマ
全編に渡ってキメで出来ているのではないかと思わせられるくらいに、変拍子とその都度入るギターによるキメのフレーズが印象的。その上で終始疾走しているため、メロは優雅なのに急かされる感じが。ある意味、マリス流初期衝動的楽曲と言えるのかも。
サビも正統派に歌い上げるキャッチーなもので、90年代V系好きには次曲と並んで親しみやすい楽曲かもしれません。

06. seraph
本作唯一のKozi曲で、ピアノによる華やかなイントロ、急ぎ気味のドラムが印象的な疾走ポップナンバー。
こちらも高揚感あるサビメロが気持良く(歌詞は「殺しておくれ」ですが)、とっつきやすい曲調になっているのがKoziさん色でしょうか。当初はこれがラストに配置されたのも頷ける、初期の佳曲と言えると思います。
急ぎ気味と言えば、アウトロもっと長く取っても良かった気が(聴く度に、もうフェードアウト!? となる 笑)

07. バロック
「記憶と空」や、前年に参加したオムニバス『BRAINTRASH』収録曲「SPEED OF DESPERATE」を発展させたような、マリスのイメージの1つである変拍子とクラシカルにハモるツインギターが大活躍の疾走ナンバー。
こちらも、扉が軋んだりガラスが割れたりするSEが挿入され、良い意味でB級ホラー的な雰囲気を感じたり。所謂ポップス的でない展開が多く尺も7分を越えますが、楽曲自体のテンポの速さや、「エリーゼのために」を引用したギターパートなど、全体的には軽快に聴ける印象を受けます。
ラストにおける大サビのバックで、Aメロが再び顔を出す構成は今聞いても面白い。
扱いとしてはボーナストラックながら、完全にアルバムの主役となった楽曲だと思っています。

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この後の音源が物語・演劇的要素が強いのに対し、書き立てのエッセイのような生々しさがあるのが本作の色でしょうか(歌詞に直截な表現が目立つからかもしれないけど)。
ある意味最も「V系バンド」していた頃のマリスが味わえるアルバムかもしれません。

memoirememoire
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