Vollstrecker『RE:START』(2013)

01. RE:START
02. insanity-現の旋律、幻想の調べ-
03. AngelPowder
04. 緊張感
05. -se-
06. to die for...

作詞 01:咲汰、53 / 02:紅麗 / 03:龍之介 / 04、06:咲汰
作曲 01:53 / 02、05、06:紅麗 / 03、04:龍之介
編曲 01〜04、06:Vollstrecker / 05:咲汰、紅麗

発売日:2013/05/15
品番:VRCD-001

Members
Vo:咲汰
Gu:紅麗
Gu:53
Ba:龍之介


***

突如にして現れた四人の処刑人が今此処に
罪人達の物語を奏でる.その名は…
Vollstrecker(フォルシュトレッカー)


※帯より

2013年に結成されたバンド:Vollstreckerが、同年に200枚限定でリリースした1stミニアルバム(CD-R仕様)。
SEを含みながら6曲入りで500円という値段設定。同時にタイトル曲のMVをフルサイズでYoutubeで公開(先行公開だったかも?)。
自主制作のバンドが、まずは聴く敷居を下げて知名度上昇を図ろうとする、その戦略自体は正解だったのですが……。


1曲目に当たるその「RE:START」では、開始10秒で入ってくるリードギターの音程の自由さに、何もかもが崩れていく感覚に襲われる。昼間の公園で撮ったと思しき、手作り感溢れる映像は、バンドの規模を考えれば寧ろ頑張っていると思えますし、終始高音が厳しいボーカルも、ジャリバン好きな人には親しまれそうなのですが、このギターで全てが上書きされてしまう凄まじさがあります。ただ、大サビで極端な高音を出しているバックコーラスは、ギターに負けてない……かも(それが良い事なのかどうかは積極的に沈黙しますが)。
自身を鼓舞するような歌詞や明るいメロディーなど、音が納まるべき所に納まれば青春パンクっぽくなりそうだと感じる曲調は、帯の売り文句や出で立ちからするとチグハグな印象を受けてしまうかも(メロ自体は割と好き)。ただ、ボーカル以外のメンバーは、本バンド結成前は同じバンドに在籍していたようなので、敢えてこういったタイトル・曲調にしたのかもしれません。事実、これ以外の楽曲は、ダークな路線のものがメインな印象を受けます。

続く、「insanity-現の旋律、幻想の調べ-」は、邪悪なリフやボーカルのシャウトが思った以上に様になっており、これは持ち直したか! と思うも、ツインでのハモリをはじめとするギターが、主旋律の把握が困難な程奔放で、頭がクラクラさせられます。ギターの知識は全く無いので断言できないのですが、リフではそうでもないのに単音弾きになるとひっくり返りそうになるのはどういうことなんだろう。
咲汰さんは、ノーマル歌唱はかなり厳しいのですが、やや乾いたシャウト・デスボイスは普通に迫力があり、バンドが目指していただろう90年代後半のV系界隈で言うなら、ノーマル:初期Aliene Ma'riage・シャウト:Phobiaが連想されます。

ポップさを意識したと思われる「AngelPowder」や、ダークなビジュアル面とタイトルとのギャップが話題を呼んだ(ような気がする)「緊張感」も、高音が上がり切らないボーカルによって、キャッチーなサビが損をしてしまっているのですが、リードギターの迷子ぶりによって、歌メロの印象が薄くなる逆転現象が。個人的に「緊張感」は、その題名と裏腹に、(音が整理されてさえいれば、という前提で)メジャー感のある正統派メロディアスチューンたりえたと思っています。後、イントロを始めとしたシンセのフレーズが、某奇術的旋律バンドの「鬼○桜」っぽいような。
SEを挟んだラストの「to die for...」は、サビのバックに男声コーラスを交えており、壮大感を意図したかったのかと思うのですが、そのサビメロが盛り上がりに欠けるでしょうか。ギターの奔放さは相変わらずなのですが、楽曲としてはやや地味な印象。

所謂「ジャリバン」で槍玉に挙がるのは、音質面は勿論、フロントに立つボーカルの技量だったり、ドラムの安定性だったりすることが多い気がするので、ギター単体でここまで……という点でも、本作の衝撃は大きかったのかもしれません。
演奏者の技術的な問題なのか、機材の設定におけるミスに気づかなかったのか。自分は楽器経験がないので詳しくは分かりません。クレジットを見る限り、写真やアートワーク以外の作業は全てメンバー自身で行われていたようなので、レコーディングで何らかの不備が見過ごされたまま、金銭・スケジュール上の制約でこのまま出してしまったのだと思います、思わせて下さい(ライブではここまでメタメタではなかった、というレポもネット上で見かけましたし)。

バンド自体は翌年に活動停止。全国流通がアナウンスされていた2ndミニアルバムも、出たのか出なかったのかうやむやになってしまいました(調べたところ、ライブ会場で予約した人の元には届けられたようですが、全国流通はしていない模様)。
総じて、若気が至りまくっていますし、幅広い層に勧められるか? と聞かれれば全力でNOなのですが、何故か嫌いになれない作品。これは、手抜きでこうなった訳ではなく、当時の技術と感性を以って全力を尽くしたらこうなった/こうなってしまった、的な、大なり小なり創作における普遍的な感傷が感じられるからなのかもしれません。バンドのYoutubeチャンネルから、「RE:START」MVを含む2013年分の映像がほぼ削除されているというのは、つまりそういうことなのでしょうね。

インパクトだけで測るのであれば、2013年に聞いた新譜の中ではぶっちぎり。3年経ち改めて聴いても、その衝撃に揺るぎはありませんでした。


※参考:本作が広まる震源地となった、魚がとれた様のレビュー
【番外レビュー】 RE : START / Vollstrecker (安眠妨害水族館 mixiページ)
RE : START / Vollstrecker (安眠妨害水族館)


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Youtube公式チャンネル

前述の通り、「RE:START」のMVは現在公開されていませんが、バンド名と一緒に検索すれば某所にアレされているのが確認でkゲフンゲフン