松元治郎『I come back again』(2016)

01. I come back again
02. Farewell, my love
03. Next World
04. Lip Server
05. その眼差しだけが
06. Shake it off
07. 在るべき場所へ

全曲作詞:松元治郎
作曲 01:松元治郎 / 02:綿貫正顕 / 03、05:木村真也 / 04、06:安保一生 / 07:木村真也、松元治郎
全曲編曲:安保一生

発売日:2016/02/02

Vocal:JIRO MATSUMOTO

Producer、Guitar、Programming、Recording、Mix:ISSEI AMBO


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『Reverb』から約3年半振りとなる、松元治郎(和久二郎)の2ndミニアルバム。現時点で、オフィシャルサイトでの通販のみで購入が可能です。
安保一生、木村真也+綿貫正顕といった、3期WANDS時代のメンバーを中心とした楽曲提供陣や、その安保さんがトータルプロデュース(演奏・レコーディング・通販手続き等)を担う制作体制は、前作と共通。
予約特典として、松元さん直押しの手形が付属。サインではなくて手形というのは、この手の特典では結構珍しい部類に入る気がしますが、どうなんでしょう。そして思った以上にデカかった……笑
前作は松元さん作のバラードをメインに、バランサーとしてアップテンポな楽曲が配置されており、良くも悪くも個の力で勝負した作品という感があったのですが、本作では、アルバム全体の流れも意識したのかなというのが第一印象。
1曲目のタイトル曲「I come back again」からして、テンポは抑えめながら、デジタルなエフェクトを混じえ抑制された雰囲気から、力強く歌い上げる爆発力のあるサビへの展開に開放感を感じるロックナンバーとなっており、3期WANDSサウンドの継承をしつつ、前作とはまた雰囲気が違うぞと思わせることに成功していると思われます。
アレンジ面は安保さんに任されているとはいえ、自作曲でこういうものが出て来た、という点でも、驚かされた面はあったかもしれません。

ちょっとシンフォニックなイントロが印象的な、歌謡メロが立ったデジロック「Farewell, my love」、ファンキー色を持つアップテンポナンバー「Lip Server」など、前作で見られたアッパー寄りの楽曲も、本作ではより勢いをつけて聴く事ができ、こういうのをメインに聴きたかったんだよ! という層には嬉しい流れなのではないでしょうか(個人的に、居酒屋政談的な「Lip Server」の歌詞は、ちょっと薄っぺらいというか、歌唱力に比べた作詞での現役感が薄く感じてしまいますが、これは聴く側の好みの問題)。

そして今回、個人的にハマったのは木村、安保両氏がそれぞれ作曲した「Next World」と「Shake it off」。
どちらも爽やかなシンセと歌メロが前に出たポップチューンで、特に「Shake it off」は、ピアノのアレンジに90年代臭、もっと言えば往年のビーイング臭が感じれられ、(変な意味を含まず)3期WANDS以前の時期のビーイング系グループが演っていそうな普遍的なポップスとして、懐かしさを含んだツボを押されてしまいました。3期WANDSとしては、こういう方向は実はメインではやらなかった印象なので、懐かしいけど新鮮というのが面白い。

前作でメインを占めていたスローバラードは、今回2曲に抑えられており、松元さん作のバラードを求めている人にとっては、やや食い足りない部分があるかもしれません(本作は自作曲自体が少なめというのもあるけど)。個人的には、これ位のバランスが楽曲を味わうには丁度良いかなと思っていますが。
ラストの「在るべき場所へ」は、良い意味でベタな大団円感があり、アルバムの締めとしては適した位置にあると言えるでしょう。

前作と同様、この制作陣に求められているものを出しつつ、作品全体の構成にもより気を配った印象の作品。安保さんによると、音質を派手過ぎないようにしたということなので、その辺も聴きやすさに繋がったのかもしれません(参考:安保氏Twitter)。
それぞれ本業が別にある人達という事もあり、大きく販路を広げることはなさそうですが、3期WANDS及び90年代ビーイングサウンドが好きな方には、是非手に取って欲しいアルバムです。

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