BUCK-TICK『形而上 流星』(2014)

DISC1 (CD)
01. 形而上 流星
02. メランコリア -ELECTRIA-
03. VICTIMS OF LOVE with黒色すみれ

全曲作詞:櫻井敦司
全曲作曲:今井寿

DISC2 (Blu-ray / DVD) (初回限定盤A / Bのみ)
LIVE at 郡山市民文化センター 大ホール(2013.12.23)「THE DAY IN QUESTION」
01. STEPPERS -PARADE-
02. 羽虫のように
03. RHAPSODY
04. KISS ME GOOD-BYE
05. 太陽ニ殺サレタ
06. LOVE PARADE
+東北LIVE DOCUMENT

発売日:2014/05/14
品番:TKCA-74090 (初回限定盤A)、TKCA-74091 (初回限定盤B)、TKCA-74092 (通常盤)

Members
Vocal:SAKURAI ATSUSHI
Guitars、Electronics and Chorus:IMAI HISASHI
Guitars:HOSHINO HIDEHIKO
Bass:HIGUCHI YUTAKA
Drums:YAGAMI TOLL

Synth Manipulate (01):Cube Juice
Manipulate & Synthesizer (02):YOW-ROW [GARI]
Keyboard (03):MORIOKA KEN
Backing Vocal & Accordion (03):ゆか [黒色すみれ]
Violin (03):さち [黒色すみれ]

BONUS DISC Director:HAYASHI WATARU


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BUCK-TICKのメジャー32枚目のシングル。タイトル曲と「メランコリア」は、翌月にリリースされたアルバム『或いはアナーキー』に収録されていますが、どちらもアルバムとは異なるバージョンとなっています。

まず初回限定盤ディスクの方を取り上げますと、東北3県+武道館のツアー「THE DAY IN QUESTION」から、2013年12月23日・郡山市民文化センターでのライブより6曲を収録。公式サイトのセットリストを確認する限り、本編・アンコールから満遍なくセレクトした構成になっています。
「東北LIVE DOCUMENT」に関しては、曲間に他会場の開場時の風景・ライブ本編ダイジェスト・開演直前のメンバーの様子などが、短時間挿入される形になっており、インタビュー・長時間のオフショット等があるわけではないので、ドキュメントの量に期待する人はちょっと気を付けたほうが良いかもしれません。
個人的には、ギターソロがクリスマスソングメドレーに変わっている「RHAPSODY」、良い意味で観る側を黙らせるパワーを感じた「太陽ニ殺サレタ」等、ボリュームは少ないながら楽しめる特典でした。


01. 形而上 流星
淡々とした打ち込みと浮遊感のあるノイジーなギターが前に出たミドルバラード。10年代以降、度々参加してきたCube Juiceがマニピュレートに参加しています(星野曲への参加が多かったですが、今回は今井曲への参加)。
近年のBUCK-TICK楽曲として王道感があり、「MISS TAKE〜僕はミス・テイク〜」の系譜に近いかとも思いますが、その浮遊感あるアレンジと耽美ながら開けたサビメロ・大サビのコーラスなどもあり、個人的には陰の要素を持ちつつも優しい印象が上回る楽曲となっています。

02. メランコリア -ELECTRIA-
全編に亘ってEDM色を全面に出したエレクトロナンバー。シンセサイザーとマニピュレートに、GARIのYOW-ROWが参加しています(YOW-ROWさんは、櫻井敦司のソロ活動時に楽曲提供をしたり、今井さん在籍のSCHAFTが再結成した際、ボーカリストとして参加)。
90年代からデジタルサウンドとの親和性が高いBUCK-TICKですが、EDM要素の導入については、この時期からになるのかな? とにかくキメの多いアレンジと、ダークな歌メロとの対比が強烈。アルバム版では、打ち込み要素を残しつつつ、バンドサウンドメインのアレンジになっているため、先行してリミックスバージョンを披露した、と捉えて良いかもしれません。タイトル曲との緩急も分かりやすく、良い意味でゲスト参加者のエゴが出た印象。

03. VICTIMS OF LOVE with黒色すみれ
『SEVENTH HEAVEN』(1988)収録曲の、ゆか、さち(黒色すみれ)の2人をゲストに迎えた再録バージョン(ピアニストとして、森岡賢も参加)。スタジオ音源としては、セルフカバーアルバム『殺シノ調ベ〜This is NOT Greatest Hits〜』(1992)に続く、3度目の収録になります。
今回のバージョンは、女声コーラスやアコーディオン・バイオリン、タンゴのリズムが印象的な、歌劇的要素も感じるレトロゴシック歌謡とも呼べるものに生まれ変わっており、ダウナーなゴシックパンクアレンジだったオリジナル版、きらびやかさを増した『殺シノ調ベ』版とも大きく異なるアレンジ。元々サビメロ自体には耽美な歌謡要素があったので、その色が今回改めて前面に出てきたと言えるかもしれません。
また終盤には、ゆかさんとのツインボーカルによる、大サビパートが新たに追加されており、ドラマティックさ・歌劇要素の強まりに貢献している印象があります。

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本当に三者三様というか、見事に方向がバラけた印象のシングル。最初に聴いた際は、アルバムどの路線で行くんだこれ……と思ったものでした(結果:全部入り、だったわけですが)。
タイトル曲・カップリング共に、アルバム収録されたバージョンとは違いが分かりやすいため、アルバム中心に追っている人にも楽しめるシングルなのではないかと思っています。

参考:LIVE 2013 (BUCK-TICK Official Web Site)


試聴あり
形而上 流星【初回限定盤A /CDMS+Blu-ray】
BUCK-TICK
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2014-05-14