LUCA『REBORN EP』(2000)

01. 海岸線の奇跡
02. 不死鳥の翼
03. 信念

作詞 01:グ・スーヨン / 02:Yoji Kubota / 03:Jun
全曲作曲:Jun
全曲編曲:Jun・Takayuki Hijikata

発売日:2000/11/29
品番:UPCH-5021


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『SUICIDE EP』に続く、LUCAの2ヶ月連続シングル第2弾。
ギタリストのJunが3曲全ての作曲を行い共同編曲でも参加するなど、音作りにおいて彼の色が濃く出ている作品になるでしょうか。


01. 海岸線の奇跡
シンプルなアレンジで穏やかに展開しながら、サビではざっくりと刻まれるギターと共に、ボーカル:KAZUKIが熱唱するメロディーが印象的なバラード。作詞は小説や映像監督等でも活動するグ・スーヨンによる提供。
V系界隈に限らず、バンドが模索に入る時期に、ルーツを辿る為かシンプルなアレンジで、テンポを落として……となると、ともすれば没個性に陥りかねませんが、こちらに関しては熱さと切なさを持ったメロディーが前に出ており、シングル的分かり易さも持ち合わせているように思えます。

02. 不死鳥の翼
こちらも作詞は外部から、久保田洋司作となっています(不勉強ながら、ジャニーズ界隈への作詞キャリアの凄さに、今回の記事を書くにあたって気付いた)。
サビ始まりの終始熱く哀愁あるメロディーと勢いのあるアレンジ、曲タイトルから想像出来るような熱量のある歌詞とがあいまって、この時期のバンドカラーが即効性を持って伝わる、LUCA後期の佳曲と言えるのではないでしょうか。今聴くと、哀愁パンクバンドがヒーローソングを手がけたらこうなる、的な匂いも感じられたり。

03. 信念
基本的にギター一本で弾き語ったようなミドルナンバー。途中で音は重ねられますが、基本的にはギター+ボーカルのみで展開していきます。前2曲の印象が強いことや、ややラフな歌唱・音作りも含め、個人的には良くも悪くもボーナストラック的な位置になるでしょうか。
一次情報に触れられなかった為、確かなことは言えないのですが、この曲に関しては作曲者のJunさん自身がボーカルを取っているとの事です(声的にKAZUKIさんでないのは確か、な筈)。

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作詞・アレンジ陣が若干異なるからか、シリアスな印象を受けた前作シングルに比べ、より「熱さ」が出ているのがこちらなのかなと(路線自体は共通していると思う)。
翌年のシングル『激しい雨 / Around』で、バンドは解散。メジャー1stを区切りに、相対的にハード・シンプルな方面を模索し始めた(ものの)――という流れ自体、当時のあるあるだったのかもしれません。ただ、(歌謡要素は前提にありますが)時代を感じさせ過ぎず、新たな顔を見せてきたこの路線でのフルアルバムも聴きたかったと思わせられ、個人的には意味のある時期だったと思っています。


試聴あり
海岸線の奇跡
LUCA
ポリドール
2000-11-29