一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2010年10月

子供の頃、お弁当などに入っていた母が作る玉子焼きは、今思うとかなりしょっぱかった気がします。

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2010/10/06にリリースされるオムニバスアルバム「原点」が一部の界隈をザワつかせています。


第2次ヴィジュアル系バンド・ブームを担うバンドたちの系譜をたどり、その原点となった面々の名曲を集めたコンピレーション・アルバム。La'cryma ChristiやSHAZNAをはじめ、ひと世代前のヴィジュアル系の魅力が再確認できる。

『原点』/CD
アーティスト:LUNA SEA/La'cryma Christi/PIERROT ほか
曲目タイトル:
1.gravity/(LUNA SEA)[5:35]
2.唄/(BUCK-TICK)[4:00]
3.HERO/(Zi÷KiLL)[5:15]
4.Melty Love/(SHAZNA)[5:20]
5.未来航路/(La'cryma Christi)[4:14]
6.ENDLESS LOVE/(D-SHADE)[3:22]
7.SkY/(Lastier)[4:15]
8.ラストレター/(PIERROT)[6:01]
9.スライド./(Plastic Tree)[4:21]
10.白い闇/(ROUAGE)[4:29]
11.meet again/(Laputa)[5:17]
12.コングラッチェ/(CASCADE)[3:01]
13.ロマンス/(PENICILLIN)[4:52]
14.1/3の純情な感情/(SIAM SHADE)[3:43]
15.月下の夜想曲/(MALICE MIZER)[3:43]


楽天ブックス: 原点 - (オムニバス) : CD

90年代後半のブレイクにブレイクしたバンドを中心として、有名どころの楽曲はざっと押さえられている感はあり、自分がヴィジュアル系バンドにハマり始めた時期が正にこの辺りだったこともあって、リアルタイムで聴いたものが多く、バンドの並びを見るだけでニヤニヤくるものがあります。「○○(バンド名)が入ってねーぞ」「××の代表曲は■■じゃなくて△△だろjk…」という突っ込みは、思い入れが強いファンが多いであろうこの手のオムニバスにはありがちなのでしょうが、選曲したレコード会社の中の人的にはこんな感じという事なのでしょう。上述したV系四天王(しかしいつ見ても小っ恥ずかしい呼称だ…w)周辺の第二次ヴィジュアルブームを知りたい人への入門盤としてはこれはこれで――ってあれ? 上のリンクの説明だと今が第二次ヴィジュアルブームみたいな書き方になってる??

恐らくこのオムニバスが総ツッコミを受けている理由もこの辺りにあって、個人的には90年代前半のX、LUNA SEAのブレイクを中心にした時期と、先に述べた90年代後半〜2000年位の時期と2つの山がある印象なのですが、このアルバムがそこを一まとめにしたと考えると、時期もバンド数もまだまだ広く集めるべきだった気がしますし(第一の山の時期からBUCK-TICKとジキルだけというのはやっぱり寂しいかも)、これに「原点」という看板を付けたのはちょっと大きく出すぎちゃったかな? という思いを抱く人が居てもおかしくないかもしれません。というかV系好きをターゲットにしているとは言え、皆の音楽的「おふくろの味」なんて一人一人違うのは当たり前なんですから、いっそ最大公約数的に網羅するのをやめて選曲者の顔を前面に出すべきだったのかも。ほら、誰か適当にメジャー所の若手V系バンドマンを集めるとかして!w(そう言えば、少し前にこういうコンピで東海林のり子セレクションが出ていましたね)

繰り返しになりますが、90年代後半のV系シーンをサラッと知るにはなかなか適したアルバムだと思っています(何気にSHAZNAはポップな良曲をいっぱい残していますよ)。後は皆の好み次第でしょうか。
…因みに私は今でも甘い卵焼きが苦手です(あれ!?)

***

他のサイトさんに倣って、自分もマイ原点ベストを作ってみようかとも思いましたが、後追い感が半端ない上に知識抜けがボッコボコあるので(デランジェなんて再結成するかしないかの頃に聴いたんだぜ…;)、興味深かった所を勝手ながら幾つかリンクさせて頂きます。

ピンブラブログ〜pinkblood blog〜(管理人:行様)
正に90年代後半のブレイクアウト前後のバンドを中心にしており、当時リアルタイムで聴いていた人にとって豪華かつ納得の構成になっています。ラストにアレを持ってきたのが泣ける。

空飛ヴ肉屋(管理人:KUNIYA様) ※各曲解説記事→ライナーノート、私家版「原点」
第一のV系バンドの波、そして「ヴィジュアル系」という言葉が出るか出ないかの時期のポジパン・メタルバンドも取り上げられ、正に「原点」色の強い内容になっています。個人的にSPEED-iDが入っているのが嬉しく――って何か振られてるー!?
えーとえーと………痛い自分語り満載な「INNER DEMENSION」感想記事はこちら!(逃

安眠妨害水族館(管理人:魚がとれた様)
「現在活動しているバンドに影響を与えたバンド」と言う視点から、時期・メジャー/インディーズに拘らず幅広く選曲されており興味深い並びになっています。こういう選び方もあるのですね。

石山竜市 オフィシャル・ブログ
HITORIBEYA.NET
ちょっと反則気味ですが、最後は選曲「された」側のコメントを。
それぞれ元Lastierの石山竜市と高崎智彰のブログですが、本人達も「俺達が!?」という思いがありつつ喜んでいるようで。石山氏が、ヴィジュアル系バンドで活動していた頃を「原点」と呼んでいるのがちょっと嬉しい(ほら、どこかのバンドはヴィジュアル系って言われて怒ったじゃないですか…w)。

Rhapsody OF FIRE「THE FROZEN TEARS OF ANGELS」(2010)

01.DARK FROZEN WORLD
02.SEA OF FATE
03.CRYSTAL MOONLIGHT
04.REIGN OF TERROR
05.DANZA DI FUOCO E GHIACCIO
06.RAGING STARFIRE
07.LOST IN COLD DREAMS
08.ON THE WAY TO AINOR
09.THE FROZEN TEARS OF ANGELS
10.LABYRINTH OF MADNESS
11.SEA OF FATE (orchestral version)
12.IMMORTAL NEW REIGN ※日本盤のみ収録ボーナストラック

全曲作詞:Luca Turilli
作曲 01:Alex Staropoli/02、07、09、12:Luca Turilli、Alex Staropoli、Fabio Lione/03〜06、08、10、11:Luca Turilli、Alex Staropoli

発売日:2010/04/28
品番:KICP-1472(日本盤)


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アルバムを通してファンタジックなストーリーを展開するシンフォニックメタルバンド「Rhapsody OF FIRE」が、前作からおよそ4年振りにリリースした8枚目のアルバム。名義にOF FIREが付いてからは2枚目になりますね。リリースからあまり間を開けずに聴いたアルバムだったのですが、もうちょっと聴きこんでから感想を…と思っていたら半年近くが経ってしまいました。そしてこれ書いている時点(2010年10月4日)ではもう次のミニアルバムのリリースが迫っているという(苦笑)
シンフォニックサウンドに力を入れ、壮大感のあった前作「Triumph or Agony」は、メタル関連のレビューサイトではあんまり評判が宜しくなかった覚えがあるのですが(個人的には結構好きなんですが)、今作では疾走感のある楽曲や攻撃的に振り切った曲等、バンドサウンドへ揺り戻しが来ている感じがします。メタラーさんやレコード会社の声に対応したのか、単にストーリーの展開上そういう曲が増えたのかは分かりませんが。

以下各曲について。


01.DARK FROZEN WORLD
Christopher Leeの渋いナレーションからスタートする、オーケストラとコーラスメインの壮大な楽曲。毎度の事ながら1曲目でワクワクさせる曲を持ってきます。

02.SEA OF FATE
1曲目からノンストップで始まる、メロディアスナンバー。音はアップテンポですが、歌メロは結構ゆったりとしています。バンドサウンド主体の音作りや、ギターソロ→キーボードソロ→ベースとの絡みを経て再びギターのハモリ、という間奏等に「これですよこれ!」と思った人も多いのではないでしょうか。この後の曲に比べると、これでもまだ大人しい方な気もしますが。

03.CRYSTAL MOONLIGHT
冷たい印象のキーボードと細かく刻まれるギターの絡む疾走曲。サビにて、コーラスが一旦曲のテンションを下げてから再び盛り上げる構成が面白いです。間奏のギターのハモリがちょっとだけ東洋っぽいメロディーに感じるんですがどうでしょう? 全体的に、曲中の微妙な緩急の付け方によって、よりスピード感を増している印象を受けます。

04.REIGN OF TERROR
シンセと囁くボーカルに緊迫感を感じるイントロから徐々に盛り上げ、バンドサウンドが入って一気に爆発する、本作中最も攻撃的な印象を受ける楽曲。左右に入り乱れるコーラス、デス声で押し通すBメロ、コーラスをバックにしたクラシカルで荘厳ながら勇ましいサビなど、気の休まる暇がありません。ギターソロもクラシカルなメロディーを延々弾き倒しています。自分の中では本作中のベスト楽曲ですね。

05.DANZA DI FUOCO E GHIACCIO
語りとクサい笛からスタートする、民謡寄りの明るい楽曲。こういう曲は過去のアルバムにも必ず入っており、自分もかなり好きだったり。今までこのタイプの曲は短めのものが多かったのですが、今回は途中からバンドサウンドも入り6分半程の尺になっており、盛り上げ所も幾つかあります。前述した笛や、ピロピロしたギターのメロディーがこれでもかと言う位クサくて最高。

06.RAGING STARFIRE
再びシンフォニックに疾走。自分の中でBメロがツボな曲は大体全体が気に入る事が多いのですが、この曲も雄壮なコーラスを盛って疾走するBメロが好みに突き刺さりました。サビでも歌いあげながら走り続けたりと、5枚目のアルバムに近い空気を感じました。全体でもチェンバロの音を奏でたりピロピロしたりするキーボードや、相変わらずクラシカルなギターソロ等、ラプソディーにメタル要素を求める人にはたまらない曲になっているのではと思います。

07.LOST IN COLD DREAMS
物悲しいメロディーがメインのバラード。サビに入るとパワフルに歌い上げます。そう言えば、バラードらしいバラードってここまで出てきてなかったんですね。

08.ON THE WAY TO AINOR
ギターがザクザク言う攻撃的なイントロですが、ボーカルが入るとスローテンポに。その後少しずつ勢いを付け、サビで勇ましく合唱するドラマティックな展開の楽曲。このサビがまたテンションを上げてくれてツボです。後半は荘厳な女性コーラスから長目のギターソロパートに突入し、流れるようなメロディーを聴く事が出来ます。オーケストラがもっと前に出ていれば、前作に入っていてもおかしくなさそうな曲かもしれません。自分の中では「REIGN OF TERROR」に続いて好きな曲でしょうか。

09.THE FROZEN TEARS OF ANGELS
11分を越える長尺曲。オーケストラと語りによる壮大な序盤に続き、バンドサウンドが入ってきます。各楽器のソロや展開の多さはもちろんなのですが、全体的にはどこか抑え目で冷たい雰囲気を感じます。ここまでの曲が激しめだったからかな? それでも長さを感じさせないドラマティックな展開は流石でしょうか。

10.LABYRINTH OF MADNESS
オフィシャルの表記を見る限り、ここからはボーナストラックという事で良いのかな?
シンフォニックサウンドをバックにしたギターのフレーズをメインにしたインストで、中盤まで左右に振り分けられたギターの早弾きが延々と続き、どこか不穏でヒステリックな印象を受けます。後半からはバンドサウンドを交えて疾走。

11.SEA OF FATE (orchestral version)
タイトル通り2曲目のオーケストラバージョン。聴く前は原曲を更に壮大にしたアレンジかと思っていたのですが、実際はピアノとオーケストラ音をメインにしたバラードバージョンでした。上でも述べた通り、歌メロはゆったりしている曲なのでこういうアレンジにしたのかもしれません。

12.IMMORTAL NEW REIGN
こちらは日本盤のみ収録のボーナストラック。Bメロのチェンバロ風シンセやクラシカルな速弾きギターソロ、勇ましく疾走するサビ等、好みな要素一杯なのですが、アルバム本編の曲と比べるとインパクトでは譲るかなとも。これまでのラプソディーが好きな人なら普通に気に入る曲ではないかと思います。

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クラシカルな疾走曲を中心に、バラードや民謡寄りの曲も挟んでおり、1stアルバム「Legendaly Tales」の構成に近くも全体的にパワーアップしたアルバムという印象を受けました。個人的に最初に聴くRhapsodyのオリジナルアルバムでは、何だかんだ言ってもアルバムの尺や構成から考えると1stが最適かなと思っていたのですが、本編の時間が長すぎず、程良く様々なタイプの曲を収めた今作も入門には適したアルバムかもしれません。

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ザ・フローズン・ティアーズ・オブ・エンジェルズザ・フローズン・ティアーズ・オブ・エンジェルズ
ラプソディー・オブ・ファイア

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オフィシャルサイト(試聴あり)

MySpace

YouTube(公式)
SEA OF FATE

ラウンドスケープ「SUPER APE MOVEMENT」(2002)

01.D.N.A.
02.rave maniac
03.Super APE
04.Exit to return
05.Everything I Have
06.Shooting Star
07.FLY
08.PSYCHO PLANET
09.アフロスパイダー

作詞 01〜03、05〜07、09:木村慎吾
全曲作曲:飯田哲也
全曲編曲:ラウンドスケープ

発売日:2002/08/20
品番:AJA-60020


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ボーカル:木村慎吾、ギター・プログラミング・ボーカル:飯田哲也、ベース:細井裕司、ドラム:マーヤボールによるバンド「ラウンドスケープ」が2002年にリリースした1stアルバム。基本的にはデジタル・ダンスサウンドを織り混ぜた、所謂ミクスチャー寄りの音を出していますが、勢いの中でも親しみやすいメロディーやちょっと民族音楽っぽい要素が入るなど面白いバンドでした。2004年のバンド解散後、メイン作曲者の飯田哲也がコーガニズムオーケストラに加入したのは知っていたのですが、この記事書くにあたって少し調べたら、最近はw-inds等に楽曲提供してるのを知ってちょっと驚いたり。

以下ピックアップ。


01.D.N.A.
スペーシーなデジタル音が満載されたノリの良い楽曲ですが、ラップパートの後の民族調のコーラスが面白い。サビでは壮大感のあるメロディーを朗々と歌い上げています。

02.rave maniac
こちらも歌メロに民族音楽というか祭りっぽいノリをほんのり感じる、良い意味でやかましいダンサブルなロックチューン。基本アッパーなノリで押している曲ですが、親しみやすさも感じるのはその辺りが原因かもしれません。

05.Everything I Have
浮遊感のあるイントロから、美しいギターのフレーズへの導入がハッとさせられたポップチューン。現在チャート上位でも普通に定着している、メロディアスなラップメロを売りにする楽曲をちょっとだけ先取りしたようなポップな曲になっています。こういうノリは曲によっては苦手だったりもしますが、これに関してはそのメロディーが叙情的でバックの音もキラキラしており、個人的にはかなりツボに入りました。アルバムの中ではちょっと異彩を放っている曲ですが、それ故要となっている気もします。実際メジャーでも「Everything」と改題されシングルリリースされました。メジャー版との違いとしては、終盤にアップテンポに疾走するパートがあり、リズムが前に出ている印象があります。

06.Shooting Star
ゴリゴリとしたギターとデジタルサウンドにラップ寄りのボーカルを乗せた、王道ミクスチャーといった感の曲。ですが、後半はストリングス音と加工ボーカルをメインに壮大な展開になる構成が心地良いです。

07.FLY
スリリングな打ち込みリズムが疾走感を出していますが、Bメロで熱くてクサいメロディーが登場するのが結構好みだったりします。ここだけ取り出したら、ちょっとクサパンクっぽいかもしません。サビではテンポを落とし、ライブでモッシュが起こりそうな展開に。

08.PSYCHO PLANET
デジタルサウンドとギターをメインにした、ダンサブルなインスト。バックには切り貼りされた会話やコーラスが散りばめられています。

09.アフロスパイダー
パーカッションからのイントロからバンドサウンドになだれ込む、こちらもお祭り要素を含んだアッパーな楽曲。ボーカルよりもギターの方に耳が行く、勢い重視の曲という印象を受けます。影響受けているのかは分かりませんが、そのギターのフレーズにちょっとhideっぽさを感じました。

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トータル33分弱とサッと聴けるのもあるかもしれませんが、後にメジャーで出たアルバム「Modern Creation」よりもノリや勢いを前に出している感があり、個人的にはこちらの方が取っ付き易いアルバムかな、という気がします。この時点で既にポップでメジャー感はあるんですけどね。
一応V系メインのブログなつもりなので(メインなんですよーw)、そちら方面から言うと、最近はV系界隈でもこの手のミクスチャー寄りのバンドも珍しくないと思うので、そちら方面のバンドが好きで、ラップ寄りのボーカルに抵抗がなければ割とお勧めできるCDなのではと思っています。NOIZとか好きな人は普通に気に入るんじゃないかと。

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Amazon(試聴あり)
SUPER APE MOVEMENTSUPER APE MOVEMENT
ラウンドスケープ

Aja RECORDS 2002-08-20
売り上げランキング : 561410

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