一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2010年11月

黒死館殺人事件 (まんがで読破)黒死館殺人事件 (まんがで読破)
小栗 虫太郎 バラエティアートワークス

イーストプレス 2010-10
売り上げランキング : 3088

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「漫画で読破」シリーズが色々出ているのは知っていましたが、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」まで漫画化されるとは…。
原作小説は手元にあるものの、4、5回チャレンジしてはその度に挫折していたり(今栞を確認したら、ちょうど半分位で止まっていました)。少しでも読んだ人は分かると思うのですが、とにかく探偵:法水麟太郎の語る蘊蓄が半端ない! 推理小説で探偵役が知識を披露しつつ謎解き、というのは特に珍しくもないとは思いますが(衒学趣味という言葉もある位ですし)、本作は寧ろ知識披露を延々と続けたいだけなんじゃないかとしか思えないくらい、その割合が多いのですよ。しかも探偵だけではなくその他の人物も、ナチュラルに彼と同等の頭脳を持っているらしく、取調べの最中にドイツ語の詩を交互に諳んじ合ったりとまぁやりたい放題です。そんな訳で、読み進めれば読み進めるほどに殺人事件の本筋を見失うミステリーという印象なのです…。彼らの披露する知識範囲を、個人で全てカバーできる人はどれだけいるんだろう。そもそもそれらが全部本当なのかどうかも定かじゃないらしいですし…w 挫折した人間が言うのもアレですが、とにかく「濃い」です。

そんな訳で、漫画の出来はこの際どうでもいいので筋だけでも理解させてくれと思い、思い切って漫画版を購入してみたのでした。所要時間1時間ちょい。BGMは勿論Eliphas Leviの「黒死館」
…こうして読むと、流れとしてはあくまで王道なミステリーだった印象でした(作品発表時の1930年代においてどうだったのかはさておき)。立派な屋敷、不可解なシチュエーションの殺人、怪しさ大爆発の住人達、終盤で明らかになる人間関係、ちゃんと存在する犯人の動機などなど。寧ろ思った以上のオーソドックスさに驚いた位でした。こうしてみると、作者の目的は、ミステリーの皮を被って、通常謎解きの装飾として使われるものをメインに文章を書きまくる事にあって、読み手はその言葉の洪水にクラクラしてさえいれば良いんじゃないかとすら思ったり。取りあえずメインの筋(メインかどうかはさておき)は飲み込んだので、改めて原作にトライしてみようかな…そのうち、気が向いたら、運が良ければ。

***


自分の手元にある創元推理文庫版。法水麟太郎が登場する他の短編も収録。初出時の挿絵が雰囲気プンプンです。
日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)
小栗 虫太郎

東京創元社 1987-11
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取りあえず読みたい人は↓
青空文庫

Ray「EVER SEEN」(1999)

01.SCENE
02.tear
03.Believe
04.regret
05.ALIVE
06.Missing...
07.sky

作詞 01:YUKIYA/02〜04、06、07:RYO/05:YOSHINORI
作曲 01:YUKIYA/02:RYO/03〜07:YOSHINORI
編曲 01:KIYOSHI & HIDEYOSHI/02〜07:Ray

発売日:1999/05/26
品番:VPCC-86030


***

ボーカル:RYO、ギター:YOSHINORI、ベース:TAIZO、ドラム:CHIAKIによるバンド「Ray」が1999年にリリースしたミニアルバム。結果的に、デモテープやオムニバスを除くと唯一の単独音源となりました、というよりこのCDがデモテからの再録を中心としているんですよね。RYOとTAIZOは後に小林亮三と中村崇人名義でCUNEを結成しメジャデビュー、YOSHINORIは杉本善徳としてWaive〜ソロと活動しており、そちらの方を聴いた人も多いかもしれません。
…というか、このCDに関しては既に他のレビューサイトでもソフヴィの名作として絶賛されまくっているので、今更自分が改めて書かなくても良い気もしますが…まぁ、良いじゃないか…w

以下各曲について。


01.SCENE
プロデューサーの幸也作曲による、シンセをメインとした透明感のあるインスト。インストですが幸也自身の詩も付けてある辺り通常営業というか…らしいなと。

02.tear
ほんのり冷たさも感じさせる、切なさ全開のポップナンバー。RYO作曲だからか、今聴くとBメロがCUNEにもありそうな感じもします。というか、最初聴いた時はBメロがサビかと思った記憶が…それ位ツボなメロディーだったという事で。勿論サビの方も、ハイトーンのボーカルが映える切なメロで引っ張りまくり。個人的に、オープニングから掴む曲としては完璧だと思っています。

03.Believe
サビから始まり、ギターとキラキラしたキーボードで引っ張っていく疾走メロディアスチューン。このサビがまた一気に開けた爽やかなメロディーでたまりません。王道を全く外していない印象ですが、だからこそ良いのでしょうね。こちらはYOSHINORIの後のバンド、Waiveにも通じるものを感じます。確かこの曲が本作初収録の新曲だったでしょうか。 

04.regret
リズム隊とシンセを中心にして抑えめに進んだ後、サビで一気に盛り上げるミディアムテンポの楽曲。こちらも切ないメロディーと高音ボーカルが前に出た、メジャー感のある仕上がりになっていると思います。

05.ALIVE
物悲しいピアノソロから始まり、その後バンドサウンドで疾走する、こちらもソフヴィの王道メロディアスナンバー。ギターで引っ張る曲展開とか、サビの切なメロとかこちらもBelieveと同系統ですが、こちらの方が切なさ分は多めな印象があります。後にWaiveでも演奏されました。

06.Missing...
マズい…尽く同じツボに入るが故に言う事が無くなってくるw 前曲の流れをくんだ疾走チューンですが、他の曲と比べるとギターとドラムが主張しており、ほんのり歌謡曲臭のするAメロと合わせて、比較的ギラギラとした印象があるかもしれません。

07.sky
ラストも切ないメロディーを詰め込んだポップチューン。サビやギターソロでは疾走しますが、そのどちらもが印象的な切なメロと徹底しております。何気に歌詞は、過去の恋人を想う未練節だったりしますけれど。

***

この出来でフルアルバムを聴きたかった気もしますが、基本的に全曲が同じ方向を向いているため、聴く側の集中力を考えるとこのボリュームで丁度良いのかもしれません(事務所のオムニバスCDにはハード寄りの楽曲が入っていたりします)。切ないメロディーを前に出した、透明感のある楽曲を堪能したい人にはとにかくお勧めしたいCD。解散後のメンバーが組んだバンドのファンだった人も、すんなり気に入るのではないでしょうか。

***

Amazon(視聴あり)
EVER SEENEVER SEEN
Ray

バップ 1999-05-26
売り上げランキング : 55672

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NOISY CROWDS「MOON LIGHT EMOTION」(1997)

01.THE THEME FROM MOON RIGHT EMOTION
02.SANDAL〜ANGELIC SUMMER DUB
03.MOON LIGHT EMOTION
04.メランコリィ
05.SLEEP
06.MOON LIGHT EMOTION〜HALLOWEEN MIX

作詞 03:SHINA/04、05:SHINA & RYO
作曲 03〜05:RYO
リミックス 01、02、06:EURO

発売日:1997/10/25
品番:KIPT-003


***

前作「mousse」から3ヶ月後にリリースされた、新曲3曲+リミックス3曲で構成されたCD。これがNOISY CROWDS名義では最後のCDという事で良いのかな? リミックスは、当時同じくKEY PARTY所属だったSPEED-iDの優朗が行っています。

以下各曲について。


01.THE THEME FROM MOON RIGHT EMOTION
3曲目を使ったリミックス…というか、アルバムのイントロダクション的な、デジタルサウンドメインの1分ほどのインスト。

02.SANDAL〜ANGELIC SUMMER DUB
「mousse」収録曲のリミックス。ゆったりとした薄く浮遊感のあるシンセと打ち込みリズムの使い方が、当時のSPEED-iDや優朗ソロそのままなのが分かりやすくて何とも…w ボーカルは原曲には無かった新規のパートや語りがはいっており、バックも原曲を使っているようには思えないので、リミックスというよりは新録バージョンと捉えるべきかも。

03.MOON LIGHT EMOTION
「mousse」に入っていてもおかしくない雰囲気のラブソング…というか、「SANDAL」を女性側から見たような感もある、アッパーなメロディアスチューン。他の疾走曲に比べるとちょっと印象薄いものの、サビのキャッチーさはやはり耳に残ります。前作に入っていたら、また違って聞こえたかもしれませんね。

04.メランコリィ
イントロから続くギターの刻みに冷たさを感じる、気怠い雰囲気のミディアムチューン。90年代のヴィジュアル系にありそうな雰囲気モノと言えるかもしれませんが、SHINAの癖のあるボーカルが良くも悪くも主張し耳に残るようにはなっています。

05.SLEEP
こちらも少し沈んだトーンですが、サビでの物悲しいメロディーが映える楽曲になっています。ギターソロと後半で少し疾走します。改めて聴くと、新曲の方は「mousse」に入らなかった暗めの曲を選んでみた所があったりするのかな、と今更ながら思ったり。

06.MOON LIGHT EMOTION〜HALLOWEEN MIX
こちらがタイトル曲のリミックス音源ですね。こちらはボーカルとコーラス、一部のギターを残しバックはダンサブルなアレンジにした、所謂リミックスと聞いて思い浮かぶ分かりやすい作りになっています。でも原曲でもあった「ギター!」の掛け声後のギターソロを入れなかったのはネタだったりするんでしょうか…w

***

何だかんだで、ラストのリミックスが一番耳に残るのは曲並びの問題なのか…。新曲がちょっと印象に薄かったりしますが、タイトル曲はなかなかカッコいいので、CDコンプしたい人は探してみても良いかもしれません。個人的にはやはり「mousse」を聴いた人用のCDかな、という印象はありますが。

***

Amazon
MOON LIGHT EMOTMOON LIGHT EMOT
NOISY CROWDS

インディペンデントレーベル 1997-10-25
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itadaki(試聴あり)

NOISY CROWDS「mousse」(1997)

01.SCAR 〜傷跡〜
02.MAY BE...KISS
03.STAY
04.COOL BOY
05.PLEASE KEEP ME IN MIND
06.SONIC
07.SANDAL

全曲作詞:SHINA
作曲 01〜04、06、07:RYO/05:LUCCA
全曲編曲:NOISY CROWDS

発売日:1997/07/25
品番:KIPT-002


***

今度一日復活ライブがあるという事で(オリジナルメンバーはボーカルのSHINAだけですが)、復習がてら感想を書いてみます。需要は…あるのか?w
本作はギタリストがRYO(RYOTA)に変わってからリリースされたミニアルバム。作曲が彼メインになった事もあり、ヴィジュアル系王道とも言えるメロディアスな疾走曲が増え、この後改名するNOi'Xにほぼ近い音楽性になってきています。V系歌唱的な意味ではSHINAよりもはるかにそれっぽい(笑)RYOTAのコーラスも派手に入ってくるようになりましたし。しかしジャケットのイラストやブックレットのビジュアルは、それまで黒服系だった事も、またこの後ノアで派手な見た目になるとも思えない程にポップでカジュアルですが…ベースのLUCCAなんかほぼ素っぴんですものw

以下各曲について。


01.SCAR 〜傷跡〜
いかにも「らしい」疾走曲。NOi'Xから遡って聴くと、ちょっと音が軽く思えるかもしれませんが、割と違和感なく入る事が出来ました。RYOのコーラスもサビを中心に登場し、楽曲のスピード感を増すのに一役買っていると思います。バックボーカルの声質の方がV系っぽいのはやっぱり珍しい気がしますが…。

02.MAY BE...KISS
RYO作曲ながら、メンバーチェンジ前の音源の雰囲気を少し感じさせる、少し懐かしいメロディーが前に出た、優しい雰囲気のポップチューン。しかしここでもサビでのボーカルのハモリが効果的に使われており、SHINAだけでは平板になりそうなメロディーを盛り上げています。

03.STAY
軽めのギターと音が印象的な、少し湿ったメロディーがメインの楽曲になっています。そのメロディーとシャカシャカしたアレンジが、ちょっとだけ初期のLUNA SEAっぽいかもと思ったり。

04.COOL BOY
フヨフヨした打ち込み音が目立つ、パンキッシュな曲。ノアではRYOTAのコーラスに飲まれてしまっていた事もあり、弱めな声質と書かれることもあるSHINAですが、歌い上げると実はクセのある、結構エゲツない声質だったりします。そのボーカルのクセが、ひねくれた子供のような歌詞と相まって、かなり前に出ている曲という印象が。

05.PLEASE KEEP ME IN MIND
本作中唯一のLUCCA作曲。イントロとアウトロは穏やかなピアノソロに挟まれていますが、楽曲本編は「LIFE」に入っていてもおかしくない、歌謡メロディーが映える疾走曲になっています。しかし要所要所でギターが主張し一本調子にならない辺り、良い意味でメンバーチェンジの影響が出ているのかなと。
しかし本当に、見事なまでに作曲の主導権が変わったんだなあ…w ほぼセッションアルバム状態だったNOi'Xのラストアルバムでは、殆どテクノのような曲を作っていたりと、バンドで披露するには難しい方向に作曲傾向がシフトしていったのかもしれません。

06.SONIC
4曲目の方向を更に押し進めたような、アッパーでパンキッシュな曲。「SONIC! SONIC!」という掛け合いも小気味良いですが、サビ前の「うっふぅ〜〜ん」はやり過ぎな気がしなくもない(苦笑)。しかしそのサビに入ると、ツインボーカルで疾走する切ないメロディーが好みを直撃するので、結果的に印象は良いという。そのサビも主旋律をRYOが歌っている気もしますが、カッコいいので問題は無いですw 全体に忙しい印象の曲でしょうか。

07.SANDAL
元々はデモテープ収録の曲なのかな? カラッと突き抜けるような、ちょっと懐かしくも爽やかなメロディーが気持ち良いポップチューン。親しみやすいメロディーを前面に出したサビも、ハモりがバッチリハマっている印象です。歌詞も夏をテーマにした普遍的なラブソングになっており、改名後の耽美でダークなイメージを持って聴くと色々面白いかもしれません。NOi'Xのイメージからは少し外れた所にある曲かもしれませんが、何だかんだで本作中では一番好きだったり。

***

NOi'Xに比べるとシンプルで、若干雰囲気の違う曲も入りつつも、ほぼNOi'Xに近づいたCDでしょうか。メジャー流通だったNOi'Xの1st、2ndと比べるとちょっと見つけにくいかもしれませんが、NOISY CROWDSを遡りたい人は普通に気に入ると思うので、このCDの収録曲から聴いてみると良いと思います。

***

mousse


itadaki(試聴あり)

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