一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2011年07月

XA-VAT「VIDEO GAYTOIN」(2011)

01.VIDEO GAYTOIN


***

XA-VATの1stフルアルバム「艶℃」をHMVかタワーレコードで購入すると、特典として付いてくる1曲入りCD-R。
CDだけ裸一枚で来るのかと思っていたのですが、ジャケット付きでCDレーベルの印刷もされていたのはちょっと嬉しい。デザインしたのが誰かは知らないのですが、バンド名が歌詞に含まれるようなデザインだったり、1行分だけ表ジャケにあったり、レーベル面にはバンドロゴ以上にでかでかと「DELUSE COMPACT disco」(例のCDロゴ風に)と印刷されたりと色々遊んでる印象です。

楽曲の方ですが、アルバムに入っていても全くおかしくない、ちょっとレトロな感触もあるテクノポップナンバー。ピコピコした音作りは勿論、意味があるようで無いっぽい歌詞を淡々と歌う石井とエフェクトのかかったコーラスとの対比も面白いです。ほぼ打ち込みメインなので、GOATBEDでやりそうな曲調という印象も受けます。
「艶℃」の限定盤ライブDVDでもセットリストに入っていましたし、敢えて店舗特典として分けなくても良かったんじゃないの? と思う位にすんなりハマる曲だと思います。ただこれを書いている時点でリリースから少し経っている為、これから購入予定がある人は最寄りのHMV・タワレコの店舗か通販に問い合わせてみると良いかもしれません。

videogaytion


HMV ONLIME ニュース
TOWER RECORDS ONLINE

XA-VAT「艶℃」(2011)

CD
01.BLACK RUNWAY OF DEVILS
02.ZEROTICA
03.Mecca
04.VAT-DANCE
05.Mr.VITAL
06.E-Z
07.INVASION-NOVATION
08.NUMANS-Roxette
09.EPOC TRACE
10.THE 艶℃ BABY

DVD(初回限定盤CD+DVDのみ)
・2010/12/02 恵比寿リキッドルーム ライブ映像
01.BLACK RUNWAY OF DEVILS
02.ZEROTICA
03.MECCA
04.VAT-DANCE
05.E-Z
06.EPOC TRACE
07.NUMANS-ROXETTE
08.VIDEO GAYTION
09.XANADOoM

発売日:2011/03/16
品番 初回盤(CD+DVD):VIZB-14/初回盤(CD+RemixCD):VIZB-15/通常盤:VICB-60072


***

石井秀仁、SADIE PINK GALAXY、Kozi、小間貴雄によるXA-VATの1stフルアルバム。2010年12月に行われたライブの映像を収録したDVD付き、アルバム全曲をそれぞれリミックスしたCD付き、CDのみの3種類がありますが、私の手元にあるのはDVD付きバージョン。先に出たシングル「XA-VAT」の音世界をそのまま広げたような、デジタル色の強い楽曲が並んでいます。

以下各曲について。


01.BLACK RUNWAY OF DEVILS
硬質なデジタル音にギターが重ねられた、アッパーなテクノナンバー。…なのですが、エフェクトのかかったコーラスや石井のクネクネしたボーカルによって、無機的ながらカオスな印象を受ける1曲となっています。2分40秒程の尺ということもあり、勢いで駆け抜けるオープニングといった所でしょうか。

02.ZEROTICA
シングル「XA-VAT」収録曲。詳しい感想はそちらを御覧下さい。

03.Mecca
キラキラした打ち込みと80年代っぽい懐かしさを感じるメロディーが前に出た、サイバーな疾走ナンバー。全編にわたって高揚感のある音作りがされており、時代を感じるメロディーと相まって、シングル曲になってもおかしくない位キャッチーな印象。また、何気に主張しているギターソロにもどことなく懐かしさを感じます。

04.VAT-DANCE
こちらもイントロでキメ過ぎな程にキメられるシンセに確信犯的な懐かしさ演出を感じるw、ポップなダンサブルチューン。PVも作られている辺り、本作の核的な1曲でしょうか。ノリの良いリズムとレトロなメロディーが心地良く、個人的には加工コーラスとの応酬を経て、女性ボーカルが登場する開けたサビへの展開が物凄くツボです。
そう言えば、本作の歌詞は全体的に意味が良く分からないのですが、この曲の中には「浮き足ジョジョ立ち」なるフレーズが……ジョジョ好きなのかなぁ。

05.Mr.VITAL
疾走感を持つトラックに、エフェクトのかかった石井のボーカルが乗った涼し気な雰囲気の楽曲。なのですが、サビに入ると一気にシリアスでアッパーな曲調→その後浮遊感のあるサウンドへという展開が面白い。この切り替えがどうにもツボで聴き込んでいく内、本作中一番好みに入った曲となりました。

06.E-Z
本作中最もハード寄りの、硬質なリズムとガシガシしたギターが印象的なインダストリアルナンバー。何だかんだで歌メロを押し出した曲が並んできたので、ここで流れを変えようとしたのでしょうか。歌詞に一部ドイツ語が使われていることもあり、KMFDM辺りを連想したり。実際KMFDMは、そんなに独語は使ってない気がしますが…とにかく好みという事で。個人的にこの4〜6の流れが好きだったりします。

07.INVASION-NOVATION
こちらは再び懐かしさを感じるノリの、キャッチーなダンサブルチューン。石井と女性コーラス、SADIEとKozi? らの加工ボーカルによる掛け合いも小気味良く、ゴリゴリの前曲とは対照的に優しい雰囲気を感じました。

08.NUMANS-Roxette
シングルではオリジナルに先行して、岡村靖幸によるリミックスバージョンが収録されていました。
バキバキとしたデジタル音にのどかな歌メロが乗っている(「ハラキリメイデン」と歌ったりしてるけど)何だか不思議な感触の曲ですが、サビでは浮遊感のある音とゆったりとしたメロディーが映えています。変テコなんですが、結果的に取っ付き易くなっているというのが凄い。

09.EPOC TRACE
何度か表現に使っている「懐かしさ」ですが、その成分が最も強いと思われるポップなダンスナンバー。
切なさも含むキャッチーな歌メロが終始全面に出されており、個人的にはMr.VITALと並んで、本作におけるドツボ楽曲となっています。
ライブでは観客がワイパーしそうな曲調…と思っていましたが、後でライブDVDを見たら本当にやっていました。いや、これはやりたくなりますって(笑)

10.THE 艶℃ BABY
E-Z程ハードではありませんが、ギターと打ち込みの絡みが聴けるダンスナンバー。ボーカル入りですし勿論サビもありますが、どちらかと言うと踊らせる為の楽曲かもしれません。重ために響くリズムがカッコ良いですが、ちょいちょい変な電子音を飛ばしてくるのも面白い。

***

ギタリストが二人居ることもあり、それを生かした曲もあるのですが、全体的にはデジタルサウンドがメインの、ダンス・テクノ・インダストリアル色の強いアルバムとなっています。打ち込み苦手な人はちょっと厳しいかもしれませんが、懐かしさを感じるメロディーが立った曲が多い為、初聴時の取っ付き易さと音の仕込まれ具合を楽しむ部分を併せ持っているのではないでしょうか。
現在のメジャーV系界隈で、この手の音で勝負しているバンドがあまり思いつかないので(キラキラした同期を取り入れたバンドは結構出てきていますが)、こういう音もメインの一つになる切っ掛けになれば…とも思うのですが。取り敢えず、個人的には2011年前半に聴いたアルバムでは、本作が一番になりそうです。

DVDの方ですが、CD音源とは若干アレンジが違う曲もありそちらも楽しめました。因みにメンバーのビジュアルですが、各バンドに一人居れば十分なインパクトの出で立ちが4人も集まってしまったといった趣で、非常にクドいですw(褒めてます

***

HMV ONLINE ニュース(試聴あり)

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YouTube(VictorMusicChannel)

「機械的、宴」@池袋手刀 2011/07/11

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ライブ不精の自分には珍しく、そこそこのペースで行っている気がする池袋手刀。シッティング公演という事で、ピクニック状態で観る事になるのか…!? 等とちょっぴり思っていましたが、普通にフロアに椅子が並べてある形だったので一安心しました。
開演直前に入ったのですが、その時点で8割ほど埋まっていた印象。イベント終盤には後方で立ち見も出来ていましたよ。…入り難い席はちょこちょこ空いてましたけれど.

以下出演順に。


紅ノ桜
The candy spooky theatreのJackとemmuree/NOISY CROWDSのハルカによる新ユニット。スクリーンが上がると、黒ずくめの二人がいましたが、ジャックさんはキャンディー〜で観るゾンビメイクとはまた違った雰囲気でした。
まずジャックが台に置いたものを弄りだしたので、打ち込み系の音なのかな? と思っていたら、それが水平に置かれたベースでガーガーとノイズを撒き散らし始めたのでびっくり。曲の骨子はギターが担当し、その隙間をそのノイズ(ハルカの怪音ギターもちょこちょこ絡む)で埋めていく印象で、ノイズ塗れのカオスな曲と歌モノ寄りをほぼ半々やっていました。予備知識無しで観たのもありますが、インパクトに関してはこの後のハイファッションパラライズを超えていたかもしれませんw 一発目のライブで慣れていないのか、二人とも譜面台に目が行きがちな印象でしたが、また対バンで見る機会があれば観てみたいですね。いや凄かった…。


101A
過去ログを遡ったら、ほぼ一年振りの鑑賞だった101A。
冒頭はギターボーカルのnoahのみがステージにおり1曲弾き語り。その後ドラマーSallyがステージに上がり2曲ほど演奏、最後にベースのthe kが登場しました。
昨年観た時はデジタル要素も取り入れた音でしたが、今回はスリーピースのみで浮遊感のあるギターを前面に出した楽曲がメインだった印象でした。少し方向性が変わったのか、今回は番外編的なライブだったのかは分かりませんが、座って落ち着いて見られるイベントには合っていたような。因みに、noahさんthe kさんも座って演奏していました。


highfashionparalyze
観るのが都合3回目になったハイファッションは…お経じゃなかった!!(そんな) シングル聴いたのも大きかったのか、大体の曲の区別もつくようになった、ような。1曲目のspoiledなどは、音源にあったドロドロさよりも若干熱いアレンジになっていた気がしますが、そもそもあれは本当にspoiledだったのか…あれ!? 区別ついてなくないですかdodoさん??
それはともかく;結成一年を超え、張り詰めたダーク空気を纏ったステージングは維持しつつ、段々と見せ方を探っている時期なのかもしれませんね。
ステージで座り込んだり柵に腰掛けたりするKazumaも初めてちゃんと見えましたしw、意外とシッティング公演という形に合っているユニットなのかもしれません。最前の席に居た人は眼前で客席を見渡す(アレは寧ろ凝視している…)Kazumaさんが怖かったかもしれませんが。

・セットリスト
spoiled
(タイトル不明)
蟻は血が重要である
(タイトル不明)
形の無い 何よりも 愛したのは お前だけが



余談:加納キカイへの転換中、サウンドチェックに紛れてD'ERLANGER「DARLIN'」のイントロが度々聴こえてきました。摩天楼さんか想さんか…w



加納キカイ
emmureeの想とmunimuniの摩天楼によるユニット。
想さんのソロ出演名義であるキカイは一度観たことがあるので、二人で弾き語りでもするのかな? と思っていましたら、打ち込みを交えた椅子に座ってのギターを弾き語るのは記憶の通りで、そこに摩天楼さんがフワフワとした空間的なギターで色を付けるというスタイルでした。というか摩天楼さん、ライブ中終始後ろを向いており、ただでさえ髪の毛で見えづらい顔が、今回全く見えませんでした。客側に向かって90度以上顔を向けた時無かったんじゃないかと…。
そんな訳で、雰囲気的には最初の紅ノ桜に近い所があるかもしれませんが、こちらが至ってマイペースに感じるのは、やはりゆるーいMCがあるからなのでしょうか。演奏始まって早い段階で想さんのギターの弦が切れ、対応に苦慮していた様子もあり、意図しないところでgdgdになってしまっていた部分もありましたが、まったりしつつ曲では歌いあげるボーカルは堪能することが出来ました。アンミュレからは「祈り」等が演奏されていましたが、打ち込みを使ったこちらのバージョンも中々でしたよ。

因みに、8月23、24日に手刀で行われるカバーイベントの告知で、
想「僕達、LUNA MATTINOというオリジナルバンドをやっているんですけれども」
から始まり、
「良かったらCDで予習してから来てくれると嬉しいです。CD出すときに誤植をしてしまったバンド名が広がってしまったんですが…CDの方にはLUNA SEAって書いてありますので」

色々ひどいww

***

座席付き公演で体力的に楽という事に加え、各バンドとも30分有るか無いかの持ち時間だった為、ライブの濃さに対して時間的にはわりとあっさり気味な印象のイベントでしたが、平日夜だしこれ位がいい塩梅かもしれませんね。今回、割りと近しい所の音を出している人達が集まった感もあるので、目当てバンドは一つだけの人も全体的に気になったのでは、と思ったり。個人的には、とにかく紅ノ桜のインパクトが凄まじかった…w

ピュエラ「Shadow Of Wizard」(1999)

01.(タイトル無し)
02.C.o.S
03.レクイエム
04.あやつり人形
05.月と君とボク

作詞 02:ピュエラ/03〜05:ライ
作曲 02:ピュエラ/03〜05:クルス

発売日:1999/11/24
品番:SLR-004


***

単独CD音源は本作のみにも関わらず、今でも中古店等で見る率は高いような気がする「ピュエラ」のミニアルバム。ジャケットやCD盤面では4曲表記ですが、1トラック目にタイトルの無い短いインストが入っています。本作でのメンバーは、ライ(ボーカル)、クルス(ギター)、キヨト(ギター)ですが、後にボーカリストがyuraという女性ボーカルに交代するという、V系界隈でなくても珍しいメンバー変遷を辿ったバンドでした。
編成を観て分かる通りリズム隊が不在なので、ドラムが打ち込みになっているのですが、逆にその打ち込みドラムを前面に押し出しているのが音作りの特徴に思えます。

以下各曲について。


02.C.o.S
キーボードによる50秒ほどのインストを引き継いで始まる、ダークメロディアスナンバー。デモテープ収録曲「カメラオブスキュラ」の新録バージョンになっています(自分はデモテ版を聴いていないので聴き比べは出来ないのですが)。ギターが引っ張るアッパーなメロディーに少し猟奇的な歌詞が乗った、V系の王道と言えば王道の展開なのですが、冒頭で述べた打ち込みドラムがやかましいまでに前に出ており、バックのテケテケしたシンセも合わせ一種独特な印象を与えている気がします。サビメロもキャッチーなので、実質的な1曲目に持ってきたのは正解だったのかも。
…今更ですが、「カメラ・オブスキュラ」ではなく「カメラ・オブ・スキュラ」なのですねw

03.レクイエム
チャカポコしたリズムと、気の抜けたような笛っぽいシンセにどうしても耳が行くデジタルポップチューン。サンバっぽさも感じるリズムに乗るヴィジュヴィジュしたボーカルもさることながら、良い意味での打ち込みのチープさがたまりません。本作については、この曲以外は何だかんだでコテコテで王道寄りの曲がメインだと思っているのですが、ここだけピコピコ白塗りバンドになったようなインパクトもあり、個人的には本作中一番好みに入った曲になっています。

04.あやつり人形
V系らしいシャウトを交えた、ダークメロディアス系統の楽曲なのですが、やはり前面に出されたリズムと細かく刻まれるシンセが主役となっており、寧ろギターが効果音的な使われていると感じる所もあるのが面白いです。テンポの速さと3分程の尺という事で、一気に駆け抜けていく曲という印象。

05.月と君とボク
前曲から間を置かずに始まる、ザクザクしたギターが前に出た発狂チューン。前曲より更にハードさを増したような印象で、ギャウギャウシャウトも増量しておりますよ。暴れ曲の印象が強いですが、サビに入ると一気にキャッチーになったり、クサめのギターソロが入ったりと、デジタル感との対比も印象的です。

***

後ろ2曲のカラーが若干被っているかな? という気もしますが、当時の王道V系らしさとそこからのズラし具合が、今聴いても面白い事やっているなぁと思わせられるミニアルバムでした。本作は安価で入手しやすいと思いますので、見かけた際に気にしてみると良いかもしれません。この後のデモテープやオムニバスに入っている女性ボーカル時代の曲も、今さらながら気になりますね。

***

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BUCK-TICK「RAZZLE DAZZLE」(2010)

DISC1:CD(初回盤ブルースペックCD)
01.RAZZLE DAZZLE FRAGILE
02.RAZZLE DAZZLE
03.狂気のデッドヒート
04.独壇場Beauty -R.I.P.-
05.羽虫のように
06.妖月 -ようげつの宴-
07.BOLERO
08.Django!!! -眩惑のジャンゴ-
09.錯乱Baby
10.PIXY
11.くちづけ -SERIAL THRILL KISSER-
12.月下麗人
13.夢幻
14.TANGO Swanka
15.Solaris

作詞 02、04、05、07、08:今井寿/03、06、09〜13、15:櫻井敦司/14:櫻井敦司、今井寿
作曲 01、02、04、05、07〜09、11、12、14、15:今井寿/03、06、10、13:星野英彦

DISC2:DVD(初回盤のみ)
01.Talk About “RAZZLE DAZZLE” -BUCK-TICK Special Interview-
02.独壇場Beauty ~Music Video

発売日:2010/10/13
品番 初回盤:BVCL-20031〜20032/通常盤:BVCL-128


***

BUCK-TICKの通算16枚目のオリジナルアルバム。この前にリリースされていたシングル曲は全てアルバムバージョンで収録されています。初回盤は、ブルースペックCD仕様に加え、メンバー全員のソロインタビュー映像・「独壇場Beauty」のPVが収録されたDVD、ミニポスターが付いています。
ここ3作程はバンドサウンドメインの音作りをしていた彼らですが、本作ではダンサブルな要素を大々的に取り入れてきました。過去にもデジタルサウンドを取り入れた時期は長くありましたが、今回は前にはなかった(褒め言葉として)アホっぽいノリも感じるというかw…あっけらかんとした感触があります。
また、長年キーボード・マニピュレーターで参加している横山和俊に加え、櫻井敦司のソロに楽曲提供をしたり、星野英彦が結成したdropzのメンバーとして参加していたCUBE JUICEが、今回04、06、10でプログラミング・シンセサイザーで参加しています。

以下各曲について。


01.RAZZLE DAZZLE FRAGILE
シンフォニックなサウンドがメインのシリアスなSE。…なのですが、あちこちにザ・打ち込み! といった感じの音が散りばめられており、良い意味で雑多な印象があります。アルバム本編の振れ幅の大きさを示している…かもしれません。

02.RAZZLE DAZZLE
カウント音(カウベル?)に続いて、派手なシンセが目立つ展開に雪崩れ込むポップチューン。そのジャジャン! としたシンセやポコポコしたリズム、乾いたギターなど、最近ではやらなそうなアレンジに敢えて手を出してみた印象があります。そしてエフェクトのかかったボーカルのバックには、今井の「チュッチュルーイェーイェー」というコーラスが…。それでも、全体に力が抜けていながら聴きやすいのは、サビを中心にメロディーがポップだからなのかもしれません。実質的な本編1曲目にして、陽性のパワー全開といった印象でやられてしまいました。

03.狂気のデッドヒート
こちらは星野作曲ですが、前曲の流れを更に悪乗りさせたような(笑)エフェクトのかかったボーカルが耳に残る、コミカルな雰囲気のダンサブルチューン。確信犯的なスカスカ感が癖になるというか、全体的に変テコなんですがノってしまうという。
アルバム内の星野曲には、必ず1曲エッチな雰囲気の曲があると思っているのですが、今回はこの曲がそれに該当しているような…と思っていたら、歌詞のモチーフは精子」だそうで。あぁ、「400000000〜500000000のBaby Face」ってそういう…。

04.独壇場Beauty -R.I.P.-
28thシングルタイトル曲のアルバムバージョン。
イントロを始め度々登場するリズムのフレーズが印象的ですが、全体もディスコ調のノリが懐かしいアッパーな楽曲になっています。全てをうっちゃって馬鹿騒ぎするような歌詞も相まって、とにかく聴いていて楽しい。シングル版との大きな違いとして、LAZYgunsBRISKYというバンドのボーカリスト:Lucyがサビにゲスト参加しており、力強くビッチなボーカル(褒め言葉)によって、曲のカラフルさが更に高まっている気がします。

05.羽虫のように
前曲まで明るい乗りの曲が続いてきましたが、こちらは4つ打ちのリズムをベースにした、少し沈んだ印象のダンスチューン。今井作詞という事で、ぶっ飛んだ歌詞になるかと思いきや、言葉選びは独特ながらシリアスな雰囲気に。艶のあるボーカルが乗り「愛なんて そうじゃなくて〜」と繰り返される、少し物悲しくもキャッチーなサビメロもツボです。

06.妖月 -ようげつの宴-
29thシングルカップリング曲のアルバムバージョン。
少しエフェクトをかけた、ダークで色気のあるボーカルが映える、レトロな雰囲気のミディアムナンバー。規則的なリズムの横で動きまわるベースや、不気味な打ち込み音、浮遊感を持ったギターなど、ゴスな空気とジメジメした和風な空気が同居した、日本の気候に合ったスルメ楽曲といった印象が。

07.BOLERO
と思ったら今度は、頭から「ダッ ドゥビッダ ドゥビダディーダ…」とまったりしたコーラスが。
浮世離れしながらも、のどかなな空気をまとったミディアムポップな楽曲で、薄くフワフワした打ち込みとオリエンタル色を感じるメロディーが心地良い。過去曲で言うと「GIRL」に近い雰囲気でしょうか。

08.Django!!! -眩惑のジャンゴ-
そしてまたまた流れは変わって、冒頭で述べた「アホっぽさ」が頂点に達したような(繰り返しますが褒めてます)ラテン要素も感じる、ご機嫌なダンスチューン。小気味良いメロディーも勿論ツボなのですが、2曲目に通じるような派手にキメられるシンセ、そして「ビビデバビデブー(櫻井)」「ジャンゴォー(今井・ウィスパーボイス)」のコンボのインパクトといったら!w
本作リリース時には結成25年を迎えた彼らですが、まだまだ変化を続けているようです。

09.錯乱Baby
ズンドコしたリズム隊にまず耳が行く、本作の中ではロック寄りの楽曲。どちらかと言うと前作「memento mori」に入っていてもおかしく無さそうな曲かな? それでも抑えめのサビの裏ではスペーシーなデジタル音が散りばめられていたり、何だかんだで踊れるアレンジだったりと、周りに比べ浮いている印象はありませんでした。

10.PIXY
クリーンなギターの音やフワッとした感触のコーラスが前に出た、星野作曲による幻想的なミディアムナンバー。全体的に気だるい雰囲気の曲でですが、Bメロのリズムが民族音楽っぽさを感じさせる展開だったり、オリエンタル色を持ったメロディーが顔を出したりと、何となく今井作曲の「BORELO」と対になったような印象も受けます。いろんな意味で「狂気のデッドヒート」とは真逆なイメージ。

11.くちづけ -SERIAL THRILL KISSER-
29thシングルタイトル曲のアルバムバージョン。シングルはアニメ「屍鬼」のタイアップが付いていました。
現時点でシングルバージョンは聴いていないので比較はできないのですが、一定のフレーズを刻むリズムにギターやシンセが絡む、ダークなメロディアスナンバー。このシンセがともすれば淡々としかねない楽曲に暗さと艶やかさを加味しているように思えます。サビメロも聴けば聴くほどジワジワ効いてきますし、CMを観た時「シングル曲にしては地味かな?」と思っていた自分を叱りたいw

12.月下麗人
「羽虫のように」と同系統の、ダウナーな四つ打ちナンバー。
この曲も「くちづけ」と同じく「屍鬼」のタイアップが付いていますが、パッと聴きのキャッチーさに於いてはこちらの方が上かな? 終始ダークなトーンで進行しますが、クリーンな音とノイジーな音とで左右に分けられたギターや、サビでの朗々とした艶のある歌メロなど、シングルタイトル曲として出してもおかしくない程、ダークさと聴きやすさがしっくりきた楽曲でした。

13.夢幻
ダークな曲が2つ続いた後、ここで一発開けたのが来た印象の、キラキラしたシンセが印象的なポップナンバー。
軽くエフェクトがかかったボーカルが心地良く(歌詞も変な意味を含まず愛に溢れている印象)、サビでは爽やかに疾走してくれます。
前曲とは真逆なタイプですが、こちらもシングルで切れそうなタイプの楽曲という印象。

14.TANGO Swanka
櫻井と今井のツインボーカル、歌詞も共作による、いかがわしさと猥雑さを持ったロックナンバー。Aメロが今井パートなのですが、やはりこの人がメインで歌うと曲が変テコな色に。どっしりしたドラム・ベースに対して、ギターは遊びが多そう、というか色んな音を思いついただけ試してみました、的な落ち着かなさが面白かったり。
歌詞についてですが、「こめかみバンバーン!」が飛び抜けて印象に残っています…w

15.Solaris
いかにも本編ラストで映えそうな、壮大なスローバラード。浮遊感のある音をバックに、アコギをメインにした優しい空気を持った曲で、個人的に激しく好きや嫌いはなく…なのですが、終盤になって歪ませたギターソロが延々入ってきたりと、やはり普通には終わらせたくない気持ちがあるのでしょうか。

***

本作の前まではバンドサウンドをメインにしたアルバムが続いており、「とっくにベテランの域に達しているし、流石に曲調は安定してきたのかな」と感じていたのですが、とんでもありませんでした。ここに来てまだ新しい色を持ち込み、かつポップバンドとして聴きやすさは変わらない辺り、長く活動しているバンドとしては理想的な展開に思えます。打ち込みとバンドサウンドが混ざった音が個人的に好み、というのも大きいでしょうが、ここ最近のBUCK-TICKでは一番好みに入ったアルバムになりました。

全体としても、特に取っ付きにくいメロディーはない…どころか15曲という長さを感じさせない位には聴きやすかったので、(打ち込みが嫌いでなければ)2枚のシングルで気になっているという人には、是非お勧めしたいアルバムですよ。

***

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THE OTHERSIDE「RIDE AN ANGEL'S HAIR」(1991)

01.Kiss your pale face
02.Flame Out
03.人工天使
04.太陽の死
05.蜃気楼 (1991.Summer)

作詞 01、02、04、05:優朗/03:MIST
全曲作曲:THE OTHERSIDE

品番:UKZZ-1027


***

前作「Waters of forgetfulness」と同年にリリースされた5曲入りミニアルバム。…と言っても4曲目が長いので、ボリューム的にはそんなに変わっていないのですけれど。
基本的には前作の空気を踏襲している感触ですが、音はこちらの方がちょっと小さい…というか篭ってるのかな?

以下各曲について。


01.Kiss your pale face
シンセを導入した、壮大ながら冷たさも感じるミディアムポップナンバー。徐々に盛り上げながら歌い上げるボーカルにもスケールの大きさを感じます(所々調子外してる? と思うところもありますが…)。間奏のスパニッシュ寄りなアコギソロもツボ。

02.Flame Out
イントロのザクザクギターが印象的な、アッパーな疾走ナンバー。ボーカルはシャウトや呻くような歌い方をしたり、こちらもハードな印象。
因みに、ブックレットにも記載されている中盤の英語ナレーション、最近どこかで聴いたような…と思っていたら、優朗とHALが現在SPEED-iDと並行して活動しているバンド「functioncode」が、2011年に出したアルバム「TERRROR」内の楽曲「Justice Withour Bloodlust(SPEED-iDのセルフカバー)」で、原曲と一部歌詞を入れ替えて使われていたのがそのフレーズなのでした。20年経ってからリンクさせる辺り、やっぱり一周回って戻ってきている気が。
"The King of terrors
Slip into your eyes
I say 『F.U.C.K』……"



03.人工天使
打ち込みリズムとギターによる、インダストリアルチックでダークなイントロに期待が高まりますが、曲が始まると真っ当なハードロックになるのがちょっと以外なポップナンバー。…なのですが、曲調もボーカルもどこか明るくなりきらない、というか投げやりで不健康で気配しか感じないのは何故なのか(笑) また、この曲のみギター・シンセ担当のMistが作詞を手がけています。

04.太陽の死
トータルで約12分と、尺的にも本作のメインと言えそうな楽曲。
序盤はピアノやアコギをメインとした、涼しげで気だるい雰囲気で進行、途中には語りパートも入ったり。中盤からは徐々にテンポアップし、オリエンタルなギターソロが一瞬入ったり、後の打ち込みを導入するSPEED-iDを予見するような、ダンサブルなベースとシンセをメインとしたパートが挟まれつつ盛り上がっていきます。後半はまるで別の曲のように、吠える低音ボーカルと激しいサウンドが暴れるアッパーな展開に突入。何だかこれ1曲でアザーサイドの方向性を説明できそうな気がしてきました…w
終盤は少し力が抜けたように、軽やかなピアノをバックにした開けたパートとなり大団円を迎えます。序盤のノリで10分以上押し切るのか!? と最初不安になる人も(含:自分)、何だかんだで展開が多いので冗長さは感じないのではと思うのですが。

05.蜃気楼 (1991.Summer)
前曲が本編クライマックスだとするなら、こちらはエンドロール的な位置づけでしょうか。
タイトルから連想されるような、ゆらゆらとした浮遊感のあるシンセやギターが心地良い、穏やかなバラードになっています。そこまで派手な曲ではないのですが、先に聴いたSPEED-iDの1st「INNER DIMENSION(Remastar盤)」のボーナストラック「The Ocean」に近い雰囲気という事もあってか、何だかんだで初聴時にしっくり来たのはこの曲だった気がします。

***

リアルタイムで聴けている訳もないので完全な想像になりますが、いわゆる初期V系の流れとはまた違った位置に居たバンドなのかな? という印象を、前作と同様持つCDでした(ブックレットのヴィジュアルは当時のそれなんだけど…w)。個人的には、曲数の少なさ故か流れに無駄がないように思える本作の方が好みでしょうか。前作の感想と被ってしまいますが、復活後のSPEED-iDに通じる所も感じるので、最新作で彼らを知った人も好みにハマる確率は高いと思っています。
また、本作の方が多く出回ったのか、中古で見つけられる率は前作より多い気がするので(Amazonでもこちらは1円ラッシュ…)、そういう意味でも手を出しやすいかなと。

***

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RIDE AN ANGEL’S HAIRRIDE AN ANGEL’S HAIR
アザーサイド

インディペンデントレーベル 1991-12-10
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THE OTHERSIDE「WATERS OF FORGETFULNESS」(1991)

01.HIGH RISE (Introduction / DEF MASTER)〜夜光の街
02.ANGEL IN BONDAGE
03.SANCTUARY
04.SEASIDE SLAUGHTER
05.SUB ROSA
06.忘却の河 (Waters of forgetfulness)
07.叩き壊してくれ
08.遠イ自画像 (For your...)

全曲作詞:優朗

品番:G.O;005CD


***

現在SPEED-iD、functioncodeで活動している優朗、HALがSPEED-iDの前に在籍していたバンド「THE OTHERSIDE」の1stアルバム。メンバーは、HAL(ドラム)・Ryo(ベース)・Knob(ギター)・Mist(ギター・シンセサイザー)・優朗(ボーカル)で、解散後Ryo・Knob・Mistの3人はCRAW FISHというバンドを結成しています。
SPEED-iDではデジタル・ダンサブルな要素を大々的に導入した時期もありますが、アザーサイドの方は、基本はバンドメインながらどこか気だるく冷たい印象を受けるロックという感じでしょうか。当時優朗さんは20歳位だったはずですが、あの低音ボーカルはこの頃から確立していますよ(後に比べると荒っぽいというか、調子外れな部分もありますが)。

以下各曲について。


01.HIGH RISE (Introduction / DEF MASTER)〜夜光の街
冒頭はDEF MASTERによるSE。彼らについては、他ではyukihiro(acid android)のリミックスやBAUHAUSのトリビュートアルバムでしか聴いたことがないのですが、インダストリアルド真中! といった印象の不穏なオープニングになっています。確か、一時期SPEED-iDに在籍していたTSUYOSHI(現THE LECHERY FROM MARS)も居たような…。

「夜光の街」は、そこから打って変わってアッパーなロックンロールナンバー。中盤一度静かになりますが、一気に暴れる間奏に突入。途中語りパートも挟みながら、ラストまで一気に駆け抜けます。聴いた当時(SPEED-iD復活〜新譜リリースの丁度真ん中の時期)は随分健康的な音に思えましたが、現在のiDから遡ると逆に違和感がないのがちょっと驚き。

02.ANGEL IN BONDAGE
前半のドンドコしたドラムが印象的な、こちらもアップテンポな楽曲ですが、Bメロのボーカルや中盤の英詩パートには、冷たさというかドロリとした感触が(「割れた窓硝子に滑る込む暗い夏」というフレーズが何か好きだったり)。ただ全体的には跳ねた印象のリズムにカラッとしたギターが乗った、ノリの良いロックナンバーで、何気に現在のiDでリメイクしても違和感が無さそうなイメージがあります。

03.SANCTUARY
低音ボーカルと疾走感のある演奏の組み合わせが心地良い、スリリングなナンバー。特に打ち込みも使われていないのですが、ちょっとサイバーな印象も。曲調と3分ない尺とが相まって、あっという間に終わるイメージが。

04.SEASIDE SLAUGHTER
冷たい印象のシンセを乗せ、気だるく展開するスローナンバー…なのですが、徐々に不穏な展開が顔を出し途中からアップテンポに。まぁタイトルがタイトルだし…w 曲展開といいその歌詞の内容といい、後のSPEED-iD(と優朗ソロ)を彷彿とさせる楽曲で、初聴時に一番しっくり来たのがこの曲だったような。
アウトロは激しめながらも、再び気だるくドロッとした展開になるのですが、そのアウトロの初めにはH.R.Gigerのナレーションが。本当に直接ゲストに来てもらったのか、どこかの講演かインタビューから抜粋したのか…。

05.SUB ROSA
こちらも、今聴くとiNDEEPに入っていておかしくなさそうな曲調の、ポップなゴシックロックナンバー。ボーカルも、本作の中では一番現在に近いというか、朗々と歌い上げています。そのせいか、本作の中でもパワフルで聴きやすい曲なのに、どこか冷たく沈んだ感触が。これもリメイクしちゃいませんかね?w

06.忘却の河 (Waters of forgetfulness)
三拍子のリズムが印象的な、フォーク要素を感じるタイトル曲。アコギを中心にした音に、懐かしさを感じる牧歌的なメロディー等、どう聴いても裏ジャケの長髪黒服、ザ・初期V系! といった出で立ちのバンドがやる曲じゃないw(褒めてます) こういうのもやるのか! と驚かされた記憶が。
そう言えば、このタイトルって福永武彦の本とは関係あるんでしょうか。

07.叩き壊してくれ
こちらも低音ボーカルが映える、王道ロックンロールナンバーですが、個人的にはあまり好きも嫌いもなく…というか、アルバムの流れの中ではちょっと地味な位置かな?

08.遠イ自画像 (For your...)
ギター・ボーカルメインとした、気だるく穏やかなトーンで始まりますが、すぐにバンドサウンドメインの3連バラードに。ちょっとボーカルが荒っぽいですが、初期のiDが大丈夫なら、許容範囲かもしれません。どこか醒めた雰囲気の前半を経て激しくなる辺りは、「SEASIDE SLAUGHTER」が似ているかも。ただ、こちらはその緩急が更にきつく、後半はギターソロ合戦をはじめ各パートの応酬・暴れ気味のボーカルが飛び出しカオスな展開に。

***

正直最初に聴いた時は、好悪以前に大きな印象を受けたCDではなかったのですが、ゴシックロックンロールを煽り文句にしている、(今の所の)SPEED-iD最新作「iNDEEP lp」を踏まえると、意外と今に通じていると感じる部分も多く、色々やった上で一周し再びこの辺りの音に戻ってきたのかな? とも。そういう意味では遡って聴きたい人には丁度良いタイミングかもしれません。
上で述べた通り、ボーカルには若干クセがありますが、楽曲自体は古さを感じませんし(20年前のインディーズバンドにしては、音質もショボくないかなと)、当時のV系界隈でこういう音を出していたバンドが居た、という意味でも面白く聴けるのではないでしょうか。

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Waters of forgeWaters of forge
アザーサイド

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移行ひと月前になって地デジにしたら、画面がハッキリし過ぎて目がチカチカするdodoさんですよ('A`)
でもこの番組はかなり見やすくなって驚いているんですよ。


……えぇと、旧譜編を書こうとして記事を分けてみたは良いものの、今年購入した音源リストを見たら、新たに手を出したバンドが殆ど無かったので、まぁ…こちらは印象に残ったのを適当に!






ごめんなさいごめんなさい
新譜編はこちら

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音楽関連のニュースとしては、どうしても震災以降のそれに関連したものの記憶が大きいのですが(現在進行形で)、1月に元JAPANのベーシストで、日本のミュージシャンとも関係の深かったMick Karnが逝去した事が、今年初めの衝撃だったでしょうか。昨年癌であることを公表し募金を募っていましたが、資金面の目処がついたアナウンスがあった後特に悪い知らせもなかった事、元BauhausのボーカリストPeter Murphyとのユニット「Dali's Car」が二十数年ぶりに再始動するとのニュースがあったりと、快方に向かっているのかと思っていただけに残念でした。JAPAN周辺に関して意識して集めだしたのは、このブログを始めた頃なのでにわかもいいトコですが、その中でもDali's CarはJAPANのTin Drumと並んでツボだったり。もし完成音源があったらリリースして欲しいなぁ。

Dali's Car「THE WAKING HOUR」 ※リンクはMP3ダウンロード版




3/11以降震災チャリティー関連のリリースが増えたのも、今年の大きな特徴として挙げられます。色々思う所がある人も少なくないかもしれませんが、娯楽を通じてそういう活動をするのも決して悪くはないと思いますし、身も蓋もない言い方すれば、その辺どう気持良く金を出させるかも実力の内というか…w 洋楽のコンピもありましたね。
新譜編の方では書きませんでしたが、私自身はLUNA SEAのダウンロード販売限定シングル「PROMISE」や、先月のCalmando Qualワンマンライブで発売されたチャリティー音源等に手を出していました。前者は内容の同じ曲に3種類の値段が設定されており(それぞれ200、500、1000円)、後者は1公演限定の1曲入り500円で、普段とは違った感触の曲を出したりと、その性質を上手く使った出し方をしているかなと。
この2つに関しては、その内記事を改めて書こうと思っています。




また、今年も解散あれば再結成ありという事で、昨年からアナウンスがあったKaggra,、活動休止から正式に解散が告げられたヴィドール・DELUHI・D’espairsRay、周りのサイトでも短い活動期間が惜しまれているKYOKUTOU GIRL FRIEND等が前者の中であげられるでしょうか。特に「再開を告げた上での活休→やっぱり解散」の流れは、ファンとしてはキツイ所があるだろうなぁ…。
再結成の方では、新譜編の方で書いたSchwarz Steinが自分の中では大きいのですが(新作が楽しみ)、他にはVasalla、そしてSIAM SHADEやBY-SEXUAL、cuneといったメジャーどころの復活ニュースも。そして一昨日も書いたMASCHERA一日再結成には本当に驚かされました。リアルタイムで知ったのは活動末期でしたが、今でもラストアルバム「orb」はV系好きな人に強く勧めたいアルバムになっています。
orborb
MASCHERA

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……しかしそれ以上に気になるのは、Missalina Reiがちゃんと復活するのかどうかという事だったりします。
流れと全く関係ありませんが、コミック版アイマスDS特典ドラマCDの出来も心配やら楽しみやらでですねry









サイネリアをゲームで最初に見た時、某あり○がわ氏を思い出したなんて事は絶対に書けない。

今年も、上半期に聴いた音源の総括未満な何かを書いていきますよー。今年前半はあんまり新譜を買っていなかった気がしていたのですが、昨年前半のまとめを見たら、そんなに変わらない――どころか数的には若干上回っていたという…。聴きたいけどまだ手を出せていないCDがあるからかもしれません。

本当はランキング形式にしたりすれば面白いのかもしれませんが、マンドクsいつも通りその辺はあまり拘らず並べてみますよ。(ランキングに関しては、Beautiful Dreamerさんの「上半期楽曲ランキング投票」の方に投票してみようと思っています)


葵&涼平 incl.アヤビエメガマソ「モノクローム」
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葵&涼平 incl.アヤビエメガマソ

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昨年分裂した彩冷えるから、一人残った葵とアヤビエのオリジナルメンバーだった涼平による、まさかのユニット結成には驚かされました。二人がそれぞれ在籍する徳間ジャパンとエイベックスからの、涼平在籍時の彩冷える楽曲のセルフカバーを含むカップリング違いリリース、しかも両者に内容の異なるDVD付きでCDは1曲少ない初回盤の4種類があるという、相変わらずこの界隈らしい売り方ですが…(苦笑)。因みに、現在私の手元にあるのは、徳間ジャパンの通常盤。
この二人ですから、そりゃ涼平在籍時の彩冷えるになると思っていましたが、タイトル曲は涼平節を感じつつまた違った所に持っていった印象でした。それでも彩冷える・メガマソ両者のファンを置いていかないどころか、激烈にキャッチーメロディーで引っ張るのは流石と言うべきでしょうか。


AYABIE「Melody」
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AYABIE

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こちらは分裂したもう片方のAYABIEの1stシングル。この前に出たデビューアルバムはまだ聴けていないのですが、涼平脱退後の彩冷えるを思い出させるダンサブルなタイトル曲、メジャー期の彩冷えるの匂いを残した2曲目、ヘヴィ寄りの3曲目(通常盤のみ収録)と三者三様な感じで、バンド入門としても優れているかな、と思ったり。
そう言えば、次のシングルから改めて(?)メジャーで活動するそうですね。


BUMP OF CHICKEN「友達の唄」
友達の唄友達の唄
BUMP OF CHICKEN

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ドラえもん映画の主題歌になった曲ですが、ストリングスやトランペットも使った壮大なバラード…の割にはちょっと印象薄かったかもしれません、どこが悪いという訳でもないのですけれども。カップリング「歩く幽霊」のようなカントリー要素の入った曲も、十分タイトル曲を張れるポップさを持っていると思うのですが。
そう言えば、震災後チャリティー目的で、1曲+DVD付きのシングルが急遽リリースされましたが、あちらは事実上ボーカル藤原基央のソロのようになっているようで。


XA-VAT「艶℃」
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濃ゆい面子から濃ゆくもポップでダンサブルなものが出てきました。メンバーの経歴を含む先行シングルの感想はこちら
最初は即効性の高いアルバムと思って聴いていましたが、聴き込むとまた違った所に耳が行ったりと、ある意味燃費の良い(笑)触れ方が出来ているアルバムでしょうか。今の所、上半期で楽曲別1位を上げるならこちらのアルバムからになるかなと。サビ前で表情が一変するMr.VITALか、懐かしさを感じるEPOC TRACEか…。


VELVET EDEN「Witch on flames」
Witch on flamesWitch on flames
VELVET EDEN

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ベルベットエデンの復活第一弾ミニアルバム。感想記事はこちら。作曲者が異なっているのに、ユニット時代好きにはしっくり来るという印象でした。そして珍しくkonozamaを喰らった音源(現在在庫は復活しているようです)
因みに、そのユニット時代の楽曲「Street of Alice」のリテイクバージョン(約10年振りにKalmが参加!)や本作タイトル曲のリミックス音源が、DADAのブログにて無料で公開されているので、興味はあるけどいきなり買うのは…という人は参考になるかも。

Street of Alice 2.0
http://ameblo.jp/dada-velveteden/entry-10899202917.html
Witch on flames(GPKmix)
http://ameblo.jp/dada-velveteden/entry-10919679637.html


highfasionparalyze「spoiled/蟻は血が重要である/形の無い 何よりも 愛したのは お前だけが」
hfp

元merry go round〜Smellsのkazumaと元deadman〜the studsのaieが手を組んだ、ハイファッションパラライズの1stシングル。ボーカル・ギターのみの編成ですが、音源でも本当に2人だけの音でぶつけてきました。録音環境の問題か、ちょこちょこギターの音が割れている? のがちょっと残念。それを差し引いても、ダークという言葉で片付けるのもはばかられるドロドロ感ときたら! 歌詞カードが付かず、作詞・作曲クレジットもないため、どちらが主導で曲を作っているかも気になりますね。
まだシングル1枚で判断するのは早計かもしれませんが、これまでのkazumaさんのキャリアの中でもダントツに人を選びそうな気がします。自分も何度か聴いてやっと各曲の色が見えてきた、ような……気が……(MP減少中)。
現在、ライブ会場とオフィシャル通販(携帯版)でのみ販売中。


Kaya「Queen」
QUEENQUEEN
Kaya

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VELVET EDENの方で触れたKalmさんが、現在楽曲を提供しているKayaのメジャー1stアルバム。メジャーデビュー自体が2008年なので、思いの外時間がかかっていたような(と言っても、間にインディーズ期のベストやシャンソンをカバーしたミニアルバムは出ていたのですが)。
トランスを軸にした耽美なポップサウンドは踏襲しつつ、本作では元Rentrer en Soiの匠と元メトロノームのリウが新たに1曲ずつ提供しており、少しずつ幅を広げてきているようにも思えます。そして何よりKayaのボーカル表現もより多彩になった印象。Schwarz Stein時代から艶のある低音ボーカルを聴かせてくれましたが、可愛らしかったり、逆に儚げな歌い方も披露してきていますよ。久々にこの人のCDを手に取りましたが、かなり満足でした。

因みにそのSchwarz Steinですが、7月31日に高田馬場AREAで一日復活ライブを行う事が発表されました。ユニットを組んでいたHoraも、Kayaへのメイン楽曲提供陣の一人なので、ある意味当時より注目度は高いかもしれませんね。また、それに合わせて新作リリースも発表されました。現在Horaのサイトで予約を受け付けていますが、枚数限定という事なので気になる人はお早めに。
そう言えば去年の今頃は、Hora氏が体調不良を理由に音楽活動の休止を宣言していたのでした…。こんなイベントが出来るくらいに回復されて良かったっす、いや本当に。


V.A.「NEW AGE PROTO-CULTURE 〜第一楽章〜」
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かつてのインディーズV系バンドを全力で体現しているGravelさんが中心となってリリースした、5組参加のオムニバスアルバム。このアルバムタイトル! そして「砂利を握れ」という煽り文句!! ピンと来た人は是非。
個人的には、礎-stela-によるGravelのカバーと、コラボバンド? のヴュートセレストcrossfade世の漆黒の曲がなかなか好みでした。こちらも残り枚数少ないそうなので、気になる方はお早めに。
Gravelオフィシャルサイト
参考:Gravel「So white love story -2ND SEASON-」




functioncode「TERROR」
TERRORTERROR
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エクセレックス 2011-05-11
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前作「HeroinE」から3年振り、名義をfunction code();から変えてからは初となる2ndアルバム。
震災の影響で発売が延期されたCDは数多くありましたが、こちらも予定から2週間程遅れてリリースされました。……が、そもそも最初の情報では2010年中に出る筈だったこのアルバム、優朗周辺のリリースペースには仏のような心で臨んでいる自分には誤差と言える遅れでした…w(でも出来ればペースは安定させて欲しいのですぜ、主人) 全8曲と少なめですが、映画挿入歌タイアップが1曲にPVが作られたのが2曲と、割と優遇されているような。
メンバーチェンジも経て、面子がSPEED-iDとほぼ一緒になっていますが、前作のポップに振り切ったゴシックロックとは真逆の、ある意味iD以上にシンプルなロックサウンドになった感触で、良くも悪くも骨太になったなぁと。歌詞によっては中二的攻撃性を前面に出した曲もあり、何だか某PIERROTがメジャーでストーリー性を持った3部作を出した後に、あの「ネオグロテスク」を出した時のような展開に似ているような気もします(苦笑) これはこれでカッコ良いと思いますが、さてここからどうなるか…。


Versailles「Holy Grail」
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メジャー2枚目、通算3枚目のフルアルバム。
ついこの間の発売なので、まだあまり聴き込めていないのですが、相変わらずのシンフォニックメタルサウンドに徹底した耽美な世界観は流石と言うしかありません。全体的に疾走曲の割合が増えた、というか前作「JUBILEE」で広げた曲調の幅を再び絞ってきた印象もあるので、そこをどう思うか…という所はあるかもしれません。逆に言えば粒ぞろいのベスト盤的な感もあるので、シングルで知った人には入りやすく期待を裏切らないアルバムでしょうか。――なんて自分のように思っていると、本編ラストの特盛16分「Faith & Decision」に度肝を抜かれるぞ!w
後、KAMIJOの歌い方がいい塩梅になってきたというか、LAREINE時代の色もくどくない程度に出しつつ、低音にも無理がなくなってきたので、そちらの意味でもオススメ出来るかな?
楽曲投票では、こちらからも1曲出そうと思っていますよ。

***

取り敢えず新譜サイドはここまで。まだ桜牙やRhapsody of FIREの新譜、ついこの間出たばかりのALI PROJECTのストリングスアルバム(ベストも出てましたね)等がまだ聴けていないので、そちらも好みに入ることを祈りつつ。
オマケ的なものはこちら


……ネタ集プンプンの、ジブリのメタルアレンジアルバム、未だに迷ってます……w

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