一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2011年10月

吉良知彦「AFTER THE MATTER」(1984)

01.BARBARIAN
02.IN THE TWILIGHT
03.SUNDAY MORNING
04.THE MURDER CASE IN OHIO
05.AFTER THE MATTER
06.夜
07.POLAND
08.DAY OF THE OWL

作詞 01、02、04、05、08:KIRA/06:松居啓子
全曲作曲:KIRA

発売日:1984/??/??、2001/03/29(CD再発盤)
品番:HARV-0002(CD再発盤)


***

ZABADAKとして長く活動している吉良知彦が(今年になって遂に? 小峰公子が加入し2人組に)、1984年に自主制作でリリースした1stアルバム。当時はアナログレコードでしたが、2001年にCDで再発されました。吉良氏のライナーにもありますが、「現存する唯一のレコードから録音したものなのでスクラッチノイズがかなり入って」おり、その通りパチパチ音が目立つのですが「これも時代を感じさせてくれる『味』として楽しんでいただけば」という事だそうです。レコード盤はかなりレアなようですね。
また本作は、後にZABADAKでリメイクされる曲があったり、サポートメンバーにZABADAK初期メンバーだった松田克志(ドラム:04〜08)と上野洋子(コーラス:04)が居たりと、ある意味ザバダック0作目のアルバムと言えるかもしれません。

以下各曲について。


01.BARBARIAN
シンセと打ち込みリズムメインによる気だるい雰囲気の楽曲。少しリズムに変化があるも基本同パートの繰り返し…と思いきや後半ギターとシンセによるファンタジックな盛り上がりがあり、ここから派手に展開するのか!…と思いきやすぐ元に戻りますw
ニューウェーブでありプログレな一面も持つ楽曲なのでしょうか。

02.IN THE TWILIGHT
フワフワとした音作りで重ねられたギターが心地良い、穏やかなバラード。派手な曲ではありませんが、後のZABADAKでもアルバムに1曲入っていておかしくなさそうな印象で、音質面を除けば特に古さも感じないのでは。

03.SUNDAY MORNING
叙情的なギターのフレーズやコーラスが前に出た、ゆったりとした曲調ながらも爽やかな印象も受ける楽曲。このギターやコーラスのフレーズが「十二月の午後、河原で僕は夏の風景を思い出していた。」や「風を継ぐ者」のサントラに収録されている「光の王国」に使用されています。メインのボーカルパートは結構異なるため、同じフレーズから生まれた別の曲と言い方が合ってるかな? 光の王国が手元にある人は聴き比べてみると面白いかもしれません。

04.THE MURDER CASE IN OHIO
こちらも叙情的なギターや哀愁感を出す笛のメロディーがたまらない、アコースティック色の強いミディアムナンバー、…なのですが、何せ歌詞がタイトル通りの内容なので…。牧歌的でユーモラスな曲調から一転して、サビ前のみ上野のコーラス+松田のドラムによる冷たい雰囲気のパートがあるのですが、その歌詞と相まって不穏な雰囲気が更に映えている印象を受けます。この曲はZABADAKの1stEP「ZABADAK-I」にて「オハイオ殺人事件」として収録されていますが、この時点でほぼ構成は出来上がっているみたいですね。

05.AFTER THE MATTER
王道ギターロックといった趣の、ちょっとファンタジックな雰囲気も感じるメロディーが映えるアップテンポな楽曲。ほぼギターソロメインで進行しますが、後半ボーカルパートも登場します。何となく、上野脱退後の「Something in the Air」や「LiFE」辺りのアルバムに入っていても違和感なさそうな気もする辺り、この一作目で彼の作曲傾向はある程度固まっていたのかもしれません。

06.夜
作詞に松居啓子、メインボーカルに高橋久美子という人が参加しているのですが、この曲だけ時代を感じると言うか、当時のシンガーソングライターがやりそうな歌謡ポップナンバーになっています(そんなに当時の流れを知っているわけではないですが、雰囲気として)。のんびりした曲調に乗る、眠たそうでいてどこかドスの利いた歌い方をするボーカルや、何かストーリーがありそうなんですが良く分からない歌詞等によって、アルバム内に於いて異物感を発揮しているというか、どうにも妙な存在感を放っている楽曲(笑)

07.POLAND
こちらも後にZABADAKでリメイクされるインストナンバー。
この曲に関しては、とにかくそのクサいリコーダーと物悲しいギターに尽きると思っているのですが、「オハイオ殺人事件」と同じく、そのアレンジはこの時点で既に完成しており、インストながら本作中印象に残る楽曲でもあるのではないでしょうか。
ZABADAKでは上に挙げた「ZABADAK-I」「風を継ぐ者」をはじめ、各種ベスト盤等に繰り返し収録されています。

08.DAY OF THE OWL
トローンとした音作りによるピアノとボーカルがメインのスローナンバー。全体的にゆったりとした印象の曲ですが、途中途中に軽快なシンセソロが入るなど、8分の尺の中でちょこちょこ展開はあったりします。

***

音質面でのハンデはありますが、吉良知彦の原点というか、民謡・ロック・プログレ要素等ここから派生していった的な曲が多い気がするので、初期のZABADAKを聴いている人ならば、割と早い段階で手を出して楽しめるアルバムなのではないでしょうか。

(オフィシャル通販限定だと思っていたのですが、ヤフーショッピングの方でも取り扱っているようなのでとりあえず貼ってみたり)

afterthematter


オフィシャルサイト通販ページ
Yahoo!ショッピング

V.A.「NEW AGE PROTO-CULTURE 〜第一楽章〜」(2011)

01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
02.maggot therapy / 礎-stela-
03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
04.With you / CresCod'A
05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel

発売日:2011/05/01
品番:GRVA-001


***

いわゆる同人音楽界隈で活動するビジュアル系バンドが参加したオムニバスアルバム。Gravelが主催ということで購入してみましたが、アルバムタイトルといい「砂利を握れ」という帯の文句といい、やはりその時期のV系へのリスペクトが強いということでしょうか。元ネタのニューエイジカルチャーは手元にないのですが、ジャケットデザインもかなり近かった気が。
因みに、Gravel以外は全て初聴のバンドとなります。

以下各曲について。


01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
作曲・編曲:Winna_Strive

Winna Striveさんのソロ? という事で良いのでしょうか。
流麗でシンセが映える疾走インストとなっており、2分足らずの尺ながらメロディーはかなり耳に残るものがあります。この手のオムニバスでは、時々こういうシンセメインのインストが1曲目に入ったりしますが、本作もそれを意識して参加を打診したりしたのでしょうか。オフィシャルサイトで視聴した所、この手のクラシカルな曲がメインみたいですが。
また、この曲は同年8月にリリースされたArk of Pantasmのアルバム「Sphere」にも収録されています。

オフィシャルサイト


02.maggot therapy / 礎-stela-
作詞・作曲:stela

ブックレットのそれらしい注意書きや冒頭の攻撃的な流れに、医療系コテバンドかと思っていたのですが(実際前半はそんな曲調)、テンポを落としてゆったり歌い上げたり、突如シャッフルパートに突入したりと、なかなかにカオスな楽曲になっていました。作り手が通ってきたV系遍歴があらわれている…のかなぁ? サビでは激しく展開するため、全体の色としては、やはりダーク・ハードな印象があります。

03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
作詞・作曲:Gravel

こちらはGravelのカバー。原曲は現在「懺悔ノ終幕」で聴く事が出来ます。
こちらのボーカルは低音で艶のあるヴィジュ声なので、この手の「途中までハードに展開し、サビで一気にメロディアスになる」王道曲にはバッチリ合っている印象が。特にそのサビメロの盛り上がりに関しては原曲以上なんじゃないかとも…w ただ、サビ前のシャウトパートをはじめ、砂利度(?)がGravelに比べると大人しい印象もあるので、そこはそれぞれでしょうか。
また、間奏にジャジーなギターソロが入ったり、語りパートが結構前に出ていたりと、細かい所もアレンジしています。

オフィシャルサイト
myspace


04.With you / CresCod'A
作詞・作曲:naduki、編曲:CresCod'A

キャチーなサビや跳ねたリズムが印象的なポップチューンですが、ピアノをバックにデス声を挿入するパートや、ラウド的なあったりと、こちらも中々展開が多い楽曲になっています。録音環境の問題か、前2組に比べて音が篭っているので、流れで聴くと気になる人はいるかもしれません。ボーカルもベタッとした歌い方で、正直上手いとは思わないのですが、音質と相まってMissalina Reiが初期の音で後期の曲をやったらこうなる…みたいな面白さもあったり。ボーカルさんの声がありすがわ氏を思い出させるのですよ…w(ツイッターの方でもそんな感想を目にした覚えが)。

05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
作詞・作曲:Gravel

Gravelのカバー。こちらも原曲は「懺悔ノ終幕」に収録されています。
こちらもV系の王道疾走ナンバーで、構成は原曲とほぼ同じに聴こえるのですが、前述の音質的な要素によって、良い感じに当時のデモテープに入っていそうな音作りになっているのが素敵。

オフィシャルサイト


06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
作詞:瑠那、作曲・編曲:胡桃坂庵

Gravelの瑠那(ボーカル)、その瑠那さんが参加している「世の漆黒」の庵(ギター)らによる、本作限定? のバンド。キラキラしたシンセが舞うメロディアスな疾走曲になっており、現在のシーンを意識したようなラウドチックなギターのパートがあったり、V系とアニソンの良いトコ取りのような歌謡曲的なキャッチーなサビメロが展開されているのが印象的。中盤にクラシカルな旋律をバックに語りパートが入っているのにもニヤニヤさせられます(女声の英語ナレーションパートは、Ark of PhantasmのWinnaさんが翻訳を担当)。
この曲で世の漆黒が気になり、夏コミでCD買ってみたりしましたよ。

世の漆黒オフィシャルサイト


07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
作詞・作曲:瑠那、編曲:胡桃坂庵

ギターで引っ張るイントロが90年代っぽくてたまらないポップチューン。サビメロ・ギターソロを始めとして、とにかくメロディーが全編に亘って切なさ全開! といった感じで、ジャリバン云々のコンセプト抜きにしても普通に好みに入っていたり。個人的には前のヴュートセレスト〜と合わせて、本オムニバスのトップになっています。

08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel
作詞・作曲:CresCod'A

CresCod'Aのカバー。原曲はシングル「pastelChime」に収録されています。てかライブのMCっぽい語りから始まるイントロ、ROUAGEの「Cry for the moon」をまるっと引用しているとしか思えないんですがww
原曲を聴いていないので比べられないのですが、Gravelオリジナルの前曲と同系統の、切ないメロディーが前に出た疾走曲だからか、すんなり好みに入った曲になりました。終盤、ボーカルの高音がかなり苦しそうなのがちょっと残念ですが、当時のバンドもライブ映像観ると軒並みヘロヘロだったりするので、もしかしたらワザとかもしれません。

オフィシャルサイト
myspace

***

聴く前の想像より、若干幅広いバンドが参加してきた印象でしたが(キーパやMatina等、あの辺は後追いで聴いているので感覚が違う所はあるかもですが)、2010年代に入ってこういう音作りをしているバンドで、オムニバスを作るというのはやっぱり素敵な事なんじゃないかなと思うのです。
手に取りやすい値段設定ですし、ジャケットや曲タイトルで匂いを嗅ぎ取った方も是非。


napc1

ルーシーズポケット
D-STAGE
あきばおーこく

YouTube(公式)

このページのトップヘ