一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2011年11月

love solfege'「Reception for witnesses」(2011)

01.bourree
02.濛々たる黒煙は咲き〜hard-seasickness Pf&Dr ver.
03.菫
04.√48色の虹が映った水たまり
05.Vanity Clock
06.Il Mondo dei Sogni
07.MONOPOLE/ANNIHILATION
08.tiny navigation

作詞 01:オーギュスト棒(訳詞:Simona Stanzani Pini)/02、03、05:紺野比奈子/06:Simona Stanzani Pini/07:神田川雙陽/08:ぬきちゃん。
全曲作曲・編曲:オーギュスト棒

発売日:2011/08/13
品番:KDR-073


***

ジャケットイラストのおじいちゃんが渋い、love solfege'2011年の新作。本当は春頃リリースの予定だったのですが、震災の影響で夏に延期されたそうです。今作もクラシカル要素を多分に含んだ楽曲が詰まっており、その辺りは安心クオリティーでしょうか。

以下各曲について。


01.bourree
ボーカルは綾野えいり。
クラシック曲のアレンジと言われたら信じてしまいそうな、オペラティックなボーカルとストリングスによって構成された前半部、バックが打ち込みリズムメインなダンサブルなアレンジに切り替わる後半部で構成されたクラシカルな楽曲。音数はシンプルですがそのボーカルの存在感には圧倒されるものがあり、アルバムのオープニング的な2分半という尺ながら大きなインパクトを残す1曲なのではないでしょうか。

02.濛々たる黒煙は咲き〜hard-seasickness Pf&Dr ver.
2ndベストアルバム「Requiem」収録曲の別バージョン。ボーカルはRita。
現時点でRequiemが手元にないため聴き比べは出来ないのですが、サブタイ通りピアノとドラムが乱舞するジャジーでパワフルな雰囲気の楽曲になっている印象があります。ボーカルもえげつなくならない程度にパンチが効いた歌い方をしており、曲調に合っているのではないかと。
そう言えば、オーギュスト棒氏のブログによるとジャズシーンで有名なドラマーの協力を受けながらアレンジを行った曲なのだそうですが、そこまでしながらゲストドラマーを入れないのは逆に打ち込みへの強い拘りがある……という事なのでしょうか。別に打ち込みリズムがショボいとか言いたい訳では全然なくて、録音の知識が皆無な人から見た単純な疑問というか。

03.菫
ボーカルは真理絵。
大仰なオーケストラサウンドからスタートする、切なくクラシカルなメロディーが前に出たポップチューン。ストリングスやピアノ、ボーカルの流麗なメロにツボを押されまくり(中盤のピアノソロがまた良いんだ)で、個人的には全編聴きどころと言って良い位、本作中最も掴まれた曲だったりします。クラシカル+ポップの取り合わせが好きな人にはたまらないのでは。

04.√48色の虹が映った水たまり
頭3曲がそれぞれ違った方向に濃かった為、ここらで落ち着きを……という事かどうかは分かりませんが、優しくちょっと懐かしいメロディーが心地良いピアノソロ曲となっています。

05.Vanity Clock
ボーカルは鮎。
ダンサブルなリズムに乗って、チェンバロやストリングスをメインにしたメルヘンチックなアレンジが楽しいポップチューンですが、曲の進み盛り上がるにつれ忙しなくなる鳩時計の音といい崩壊を始める歌詞といい、どんどん不気味な印象が募るのですが…。変な言い方ですが、ボーカルも見えない力に無理やり明るく歌わされているような気がしてきてもうね、もうね!(褒めてます)。「みん○のうた」で子供にトラウマを残すような曲として使われそうな方向というか、とにかくこちらも本作中において深く好みに入った曲となりました。

06.Il Mondo dei Sogni
ボーカルは綾野えいり。
1曲目同様オペラティックなボーカルが映える、ピアノメインのシリアスな雰囲気の三拍子バラード。サビでの壮大な盛り上がりにも重厚感を感じます。折り畳み先で触れているカラオケ音源もなかなか聴き応えありますよ。

07.MONOPOLE/ANNIHILATION
ボーカルは桜庭わかな。
バキバキした打ち込みと気怠げなボーカルの対比が印象的なデジポップチューン。アップテンポでシンセも結構派手ながら何処か沈んだ空気や、サビのクラシカルで軽快な歌メロ+中盤におけるピアノのフレーズが好みを突いてきます。ラストで突然テンポアップするのにちょっとびっくりしたり。濃いバラードに挟まれていますが、中々の変態振りを発揮している曲ではないでしょうか。

08.tiny navigation
ボーカルは楠鈴音。
ラストは壮大なオーケストラサウンドと包み込まれるようなコーラスをメインとしたスローバラード。Il Mondo〜が硬質で凛としたイメージなら、こちらは優しく穏やかな色が強いでしょうか。個人的に間奏のピアノソロ→多重コーラス→ラストのサビへの大団円的な流れが王道感あって好きだなぁと。

***

前作「墟律のサンプル」から再び楽曲の色を絞ってきたのかな? とも思えますが、クラシック要素を基盤にしつつ聴きやすさも維持しているのは変わらないと思いますので、安定してお勧めできるCDになっていますよ。そろそろ電波電波した曲も聴いてみたいですけれど…w


アルバム特設ページ(試聴あり)
love solfege

オフィシャルサイト
Kodomore Records

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拍手コメントを頂いていたのに今気付き真っ青です。
「まったく まったくdodoは! まったくものだ!」(C)よつ○と!11巻より

いや本当に長い間気付かずにごめんなさい。
続きから返信しております。

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STRAY PIG VANGUARD.「燃えるゴミ」(2001)

01.風見鶏
02.H☓H☓H☓H
03.スターダスト

全曲作詞:KAZUSHI
作曲 01、03:KAZUSHI/02:RayZi

発売日:2001/06/12
品番:TRCL-0003


***

元ROUAGEのKAZUSHI(ボーカル)、RayZi(ギター)によって結成された「STRAY PIG VANGUARD.」。RayZiは2003年に脱退しているため、現在はKAZUSHIのソロ名義となっています(厳密には同じく元ルアージュのドラマーSHONOも結成メンバーですが、活動が始まるか始まらないかの時期に脱退)。
本作は2001年にリリースされた3曲入りCD。一応1stシングルという形になると思うのですが、公式サイトのディスコグラフィーではシングルとまた別に分けられていたり、チャック付きビニールケース+四つ折りわら半紙の歌詞カードという変則的なパッケージだったりと、色々こだわりがあった様子。会場・通販限定だった事もあり、お披露目デモ音源的な位置付けだったのでしょうか。

以下各曲について。


01.風見鶏
ゆったりのんびりした歌メロとギターが前に出た、穏やかなスローナンバー。1stアルバム「トラッシュNo.1」にも収録されています。
後期ROUAGE、というかラストシングル「肌色」を連想させるグシャッとしたバンドサウンドになっており(リズムは打ち込みみたいですが)、KAZUSHIの喉に引っかかるような高音部の歌い方も相まって、前バンドとの連続性を感じられる1曲になっているのではないでしょうか。パッと聴きのインパクトは薄いかもしれませんが、諦めの入った優しさ(?)を感じる歌詞と併せてじわじわと効いてくる印象があります。
「神様は忙しい。ボクらにかまうヒマはないみたい」

02.H☓H☓H☓H
こちらは打ち込みリズムのフレーズが印象的な、デジタル感の強い弾けたポップナンバー。個人的に、繰り返し聴いていると裏声で何度も挿入される「ダダダイナソー」のコーラスが妙に癖になったり。
2、3曲目はROUAGE時代エンジニアやリミックスを担当していた新銅"V"康晃がサウンドプロデュースをしているからか、一度バンドサウンドで録った曲を改めてリミックスしてみた的な感じを受けるのが面白いです。2分半という尺もあり、勢いで一気に盛り上げに来る印象を受ける楽曲。

03.スターダスト
バックのフワッとしたシンセが心地良いポップチューン。こちらも後にシングルタイトル曲としてリメイクされました。
とにかくサビを始めとする切なくも開けた歌メロがツボに入りまくりで、個人的にSPVに興味を持つ切っ掛けとなった曲ということもあり(リメイクの方ですが)、思い出補正も認めた上で印象的な楽曲になっています。取っ付き易さ・キャッチーさでは3曲中一番なのでは。バンドサウンドで録り直されたリメイク版の方が完成度は高いのかも知れませんが、デジポップ風味なアレンジのこちらも結構好みだったりします。

***

当時このCDを手に取った人の大半はROUAGEから流れてきた人だと思うのですが、そのルアージュ自体が曲の傾向を段々と変えていったバンドだった事もあり、どの時期の音を求めていたかで評価が変わった音源だったのかな? と改めて聴いてみて思ったり。ボーカルに若干癖がありますが、ポップな曲が好きな人には間口の広いバンドだと思うのですけどね。
やはりデモ音源っぽさはあるので、最初に聴くならこれより後のCDがいいかなとも思いますが、現在中古でもプレミアはついたりつかなかったり……という感じなので、手を出しやすい値段で見つけたら気にしてみると良いかも知れません。

moerugomi


オフィシャルサイト

ローズマダー五周年記念イベント「Deep forest」@池袋手刀 2011/11/15

PAP_0046


ローズマダー五周年記念イベント。自分的には手刀2days二日目(…)
こちらも出演順に。


Make
初見。オフィシャルサイト開設が今年9月頃なので、結成間もないのでしょうか。
メンバーのヴィジュアルがバラバラだったので(ギターの方の肩パーツが目立って目立って…w)どんな曲をぶつけてくるのか未知数だったのですが、じっくりと聴かせ引きこみにかかるようなセトリだったのかなという印象を持ちました。個人的には、3曲目MC前の和風旋律が映えるバラードが好み。
ボーカルさんのブログを読む限り「暗めのセトリにした」という事なので、普段はもう少し雰囲気違うのかも知れませんが。


MUNIMUNI
ドラムのバックに「SADISTICAL PUNK」の幕が……。ベーシストの方がTESTUからTOSHIに改名してから初めて鑑賞しましたが特に大きな変化もなく(笑)、安定して浮遊感ある怨霊サウンドを聴かせてくれました。個人的に、ラストで久々にフッフーが聴けたのが嬉しい。いい加減他の音源にも手を出してみようかなぁ……。


101A
4ヶ月振りの鑑賞。前回観た時はゆったりめの曲がメインでしたが、今回は同期を使いながらも3ピース編成の音をメインに攻めてきた印象で、今まで観た中では一番オーソドックスにバンドバンドしていた気がします(個人的にはもうちょいダウナーでも良かったのですが…)。終盤、これまた久しぶりに、現在唯一持っている彼らの音源「Miranda Lethal Weapon」を演奏したのも嬉しかったですね。多分初めて彼らを観た時以来に生で聴いたので……6年振り? うわぁ……。


highfashionparalyze
登場SEがひどくゴキゲンな曲だったのでちょっとびっくり(情報求む…)。そしてKazumaがハート型の赤い眼帯を着用してて更にびっくり。何というか……このドス黒い楽曲陣の中で見ると凄いインパクトだw 1曲目の途中ですぐに外してましたが。
以前から音源収録曲の細かい所が変わってきているように思っていましたが、特に「蟻は血が重要である」はaieのギターのフレーズが音源に比べかなり変わってきており、本当に即興でやっているようにも思えたり。そしてKazumaさんがネチッこくシャウトする割合がどんどん増えていくという……。
これまでのライブでもやっている「I kill my shadow〜」の曲がどんどん気になってきているので(今回は1曲目でした)、そろそろ次の音源もですね…(チラッチラッ

※セットリスト
タイトル不明
spoiled
蟻は血が重要である
形の無い 何よりも 愛したのは お前だけが
タイトル不明



ローズマダー
昨年12月に観た時はオープニングアクトでしたが、今回は主催ということで時間もたっぷり……という訳でも無かった気がしますがそれはともかく。
今回から新しいサポートベーシストが加入という事で軽く紹介の時間もあったのですが(Chiroさんという人でした)、長髪+黒服という出で立ち+前からサポートしているギターはCalmando QualのTakという事で、一気にフロントの絵面がヴィジュヴィジュしくなったような……w
そこまで詳しく知っているバンド(mimiさんのプロジェクトという形態ですが)ではないのですが、女性ボーカルながら王道メロディアスV系に通じるような楽曲が多い印象がありました。MCでハイファッション二人の過去バンドのファンだったという事も言っていたので、その辺りにルーツがあったりするのでしょうか。

昨年のライブ感想でも書いていたのですが、ボーカルの高音が軒並みヨレてしまっていたのがちょっと残念だったかなと。力強く張り上げて歌い上げる時は問題無いのですが、裏声になると危なっかしくなる事が多く曲の世界に入り込みづらい事がしばしば……。結構凝ったセットも用意し、ステージの狭さを感じさせない動きの大きいパフォーマンスも決まっていたと思うだけに、余計にもどかしいものがががg
活動年数に対してあまりライブをやっていないっぽい? ので(アンコールも今回初めて応えたとの頃)、場数を踏んでいけば良い方向に行けそうなのですけどね。

***

振り返ると、暗黒寄りの2バンドを挟んで出演順の緩急も良くついていたイベントだったのではないでしょうか。今思えば、Kazumaさんのハート眼帯は彼流の5周年祝い的なアレだったりした……のか?w

L'eprica+DISH+emmuree 東名阪tour final 3man GIGS「a scene of bloodshed 【AUTUM SONIC】 micky birthday happy!!」@池袋手刀 2011/11/14

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L'eprica、DISH、emmureeと、音源を多く聴けては居ないものの気になるバンド達の3マンライブ、こりゃ観るしか無いだろジャスティスという訳で池袋手刀へ行って来ました。ディッシュとレプリカは初見だったのですが、あまりそんな気がしないのは、ついこの間の高田馬場エリアでも観た、NOISY CROWDSの楽器隊が綺麗に3バンドに分かれているからでしょうか。

以下出演順に。


DISH
開演ギリギリに到着し、ほぼ間を置かずに登場。ノイジークラウズでも結構主張するコーラスをしているギターボーカルのシビィですが、メインとなると更に激情的な声を聴かせてくれました。オムニバスや試聴等でも感じた、V系のメインからは少し外れた印象の轟音ギターロックなのですが、これがすこぶるカッコ良い。サポートドラムを入れたスリーピース編成なので、動きは少ないのかな? と思っていたのですが、観客側にネタ混じりのアピールをしたり、変なポーズ(手で「D」の文字? (…チラと調べたら、こちらもアンミュレと同じく、レプリカのパフォーマンスを拝借しているらしい…w))をしたりと、なかなかフリーダムでもありました。終盤はワンマンと見まごう程の盛り上がりを見せていましたよ。
尚、後ろ2バンドがそれぞれのカバーを披露していたので、彼らもアンミュレかレプリカのカバーをしていたた思うのですが、曲目についてはちょっと分からず…。ダークなバラードが1、2曲演奏されましたがそれかな?


emmuree
私の手元にあるアンミュレ単独音源は、「祈り」から一気に飛んで最新作「灯陰」で、今回はそちらからの楽曲は披露されなかったのですが、それが気にならない位仄暗いステージがしっくりきたと言うか。1曲目で、ボーカルちょっと本調子じゃないかな? と思ったりしましたが、そこから先は良く通っていた気がします。アルコールが効いてほろ酔いつつの鑑賞でしたが、ちょっと怖い想のボーカルとハルカのキョワーンとしたギターが凄く気持ち良かった……アンミュレには日本酒が合います!(笑
こちらも途中でレプリカとディッシュのカバーを披露(DISHは「リストカットベイビィズ」で合ってますかね? 本家とはまた違った雰囲気でした)。また、想さんがレプリカの曲前パフォーマンスを拝借していました……w
終演後、昨年出た会場限定CD「真っ赤な林檎」を購入。


L'eprica
ギタリストとベーシストが年内いっぱいで脱退するため、私がこの編成で見られるのは最初で最後になりそうなレプリカ。
事前の印象ではラルクラルクしたイメージがあり、実際初期ラルクぽっさを感じる曲もあったのですが、その辺りの影響は軸にありつつ、メロディアスだったりモダンで攻撃的な楽曲も披露したりと、上手く今の流れに乗せてきている印象を持ちました。ふとした拍子に一気にメジャーになりそうな気もしますが、今年で一旦活動が止まりそうなのがちょっと惜しい気もします。取り敢えず、今回観る事が出来良かったっす。
ラストは、先程アンミュレが披露していた曲のカバー(「ライラライ」の繰り返しが印象的な曲でした)。本編の〆が共演者のカバーというのも面白い。


・アンコール(セッション)
アンコールは、まず先程のレプリカ+想+シビィによるセッション。恐らくレプリカの曲でしょうね。三者三様といった印象のボーカルを披露していましたが、想、シビィ両氏のカンペを隠そうともしないステージングに潔さを感じたり。
その後は出演者全員によるセッション……の前に、イベントタイトルにもあるレプリカのベースmickyへのケーキ贈呈やクラッカーといったサプライズが。ミッキーさん、シビィさんに色々弄られてたなぁw そう言えば、アンミュレでのハルカさんは無茶振りをしないキャラなんでしょうか……。

ラストは、DISHサポートドラマーTSUTOMU氏が所属するバンド:bastardの「60億の小さな命」を演奏。ダークな出演バンド達が明るい曲調に乗せ、楽しそうにマイクをやり取りする姿は印象的でした。DISHのベーシスト根本コウヘイ氏が、中々イイ声をしているのにちょっと驚いたり、こういう場の想さんは両手を挙げてちょっかいを出す動きをやっぱりするのねと思ったり。
単体では明るいバンドなんて居ないのに、終わった後のこのほっこり感は何なのか!w

***

いやー、とにかく行って良かったと思えるイベントでした。
これ書いている当日にも、highfashionparalyze目当てに手刀行く予定なので、そちらのレポ的なものもその内…。

Gravel「朦朧の虜」(2011)

01.「"」
02.M帰還
03.in sult-Vipper
04.Suffer scare syndrome
05.神が堕ちたアノ日

作詞 01、02:流/03、05:瑠那
作曲 01:流/02〜05:瑠那

発売日:2011/10/30
品番:GRV-006


***

懐古主義的同人V系バンド「Gravel」の2ndミニアルバム(CD-R仕様)。メンバーが流、瑠那の二人になってから初めての単独音源になりますが、今回のテーマは「ジャリ名古屋系」らしく、2000年前後に於けるそちら方面のバンドへのオマージュが多いみたいですよ。てかジャケットは思いっきりPhobiaの「妄想の虜」を意識、アルバムタイトルは「妄想ノ〜」+kein「朦朧の実」でしょうし、曲タイトルもフォービア・Lamiel辺りから持ってきているっぽいですし……あぁ、ドーナツレコード……。
今作は鋭いギターとリズムが前に出た、ダーク・ハード寄りの音作りになっている印象で、そちらも今作のテーマに沿っているのかなとも思うのですが、私自身はあまりそちら方面に詳しくないので(keinとかプレミア値だしなぁ;)、取り敢えず普通に感想を書いていきますよ。

以下各曲について。


01.「"」
鐘の音や嵐、不気味なメロディーのピアノ等をバックに語るダークな雰囲気のSE。何となく、某マディスのデモテープのオープニングもこんなだったかなぁ……と思ったり。でもタイトルの元ネタは「妄想〜」収録の「’」だと思われます(あっちはボーカル曲ですが)。
後、最後の台詞は……シクマ○タトキ?w

02.M帰還
こちらもタイトル元ネタは「妄想〜」収録の「S帰還」からでしょうか……って冒頭数秒のドラムが全く一緒だこれー!?
いざ曲が始まると展開は全く異なり、どこかウネウネとした音色のギターと、呻くようなボーカルが絡む攻撃的な曲調になりますが、そちらもPhobia…というか当時のドーレコの主流を意識しているのでしょうか。サビではダークながらメロディアスな展開になりますが、そこでもバックを呻きシャウトが占めている為か、やはり全体的には攻撃的な雰囲気が。Aメロ後半に一瞬メリゴのG.○.Dっぽさを感じたり、後半は疾走しスーサイダイ! したりと、3分半の尺ながら結構展開が多い印象があります。

03.in sult-Vipper
タイトルはLamielの「in sult-Viper」から持ってきているのでしょうが、pが一つ増えるだけでここまで字面の空気が変わるとは…w
こちらもウネウネテロテロしたギターが印象的ですが、曲調はアッパーでポップになっています。サビメロもどこかで聴いた事がある気がするけどパクリではない、という良い塩梅な王道具合が素敵で、その後テンポを落としクラシカルなメロを展開する大サビもツボ。ただ、メロディアスな曲にしてはボーカルが奥に引っ込んでいるのがちょっと残念でしょうか(本作全体に言えることなんですが)。当時のデモテープを聴いている様な気分にもなるので、音のバランスは敢えての狙いなのかもしれませんが。

04.Suffer scare syndrome
今回も来ましたツタツタ発狂曲。エフェクトかけたギャウギャウシャウト! 無闇に猟奇的な歌詞!! そしてマディス辺りを彷彿とさせる、ちょっとモゴモゴした歌い方と、その徹底ぶりにニヤニヤが止まりません。ダウナーな語りパートにて煽りが繰り返され、シャウトの冒頭でバンギャルさん達が逆ダイする光景が目に浮かぶ……w そしてこのまま突き抜けて終了かと思いきや、ラストのドラムソロが某Dirのとりk――おや誰か来たようだ
尚、タイトル元ネタはkein「Keen scare syndrome」でしょうか。

05.神が堕ちたアノ日
ラストは開けた感のある、ツインギターで引っ張る疾走メロディアスチューン。タイトルはLamiel「空が堕ちるアノ日」が元ネタかと思われます(例によってそちらは聴けていないですが…)。
本作と前後して、作曲者の瑠那さんが参加している「世の漆黒」や「さくらソルフェヰジュ」の音源も聴いてみたのですが、この曲は女性ボーカルを乗せてアレンジしても普通に通用しそうな、切なくキャッチーなメロディーが前面に出た(3曲目で述べた通りボーカルは引っ込んでますが)90年代臭溢れる1曲という印象を持ちました。

***

個人的に特に明るくない方面ながら(つい最近になってdeadmanのアルバム聴いたりする程度のアレ)、ジャリバンとしての徹底ぶりと併せて(最早普通に格好良いとも思いつつある)、オマージュ先を探る面白さも幾つか感じられましたので、そちら方面のバンドを熱心に聴いていた/いる人は更に楽しめるのではないでしょうか(下にリンクを貼った、特設ページのフライヤー画像もなかなか……w)。
取りあえず私は、「妄想ノ虜」を改めて聞き直してみる事にします。


mourounotoriko


特設ページ
ルーシーズポケット

YouTube(公式)

ze零ro「Material」(2004)

01.M's Venus
02.one's fate
03.True Dream

作詞 01:勇飛/02:yura/03:朱李
作曲 01:勇飛/02:yura、勇飛/03:朱李
全曲編曲:ze零ro

発売日:2004/07/21
品番:S.D.R-061


***

結果的に最後のリリースとなった、ze零roの3rdシングル。この後ギタリストのyuraが脱退、4人で活動を続けましたが2005年2月に解散となりました。このシングルではソフヴィ方面のアプローチに進んでいるような印象を受けたのですが、当時の受け取り方はどうだったんでしょう。

以下各曲について。


01.M's Venus
切ないピアノのフレーズが印象的なミディアムバラード。ハイトーンボーカルも映えていますが、メロディーには歌謡曲の匂いが強くすると言うか、透明感のある音作りなのに湿っぽい雰囲気が感じられるのが面白い。シングルのリリースは7月でしたが、気分的には丁度これを書いている秋真っ盛りに合いそうな楽曲という気がします。

02.one's fate
クリーンに刻まれるギターと薄くかかったシンセをバックに歌い上げる、ザ・ソフビ! といった感のあるポップチューン。2004年という時期を考えると、既にこういう曲をやるバンドは少なくなってきたと思うのですが、この少し切なさを含みつつ流れる様なメロディーは、この手のバンドを求める人にはたまらないのではないでしょうか。

03.True Dream
こちらも2曲目の流れを組む、シンセとギターで引っ張る曲なのですが、その明るい曲調に初聴時はちょっと面食らった覚えさえある、スコンと突き抜けたような爽やかなメロディーが気持ち良い疾走チューン。歌詞の方もえらくポジティブと言うか青春してるというか……青春ソフビ?w 1stシングルにもこちら方面の曲はありましたが、本作は1曲1曲の色がある程度まとまってきたのか、あちら程唐突感は感じませんでした。個人的に、健康的な雰囲気がちょっと眩しすぎる所もありますが、それを上回るメロディの力を感じられる曲になっているのではないかと。
こうして聴くと1→2→3とどんどん明るくなっているんですね。

***

当時のレビューサイトでは、この青春要素を汲んだ流れにあまり良い評価が無かった覚えがありますが、音源を小出しにしていると、その都度雰囲気がガラっと変わっているように見られる可能性が……という部分が出てしまったのかなぁと何となく思ったりします(まんま自分へのブーメランですけれど)。
ラスト作ながら、3曲の中でバリエーションを持たせつつ方向性はまとまっている印象なので、ヴィジュアル系で普遍的な歌モノをガッツリ聴いてみたい、という人には今でもアピール出来るシングルになっているのではないでしょうか。

material


ピュアサウンド
駿河屋

ze零ro「Judgement」(2004)

01.Judgement

作詞・作曲:朱李
編曲:ze零ro

配布開始日:2004/01/02
品番:zero-000


***

ライカエジソン限定で配布されたze零roの1曲入りシングル。バンドロゴはもとより、「 無  配 」の文字がデカデカとデザインされたジャケットが潔いですw

その収録曲「Judgement」は、ジャキジャキしたギターとエフェクトのかかったシャウトでサビまで押し通す、所謂暴れ曲的な位置付けと思われるナンバーとなっています。シャウト部は英詩ですが、意識しても聴き取れるかどうか…w そしてサビに入ると一気にメロディアスに、とこの辺はやはり王道でしょうか。ボーカルのいづみは朗々と歌い上げるのを得意としている印象がありますが、この曲では前述のシャウトをはじめ、ちょっとがなり気味にしてみたり、その後ファルセットに移行、そしてすぐシャウトしたりと1曲の中で幅広くやろうとしているのも感じますね。
個人的に、サビメロがあまり好きも嫌いもなく……だった事もあり、この曲自体のインパクトはあまり強い訳ではないのですが、配布モノという事で一曲の中でバンドの色を詰め込んでみたのかな? と今聴き返してみて思ったり。

持ち曲に対するCD音源化曲の割合があまり多くない事もあり、他のシングル等で興味を持った人は手を出して損は無いのではないでしょうか。中古に出ていれば基本安いと思いますし。

judgement


ピュアサウンド

世の漆黒「142857」(2011)

01.乖離する蜉蝣
02.奏鳴曲;有栖-alice-

全曲作詞:胡桃沢庵
作曲 01:胡桃沢庵、美南瀬瑠那/02:胡桃沢庵
全曲編曲:世の漆黒

発売日:2011/08/13
品番:T12T-006


***

作詞作曲・ギターを手がける胡桃沢庵を中心に、ギター・作曲:美南瀬瑠那、ベース:雀弥-sakuya-、ボーカル:あえり、はづみによるバンド「世の漆黒(ときのしっこく)」が2011年にリリースした2曲入りシングル(CD-R仕様)。瑠那さんはGravelにも在籍しており、そちら経由で興味を……という流れで手に取ってみました。ボーカルは左右に振り分けてそれぞれ歌っているようですね。
尚、このシングルは、小説「神様のメモ帳」を題材にしているという事で(現在私は未読なのですが)、歌詞の方にそちらを読んでいると面白い記述があるのかもしれません。

以下各曲について。


01.乖離する蜉蝣
シンセも入っていますが、イントロからのザラついたギターがより印象的な、抑え目の曲調のミディアムテンポの楽曲。最初は少し地味に感じましたが、隙間を生かしたギターのフレーズや終始憂いを持って展開するメロディーがじわじわと効いてきます。終盤には疾走パートもありますが、全体的には気怠い印象が残る1曲。

02.奏鳴曲;有栖-alice-
こちらは1曲目とは対照的に、シンセとギターによるちょっとクラシカルなイントロから、どキャッチーなサビへの雪崩込みが印象的なメロディアスチューン。個人的にこの歌メロが非常にヴィジュヴィジュしく感じてツボだったりw バックもギターで引っ張る切ない疾走ぶりが全開(ギターソロもガッツリ入っていますよ)と、ボーカルがハイトーンな男性になれば、そのままソフヴィバンドの曲になっておかしくないかも、と。初聴時の取っ付き易さは抜群なのではないでしょうか。

***

ヴィジュアル系中心のポップス脳なので、どうしてもそういう連想になってしまうのですが;名古屋系寄りの1曲目、90年代王道を思い出させる2曲目、という印象を持ったシングルでした。女声ツインボーカルという体制ですが、V系スキーの人にも面白く聴く事が出来るかもしれません。

特設ページ(視聴あり)
bn_20110813_200_40


あきばおーこく

PIG「Sinsation」(1995)

01.Serial Killer Thriller
02.Hamstrung On The Highway
03.Golgotha
04.The Sick
05.Painiac (Nothing Touches Me Mix)
06.Shell
07.Analgesia
08.Volcano
09.Hot Hole
10.Transceration

作詞 01、02、04〜06、08、09:RAYMOND G WATTS (Additional words:Anna Wildsmith)
作曲 01〜05、07〜10:RAYMOND G WATTS/06:RAYMOND G WATTS & Karl Hyde

発売日:1995/04/21 (日本盤)
品番:VICP-8146 (日本盤)


***

Raymond Wattsのプロジェクト「PIG」の4thアルバム。日本では先行シングル「PANIAC」の2ヶ月後にリリースされました。

シングルでも導入されていたインダストリアルロック+オーケストラサウンドによる、重たくも壮大さを感じさせるサウンドが全開となっており、レイモンドのドス黒いボーカルと相まって、機械的な雰囲気とゴス的なダークさが満ちたアルバムという印象があります。前作「The Swining」では軽快な疾走曲やラテン要素を取り入れた曲も目立っていましたが、本作でそちら寄りの曲調と言えるのは「Hamstrung On The Highway」や「Volcano」位で、全体的には重厚で攻撃的な色が強く出ているのではないかと。
また、BUCK-TICKのギタリスト:今井寿がゲスト参加している「Analgesia」は、黒いアンビエントとも言えそうな、浮遊感のあるトラックをバックに物悲しいピアノの旋律が映えるインストで、重苦しい本作の中の癒しポイント……にはならず、寧ろ荒廃した景色ばかりが浮かぶ、他とは違った意味で気が滅入ってくる楽曲となっています(褒めてます)。ラストのインスト「Transceration」も、荘厳なのですが荒涼感の方がより勝っているような。
そんな訳で、トータルで46分程とそこまで極端に長い訳では無いのに、個人的に聴き終わった後かなりグッタリ来るアルバムという位置になっていたりしますが、時折聴くと、この苦しさと言うかマゾい感じがハマってきたりするのです(笑) 入り易さで言えば、前作アルバムや彼が参加しているKMFDMの作品の方が向いているのかもしれませんが、こちらはこちらで突き詰めており非常にカッコ良いと思いますよ。

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オフィシャルサイト(試聴あり)

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