一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2012年09月

deadman「雨降りの向日葵」(2003)

01. 雨降りの悪い夢
02. faith head
03. 向日葵

全曲作詞:眞呼
全曲作曲:aie

発売日:2003/10/11
品番:dsds-004


***

1stアルバム「no alternative」の後にリリースされたシングル。3曲共アルバム未収録。
個人的な話になりますが、彼らの活動中唯一リアルタイムで手に取ったCDだったりします。出す音源出す音源すぐにプレミア化していたバンドという記憶がありますが、その中では結構流通量が多かったCDだったような。

以下各曲について。


01. 雨降りの悪い夢
イントロのカラッとしたギターが印象的な、deadman流? のポップナンバー。
シンプルな音作りですが、その事によってキャッチーでちょっと哀愁も感じる歌メロが映えており、コーラスを加え歌い上げるサビも耳に残る結果になっていると思います。歌詞に関しては、決して明るいとはいえない内容なのですが(寧ろ諦観めいたものも感じる)、却って曲調との対比が鮮やかになっている気もしますし、それが終盤の開けた大サビで感じる優しい印象に繋がっているのかなと。
これで初めてaie氏の曲に触れたということもあってか、今でも飛び抜けて印象深い1曲。

02. faith head
ザラザラしたギターと、コロコロと展開を変えるリズムをメインとしたオルタナ+プログレの要素を併せ持った(?)印象の楽曲。
疾走するサビパート(こちらも中々キャッチー)だけ抜き出すと、王道ギターロックといった趣もありますが、全体を聴くと一筋縄でいかない感じが残るというか。「遠くへ 遠くへ」と繰り返す辺りでは、ちょっとオリエンタルっぽい印象も受けます。

03. 向日葵
タイトルから連想される健康的な要素は何一つ無いと、イントロ数秒で思い知らされる(勿論わざとでしょうが)ダウナーなバラード。
何気にベースが動きまわる暗めのアレンジの中で、やはり朗々と歌い上げるボーカルが前に出ていますが、1曲目とは対照的に、こちらはネガティブな感情をより強調してくるような相乗効果的なモノを感じます。

***

三者三様といった感のあるこのシングル。個人的にはやはり1曲目のインパクトが大きいのですが、改めて聴くとno alternativeの流れもしっかり汲んでおり、今でも入門に適しているのかなと思ったりします。

雨降りの向日葵雨降りの向日葵
deadman

インディーズ・メーカー 2003-10-11
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deadman「no alternative」(2003)

01.intro
02.盲目の羽根と星を手に
03.苦悩の中の耐え難い存在
04.受刑者の日記
05.銀のパラソル
06.ドリスからの手紙
07.rem.
08.imp
09.lunch box
10.in media
11.circus
12.through the looking glass
13.quo vadis
14.蟻塚

作詞 02〜07、09〜14:眞呼
全曲作曲:aie
全曲編曲:deadman

発売日:2003/03/08
品番:DSRDA-0001

Member
Vocal:眞呼
Guitar:aie
Bass:Takamasa
Drums:Toki


***

2006年に活動を休止したdeadmanが2003年にリリースしたフルアルバム。現在the god and death stars、highfashionparalyzeで活動しているaieがギタリストとして在籍していました。
全14曲で1980円という、洋楽並みのコストパフォーマンスの良さも当時話題の一つになっていたような。

実のところかなり最近になって手に取ったアルバムなのですが、しっかりと楽曲を支えるリズム隊を下地に、ザラッとしながら乾いたギターが動きまわる音作りがメインとなっており、そこにV系歌唱を基本としつつ表現が多彩な眞呼のボーカルが存在感を示しているイメージを受けます。
聴く前にはもっと陰々滅々としたアルバム……という予想があったのですが、基本的にそのボーカルが立っており曲数の割りに飲み込みやすい印象、でも全体的に憂いのある雰囲気も感じたり。「ドリスからの手紙」のような切ないミディアムバラードや、軽快なシャッフルリズムが印象的な「in media」等もしっかり主張しています。
個人的に特に入ってきたのが、そのザラザラしたギターが前に出たハード寄りの「受刑者の日記」と「lunch box」。特に後者は反復される猟奇的なフレーズを吐き捨てるように歌いつつ、サビでは朗々と歌い上げる対比的なボーカルもあり、スリリングな1曲となっています。個人的に、「REDDISH COLLECTORS NO DEAD ARTIST」をリリースした辺りのMerry go roundを思い出したり(そう言えば、確か眞呼さんはメリゴのローディーをしていたような)。

私自身にレコーディング関係の知識がないので何とも言えないのですが、他所のレビューサイトさんでは録音状況があまり良くない事が軒並み指摘されている事は触れておいた方が良いのでしょうか。確かにヘヴィさを押し出したアレンジではないものの、個人的には極端に軽さは感じない……どころか、シンプルな音数でパンキッシュな面を持つ本作では寧ろ丁度良い塩梅にも思えるのですが、どうなんでしょう。
これを書いている時点では未聴ですが、活休後にミックスをし直し一部新録も行った2.0バージョンが2009年に出ているので、今から聴く人はそちらの方が入手し易いかと。私もその内聴き比べてみたいですが。

リリースされた時期を考えると、シーンのメインとは全く違った所を掘り込んだアルバムだったのかなとも思いますが、それ故変に時代を感じることもなく、内面から滲み出るような黒さとポップさを今も味わうことが出来るのではないでしょうか。

クローゼットチャイルド
ルーシーズポケット

こちらは2.0↓
no alternative 2.0(remix)no alternative 2.0(remix)
deadman

インディーズ・メーカー 2009-11-30
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オフィシャルサイト

Lacroix Despheres「天啓の瞳」(2011)

01.天啓の瞳
02.天啓の瞳 (Instrumental ver.)
03.天啓の瞳 (Orchestral ver.)

作詞・作曲:Sho

Members
Vocal:Sho
Soprano:Saya
Flute:Mizuki
Oboe:Satomi
Guitar:Pegeot
Guitar:Tenyu
Bass&Drum:Hiroaki

配布日:2011/12/03


***

2011年12月3日に高田馬場club Phaseで行われた主催イベントにて配布された、Lacroix DespheresのCD-R。
元々は、1stアルバム「Dernier Paradis act1」に「古の刻より舞い降りし者たち」として収録されていた曲を現メンバーで再録、タイトルを改めた形になっています。原曲ではギタリストとして参加していた博明が、こちらではベースとドラム担当となっているのがちょっと面白い。

オペラティックな男女ツインボーカルとツインギターによるクラシカル疾走曲という大本は維持している印象ですが、今回特に変化が感じられたのがもう一つのメイン要素である管楽器隊。細かいフレーズによるキメを幾つも作ることによって、楽曲の緩急が更に大きくなり、より華やかさを感じられるアレンジになっています。勿論クサいメロディーとの相性が悪い筈もなく。
また、(個人的にはマイナスポイントだとは思っていませんが)アルバムでは打ち込みだったリズムが生になった点でも迫力が増している部分があるかも知れません。
2,3曲目にはそれぞれ、カラオケバージョンとオーケストラパートのみを抜き出したバージョンが収録されていますが、この3トラック目単体だけでもメロが立っており、曲として結構成立しているように感じられるのは何気に凄いことなのでは。

後に当日のライブ映像を使ったPVをYoutubeに投稿したり、公式メルマガに登録すると無料ダウンロード出来る楽曲として、コーラスアレンジを微妙に変えたChoir verが配信されるなど、バンド側としても名刺代わりに使っていこうという意図が感じられるこの曲。個人的にも、原曲を切っ掛けにハマった経緯があるので、現時点でこのバンドへの取っ掛かりの1曲としては最適なのではないでしょうか。
そろそろ新譜のアナウンスも聞きたいですけどもね……。

tenkeinohitomi


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Oranges & Lemons・栗コーダーポップスオーケストラ「Tribute to あずまんが大王」(2002)

01. 空耳ケーキ
02. 風の色マーチ
03. 星のめがね
04. 胡桃鳴らす青空
05. どういうことかな(氷の十字路編)
06. 風の色マーチ(reprise)
07. moi moi
08. Weepin’rains
09. 朝焼け線路
10. Raspberry heaven

作詞 01〜05、07〜10:畑亜貴
作曲 01:伊藤真澄/02、03、05〜09:栗原正己/04、10:上野洋子
編曲 01〜03、07、09:栗原正己/04、05、10:上野洋子、06:Oranges & Lemons/08:伊藤真澄

Oranges & Lemons
vocal、accordion、boom wacker:上野洋子
vocal、glockenspiel:伊藤真澄

栗コーダポップスオーケストラ
recorder、pianica、mellophone、electric bass、boom wacker:栗原正己
recorder、soprano and slto saxphone、flute、clarinet、tambourine、boom wacker:川口義之
recorder、acoustic guitar、electric guitar、banjo、BS-2、boom wacker:近藤研二
recorder、tuba、trumpet、trombone、boom wacker:関島岳郎
xylophone、marinba、vibraphone、glockenspiel、conga、bongo、darabukka、boom wacker:三沢泉
acoustic piano、electric piano、pianica、accordion、toypiano、synthesizer:斉藤哲也
drums、toy & percussion、boom wacker:イトケン

桑野聖strings

発売日:2002/10/02
品番:LACA-5123


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好きとか嫌いとかはいい トマトを食べるんだ


あずまきよひこ原作の同名漫画をアニメ化した「あずまんが大王」にて、OPとED曲を担当した「Oranges & Lemons」と劇中BGMを担当した「栗コーダーポップスオーケストラ」による共作アルバム。ちよ父がこっちを見ているジャケットが印象的です。
本作は、主題歌のリアレンジ及びBGMのボーカルアレンジを中心に、リコーダーを中心としたアコースティックな音作りが前面に出ており、先に出ていたオリジナル主題歌シングルやサウンドトラック盤とはまた違った印象を受けるアルバムとなっています。

以下各曲について。


01. 空耳ケーキ
アニメOP曲のリアレンジバージョン。
電波ソングの系譜にも入れられそうな強烈なインパクトとキャッチーなメロディーを持つ原曲を、構成自体はあまり変えずアコースティックアレンジにしたらこうなったといった感触ですが、それが却ってフワフワしたボーカルやカオス極まりない歌詞が前に出る結果となり、柔らかい音作りながら妙な聴き心地を覚えます。実は原曲の方がポップスとしてはマイルドだったのではないかとも思えたり。
オリジナル未聴の方はそちらも是非。

02. 風の色マーチ
タイトル通り行進曲風の賑やかな楽曲。元々サントラでも複数のアレンジが存在し、アニメ本編でもよく使われていた覚えがあるので、作品のテーマ曲的な位置付けになるのでしょうか。
管楽器やピアニカを中心に、子供番組でも用いられそうな親しみやすさを持ちつつ切なさも感じるメロディーが前面に出ており、耳にスッと入ってくる印象。また原作や本編に触れた人には、別れを意識したような歌詞に感じる所があるかも知れません。そういう意味では、これをラストに持ってきても違和感は無いかも。

03. 星のめがね
軽やかに鳴るリズムや木琴をメインに笛とフニャフニャしたボーカルが乗る、穏やかなポップチューン。
メルヘンチックな印象の楽曲ですが、バックで断続的に鳴らされるポワーンとした音が、楽曲の浮世離れ感を更に加速させている気がします(何の楽器だろう…)。間奏で転調しほんのりクラシカルな色が付くのも好み。

04. 胡桃鳴らす青空
この曲だけBGMアレンジではなく、上野洋子作曲による新曲になります。
やはり穏やかなアレンジなのですが、若干バンドサウンド寄り、そして素直に浸らせないような意図が感じられるトリッキーな展開も持っており、ファンタジックなプログレ要素も強いのかな? とも。
とは言えのんびりした雰囲気のリコーダーや、サビでの可愛らしいメロディーのハモリも聴けるので、終わってみれば飲み込みやすい曲になっている感触です。

05. どういうことかな(氷の十字路編)
基本的にほんわかした作風の本作ですが、その中でどうにも異彩を放っているのがこれ。
同名のBGMを元にした曲なのですが、スローテンポである事とメインの旋律が守られている事以外は原曲ののんびりした雰囲気が取り去られており、微妙に左右に揺らされるギター、無感情なボーカル、病み病みな歌詞等によって、軽くホラーな空気すら感じるアレンジとなっています。後半では、叩きつけるようなピアノや暴走する管楽器も挿入され緩やかに崩壊していくイメージが。
まさかこの作品の関連CDで肝を冷やす事になるとは思わなかった、というのが初聴時の印象。次のトラックで一度仕切り直し的な構成になっているのも納得です。

06. 風の色マーチ(reprise)
2曲目のメロディーを使った6秒ほどのトラック。
アニメのアイキャッチをアカペラメインに再現したと言った方がしっくり来るかも。

07. moi moi
プラスチックのパイプを叩くようなポコポコしたイントロにおっとなっていると、ピアニカやバンドサウンドが加わり疾走しだす軽快なポップチューン。このイントロで使われているのがブームワッカーという楽器ですが(日本ではドレミパイプという名前で販売されているそう)、調べてみたら中々面白く……。
それはさて置き、賑やかな演奏とフィンランド語と日本語が交錯する言葉遊び的な歌を乗せたボーカルによって、とにかく楽しい雰囲気の楽曲になっており、サビの歌詞通りに変なリズムになったりと(!)色々ギミックも入れながら頭空っぽにして楽しめるのが素敵。
個人的には「風の色マーチ」と並んでツボです。

08. Weepin’rains
伊藤と上野が交互にメインボーカルを採る、落ち着いていながらやはりどこか浮世離れした雰囲気を持つバラード。
アコギ、チューバ、マリンバをメインにした優しいアレンジに、ちょっと哀愁のあるリコーダーと歌メロが乗った「星のめがね」と同系統なものを感じる小曲ですが、タイトルや歌詞も相まって更にしんみりした後味が残ります。
サントラの方には、これに限らずクサめのBGMが結構入っていたり。

09. 朝焼け線路
メイン曲ではラストということもあってか、前曲に続き切ないメロディーを前面に出した、訥々と進行するバラードとなっており、歌詞も「風の色マーチ」と若干リンクしているような。
結局終盤にこういう曲持って来られるとグッと来る辺りに、何処まで行っても自分はポップス脳なのだと思わせられます。終盤は各パートが少しずつ前に出た大団円的な展開に。

10. Raspberry heaven
こちらはED曲のリアレンジバージョン。
原曲は温かみのあるメロディーが映えるポップチューンですが、こちらは上野の多重アカペラに伊藤のボーカルを乗せ、サビのパートをメインに1分半ほどの尺で再構築したようなアレンジになっており、どちらかと言えば上野のソロに近い雰囲気でしょうか。
原曲を聴いている人には面白いと思うのですが、これ単体で聴くとちょっと唐突感があるかもしれません。

***

基本ホワホワしつつちょっと切なさ、そして不思議さも感じるアルバムですが、4,5曲目のように若干原作の雰囲気を離れたような楽曲もあったりするので、原作は知らないけれど参加ミュージシャンに興味はある、けれどいきなり曲数の多いサントラは……という人には、ある意味此方の方が入りやすいかも知れません(尺も30分と短めですし)。

取り敢えず私は改めてアニメを見返したくなりました(笑)

Tribute to あずまんが大王Tribute to あずまんが大王
TVサントラ Oranges&Lemones

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Tribute to 『あずまんが大王』 - ベアリアス・アーティスト

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