一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

2014年11月

Kagrra『煌』(2002)

01. 輪廻黙示録
02. 〜夢イズル地〜
03. 西遊記
04. 傀儡の躁鬱
05. 悲文
06. 罪ト罰

全曲作詞:一志
全曲作曲:神楽

発売日:2002/05/01
品番:PSTA-0020


***

2002年にリリースされた、Kagrra4枚目のミニアルバム。
前身バンドの段階から、和風な楽曲傾向は既に確立されていたバンドだったと思いますが、本作辺りから音質面でも後のメジャーデビュー時と遜色なくなってきた印象があります。

「輪廻黙示録」は、サビこそ一志の高音ボーカルによる儚げなメロディーですが、全体には疾走アレンジによる明るめな印象が残る楽曲。
先行シングルタイトル曲だった「〜夢イズル地〜」も、伸びやかな疾走ナンバー。基本的には、Aメロとサビが繰り返されるシンプルな構成なのですが、東洋的な印象を受けるそのサビメロの開放感が非常に心地良く、バンドの濃さとシングルとしてのキャッチーさを併せ持つ、本作の中でも頭一つ抜けた印象を与えられる楽曲と思っています。
シャッフルリズムにおっと思わせられる、カラッとしたポップチューン「西遊記」(実際の表記は左右反転しています)、一志さんとしては珍しく低音ボーカルで終始展開する、ダウナーな「傀儡の躁鬱」と、中盤2曲は振れ幅の大きい構成となっている印象。「〜夢イズル地〜」のメロディーがオリエンタル寄りなのは、次が「西遊記」だったからなのかしらと今更ながら思ったり。
ギターと笛風のシンセによる物悲しい旋律が反復されるバラード「悲文」は、他曲に比べ派手ではないものの、三拍子のリズム取りやその哀愁メロにツボを押されてしまう楽曲。
ラストの「罪と罰」は、サビでの疾走パートと、前後の浮遊感ある穏やかなアレンジの対比が印象的。こちらもシングルで切られておかしくない即効性を持っているのではないでしょうか。ラストのサビ後、コーラスを交えたアウトロが若干長くとられており、余韻に浸れるような構成になっているのが嬉しい。

「〜夢イズル地〜」がかなりの存在感を持っており、それ故中盤が若干印象薄くなるきらいがあるものの、ミニアルバムという尺の中で、バンドの色と(当時の)新たな曲幅を無理なく聴かせてくれる作品だと思っています。


2005年再発盤(試聴あり)
煌
Kagrra

PS COMPANY 2005-11-23
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emmuree『【acute sense】』(2012)

01. S.E. 〜絶望を奏でる古時計、灰色のピアノ〜
02. an「acute」
03. 真実の雨
04. 棘と罰
05. 月に溺れる蜜蜂
06. 絵空事の色彩
07. story in heaven
08. 葬列とxxx
09. 頽廃ロォマンス
10. 白い花
11. 手紙
12. 楽園
13. 慈愛の羽根
14. 四月ノ雨ト…散ル…華ニ…
15. ROSES -骨と薔薇と闇と光-
16. ラブレター

作詞 02〜16:想
作曲 02、04、09〜11、13、14:想/03、05〜08、12、15:ハルカ/16:emmuree

Members
Vocal、Art Work & Design:想
Guitar:ハルカ
Bass、Art Work & Design:朋
Drums:ゆき

発売日:2012/09/17
品番:HNS-012


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2012年にリリースされた、アンミュレのライブアルバム。同年6月17日にSHIBUYA O-WESTで行われたワンマンライブの模様を収録しています。これを書いている時点では、ライブ会場とオフィシャル通販限定で取り扱っています。

本作の5ヶ月前にベスト盤である「e'【acute】」が発売されていましたが、そちらとの重複は「an「acute」」、「葬列と×××」の2曲のみ。リリース時期が近かったこともあり、なるべく被らないようにしたのかもしれません。SE含め16曲74分と、CDの容量ギリギリなボリュームとなっています(ベスト盤に関しては必ずしもそう思わないのに、ライブ作品が量的に充実していると嬉しくなってしまう派)。

当日のセットリスト全曲収録ではないそうですが、ライブでの濃い雰囲気が「音」だけながら(だからこそ?)伝わる流れになっている印象。音源よりもキリキリ具合を増した、空間に漂うようなギターとそれを支えるリズム隊の食い合せの良さを再確認できたり、コーラスの掛け合いが所によってグチャグチャしていることに気付いたりと(笑)、荒々しさ・生々しさがが味わえるのもこの手の作品の醍醐味でしょうか。
個人的には、ベスト盤に入らなかった「手紙」が現在のモードで聴けたこと、作詞者の(比較的)パーソナルな部分が出たと思われるバラード「白い花」の歌い方などにグッとくるものがありました。重かったりマニアックだったりと評される向きもあるバンドですが、根っこの部分では、「うた」を非常に大事にしているバンドだと思うのですよ。

ベスト盤の感想で「既存曲を使ってオリジナルを作ってみたという印象」という言葉を使ったのですが、人によってはこちらの方がベストっぽいと感じるのかもしれません(実際、発売当時そういう感想・レビューはよく目にしました)。
ベスト盤やこの後の3rdアルバムで知った人も、高確率でズブズブ入ってしまうだろう充実したアルバムだと思っています。


acutesence


オフィシャルサイト

MiD『contrast』(2011)

01.平行線上のビブラート
02.混沌が故のコントラスト
03.微熱の檻
04.最適な誤差
05.光源

全曲作詞:浜津広史
作曲 01、04:ハマツヨシフミ/02、03、05:浜津広史

Members
Vocal、Guitar、Programming:浜津広史
Fretless Bass、Programming:ハマツヨシフミ

発売日:2011/11/11


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浜津広史、ハマツヨシフミ兄弟によるユニット:MiDが2011年にリリースしたミニアルバム(CD-R仕様)。
元々のユニット名はquiet actingだったのですが、本作リリース時はMiDと改名していました。現在は再び名義が戻っているようですね。

当時、Japanぽい音を出すバンドを探していた際に知ったユニットなのですが、1曲目の「平行線上のビブラート」から、ブヨブヨ動き回るベース、乾いたドラム、東洋的な怪しいメロディーのシンセなど、Japan(もっと言うと『Tin Drum』の時期)を彷彿とさせる音作りにノックアウトされてしまいました。2010年代にこのような音が聴けるとは思っていなかったのですが、オマージュ的な意識があったりしたのでしょうか。

2曲目以降に関しては、東洋的なメロディーは控えめになりながら、それでも動き回るベースと乾いた打ち込みの組み合わせが心地よい楽曲が続きます。個人的には、80年代っぽさを感じる無機的なシンセと急ぎ気味のリズムが気持良い「混沌が故のコントラスト」、シンセのミニマルな反復が耳に残る「光源」が好みに入りました。
「最適な誤差」ではJake(cloudchair、元グニュウツール〜Super Soul Sonics)がゲストギタリストとして参加していますが、こちらが一番歌モノ寄りと思われる温かいミディアムポップチューンとなっています。

予想していたものとは若干異なったものの、結果的にツボを突かれた作品。
現在CDの在庫は僅かのようですが、オフィシャルのYouTubeチャンネルにてフルでアップされているされているので、視聴自体は容易にできたりします。
soundcloudで最近の曲を試聴すると、ノイジーなアレンジや即興演奏寄りのものがあったりするので、そちらも気になったり。今度はフルアルバムサイズでも聴いてみたいですね。


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