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AMADEUS「未完の五線譜と暗闇の迷宮」(2000)

01.前狂言
02.OVERTURE
03.飛ばない翼
04.人生は一行のボードレールにしかない
05.ルートヴィヒの肖像
06.月光 L.van Beethoven,Op.27-2より
07.告白
08.空漠とわたし
09.TELL ME TRUTH
10.霞
11.In The Mist
12.虚像の神
13.いまはただ静かにあなたのもとに…
14.(ボーナストラック)

全曲作詞・作曲:HIRON



***


AFTER IMAGEのメンバーを中心に結成された、男声ボーカル:SEIJI、女声ボーカル:NENE、ベース:MIYU、キーボード:HIRONによるバンド「AMADEUS」のアルバム。
1998年にリリースされたCD「ルートヴィヒの肖像」、「霞」の2枚をまとめ、ボーナストラックを1曲追加した仕様になっています(01〜09が「ルートヴィヒ〜」、10〜13が「霞」収録曲)。
基本ギターレス・キーボードメインのサウンドの為、AFTER IMAGE時代より激しさは薄れたものの、やり過ぎなまでのメロディアスっぷりは寧ろパワーアップしている印象があります。

以下各曲について。

01.前狂言
不気味なメロディーをバックにネチネチとした語りが入るトラック。
好き嫌いは分かれるのでしょうが雰囲気は割と好み。

02.OVERTURE
クラシカルなメロディーが印象的なインスト(オペラ座の怪人でしょうか)。
ぶっちゃけこれが1曲目でも良い気がw
変拍子がある訳でもないのですが、キーボードの音を聴くと何となくプログレっぽいなと思ってしまいます。
ギターレスでも結構好きですね、こういうのは。
バンドの宣伝文句にある「シネマロック」を一番表している曲かも知れません。

03.飛ばない翼
2曲目にボーカルを入れたといった感じの曲ですが(バックも同じフレーズがちらほら) 、こちらもキーボードが目立ってますね。
自分クラシックは全然分からないのですが、この手の大仰なメロディーはたまらないですね。
もうちょっと曲の尺が長くても良かった気もしますけれど。

04.人生は一行のボードレールにしかない
雷鳴等の音をバックにした語り。
微妙に棒読みなのが気になるw

05.ルートヴィヒの肖像
そしてこれも語りメインの曲。
ちょw流石に多いですってwww
こういうのは嫌いじゃないのですが、間にもう1曲ボーカル曲を挟んだりした方が良いと思うのです。
女声ボーカルも「ルートヴィヒの肖像」の方ではあまり目立っていないですし、その辺り「ルートヴィヒ〜」はちょっとバランスの変なアルバムかも知れません。
因みにこちらの語りは感情の起伏が激しめです。

06.月光(L.van Beethoven,Op.27-2より)
ベートーベンの月光に歌詞をつけアレンジしたバラード。
こういう小曲をさらっと入れるのも良いですね。
この曲を先の語りトラックの間に入れると良かったのかもしれません。

07.告白
イントロのドラマティックなメロディーからツボに嵌った、クラシカルポップな曲。
何ていうかアレだ、自分シンセが弾くクサいメロディーが好きなんですよw
サビのコーラス隊や間奏のフレーズも一々ツボです。

08.空漠とわたし
ここからバラード3連発ですよ。
これはAFTER IMAGEの「MEMORIES」の方向を推し進めたようなドラマティックな楽曲。
自分は視聴で抱いたAMADEUSの印象がアフターイメージに近かったせいかこういう曲は微妙かな、と思ったのですが、何度か聴いている内にこのメロが気に入ってしまいました。
…というかこのクサさはほぼ歌謡曲ですよw

09.TELL ME TRUTH
こちらは穏やかでいかにもエンディング、といった風です。
割と短い曲の多い「ルートヴィヒ〜」でしたが、これは7分超えの大作。
間奏で盛り上がるストリングス音といい、この界隈でここまで正統派で真面目なバラードをやるバンドもあまり居ないんじゃないかという気もします。

10.霞
ここからはちゃんとツインボーカルしてますよ。
こちらはシングルのタイトル曲ですが…もうね、クサいの一言に尽きるw
歌メロといいピアノの旋律といい、8曲目の「ほぼ歌謡曲」どころじゃない、完全に昭和歌謡オペラですよこれは。
間に入る語りも、いかにもって感じでニヤニヤしてしまいます。
10分近い曲ですが、この長さが必要だと思わせるドラマティックな曲です。

11.In The Mist
短めの語りが入ったトラック。
「飛ばない翼」でも思ったのですが…HIRONは「幾億万」という言葉が好きなんでしょうかw

12.虚像の神
この曲のみゲストギターが参加しています。
AFTER IMAGE時代を思わせるクラシカルな疾走曲で「AFTER IMAGE」を更に濃くしたような感じです。
ツインボーカルで掛け合いするサビやギターソロとピアノソロがまたクサくて最高。
アルバム中最も好きな曲ですが、AFTER IMAGEから入った人もこの曲が一番気に入るかもしれません。
というか「霞」収録曲、ほぼ2曲なのに濃すぎw

13.いまはただ静かにあなたのもとに…
ピアノとNENEのボーカルのみで進行する短めのバラード。
静かでキレイなメロディーがアルバムの〆に相応しい感じがします。

14.(ボーナストラック)
13曲目が終わるとすぐに始まります。
これは「アヴェ・マリア」ですね。
前曲と同じくNENEとピアノがメインの小曲で、いかにもボーナストラックといった感じでしょうか。


***


ちょっと前半部のバランスが変に思えたり、他にも粗は探せばあるのでしょうが、それを補って余りあるメロディアスさを持ったアルバムだと思いました。
特に「霞」収録の10、12はここまでやるか、といった感じで聴き終わった後クサくて鼻がグッタリですよwこういうのが好きなV系ヲタで良かったと言うべきなのか…。
AFTER IMAGEの激しさを期待する人はあれ? と思うかもしれませんが、クラシカルでメロディアスなサウンドが好きな人には、こういうちょっと変わったバンドが居たんですよという意味でお勧めしたいCDです。
それにしてもメイン作曲者のHIRONはもう音楽活動をしていないのかなぁ…。

未完の五線譜と暗闇の迷宮未完の五線譜と暗闇の迷宮
AMADEUS

インディペンデントレーベル 2000-06-13
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