V.A.「XIII FILE Vol.1」(2010)

01.chaos system / FLASH BACK
02.Schwein / ugly
03.SaTaN / The Revenge of Toys
04.弾丸少女 / 幻影花
05.カル・ヴァリ / シュガーノイズ
06.パニックちゃんねる / EMERALD
07.L'eprica / Sephirothic tree
08.朱鷺 / 「眠れる森・・・」
09.DISH / ハニィドンクライ
10.CROSS BREED / SHADOW
11.BALLAD. / サイネリア
12.ElDorado / ノスタルジア
13.Deflina Ma'riage / True

発売日:2010/02/17
品番:TMD-003


***

ヴィジュアル系レーベル「THIRTEEN MUSIC」がリリースされたオムニバスアルバム。レーベル所属バンドはchaos system、弾丸少女、CROSS BREED(と解散済みのDeflina Ma'riage)ですが、他にも結構気になる面子が多かったので手を出してみました。結構前に解散したElDoradoの曲も何故か入っていたり。


01.chaos system / FLASH BACK
作詞:狂華、TOMO 作曲・編曲:Hi-Ball

元Aliene Ma'riage、元Deflina Ma'riageの狂華、元DEFLOWER、同じく元Deflina Ma'riageのTOMOが在籍している、かつての所属レーベルだったKEY PARTYのバンドが好きだった人はちょっと気になるかも知れないバンド。このバンド自体は結構前から活動していましたが、現在オリジナルメンバーは狂華だけかな? 一時期はツインボーカルだった時期もありましたが…。デフリナ結成のため活動が止まっていましたが今年になって活動を再開しました。
楽曲の方ですが、狂華の凶暴なシャウトと打ち込みも交えたザクザクとした攻撃的なサウンドでもって爆走しています。サビでは少しメロディアスに歌っていますが、左右でシャウトしまくりなのであんまり落ち着いた感じはしません。アリエネの頃のキ○ガイじみたシャウトに比べると、随分まとも(?)になったなぁとも思いますし、この手のラウド方面のバンドは現在飽和状態な気もしますが、変にキャッチーに持っていかないからか、ここまでやりきられるとやっぱり気持ち良いですね。でもこの曲、クレジット見るとエンジニアによる作曲になってるんですが…。

オフィシャルサイト

02.Schwein / ugly
作詞:ヒナ 作曲:耶要 編曲:Schwein

ボーカルのヒナはサリーやhurtsで活動していた人ですね。オフィシャルサイトを見ると同名の曲が配布シングルとして出ていますが、その音源をそのまま使っているのかな? こちらもchaos system同様、攻撃的なサウンドで疾走しており、耽美さを排してひたすら激しさを追求している印象。歌詞が載ってないのですが、聴いてみる限り、かなり直接的に下品な言葉がひっきり無しに出てきてますし…w 間奏ではギターが高速でピロピロしたりもしていますよ。

オフィシャルサイト

03.SaTaN / The Revenge of Toys
作詞・作曲:Shinya & HI-NA

一時期マイスペを延々と聴いていたりと気になっていたバンド。サイトの試聴のイメージ通り、ダミ声ボーカルにゴリゴリした激しめのバック、でもメロディーは人懐っこくてユーモラス…これは面白いw ちょっとチープなデジタル音もいい味を出しています。一言で言うなら邪悪なディズ○ーでしょうか。この後に出たアルバムにも入っているみたいですね。

オフィシャルサイト(NEWSページからCD視聴ができる販売サイトへのリンクあり)
MySpace

04.弾丸少女 / 幻影花
作詞・作曲:弾丸少女 編曲:TOMO、弾丸少女

NOi'X、モル・ノヲド等で活動してきた詩那を中心としたバンド。ミニアルバム「幻影花」からの収録になりますが、ちょっとダーク寄りのパンクチューンと、上に挙げた2つのバンド中間のような曲を持ってきた感じが。ベタッとしたボーカルがちょっと好みを分けそうですが、割と聴きやすくはあるかな? 今まで出た2枚のCDでは、曲タイトルを変えてNOi'Xのセルフカバーもやっているので興味のある人はどうぞ。

オフィシャルサイト
itadaki(試聴あり)

05.カル・ヴァリ / シュガーノイズ
作詞・作曲:シネマ 編曲:Kalvary

初聴きのバンド。沈んだダークな展開から、サビでは切ないメロディーを歌い上げるミディアムポップナンバーになっており、ピアノの音がその切なさを一層かき立てているように感じます。オフィシャルで他の曲も一通り視聴してみましたが、そちらはもっとアッパーな曲も多く、キラキラしたシンセを前面に出しているみたいですね。ポップなV系バンドが好きな人は気に入りそうです。

オフィシャルサイト(試聴あり)

06.パニックちゃんねる / EMERALD
作詞:MEGURU 作曲・編曲:パニックちゃんねる

名前だけは6、7年位前から知っていましたが、音を聴くのは初めてのバンド。名前と活動期間からして、王道オサレ系バンドなのかなと勝手に思っていたのですが、コッテコテなルックスにびっくり。楽曲の方もそれに違わぬ、ギターと薄く乗るシンセで引っ張るちょっとダークなメロディアス疾走曲と、これまたヴィジュアル系の王道。正直名前で敬遠していた部分があったのですが…ベタといえばベタな曲調ですが普通に好きです、これ。
オフィシャル見たら、コテ方面の時は「パニックちゃんねる」、オサレ寄りな時は「PANIC☆ch」と名義を分けているみたいですね。しかし字面からのイメージって怖いなぁ…かつてのダーク系バンド「Madeth gray'll」を「までぃす☆ぐれいる」と表記するだけで随分と…ほら、ねぇ?w

オフィシャルサイト(試聴あり)

07.L'eprica / Sephirothic tree
作詞:raya 作曲・編曲:L'eprica

2ndシングルからの収録。
他サイトのレビューを見て気になっていたバンドだったのですが…やられました。浮遊感のある冷たいシンセをイントロにゆっくりと展開し、サビで一気に歌い上がるバラードなのですが、予想以上のスケールの大きさとダークさを持って迫ってくる感じがたまりません。艶のあるボーカルも曲にバッチリ合っていますし、本当に何故こんなバンドのHPがまだふりーぺなのさとw
確かにこれは話題に登るのが分かります。個人的に本オムニバスの中では一番の収穫でした。

オフィシャルサイト
MySpace

08.朱鷺 / 「眠れる森・・・」
作詞・作曲:吏 編曲:朱鷺

こちらもL'epricaと似た経緯で音を聴いてみたかったバンド。フワフワと漂うようなギターの音が印象的な、薄暗い(?)印象を与えられるミディアムナンバー。ボーカルの方は逆にちょっとヘナッとし過ぎというか、もうちょっと力強く歌っても良いような気もしますが、これが狙いなのかも知れませんし…うーんw 全体にはシンプルな音ながら心地良く包み込まれる曲になっていると思います。

オフィシャルサイト
MySpace

09.DISH / ハニィドンクライ
作詞:渋谷ヒロフミ 作曲:DISH

ギターボーカルとベースによる二人組バンド。曲だけ聴いたらV系とは思う人は少ないのではないかと思われる、グシャッとした轟音ギターが前に出たロックナンバーになっておりちょっと驚きました。ボーカルも高音でがなり立てるスタイルですが、メロディーは良い意味で普遍的なので、V系好きな人が敢えて手を出すかは別として、曲調含めてバンドサウンドが好きなら結構取っ付き易い気がします。

オフィシャルサイト
MySpace
YouTube(公式)


10.Cross Breed / SHADOW
作詞:透雅 作曲:隆聖 編曲:Hi-Ball

ラウドになりきらない適度にやかましく鳴るギターが前に出るパートと、抑えめなアレンジのパートのバランスがいい塩梅な印象の、切ないメロディーの疾走曲。最初はラウド系っぽく展開するかと思いましたが、前述したように押し引きが丁度いい感じなので、ヴィジュアル系らしい湿っぽいメロディーもちゃんと映えているのかなと。
しかしついこの間、ボーカル、ギター、ベースがごっそり脱退してしまったそうで…最近そんな展開が多いなあ。

オフィシャルサイト

11.BALLAD. / サイネリア
作詞:一葵 作曲・編曲:BALLAD.

ここにきてやっと今っぽいバンドが!w ラウドでアッパーなアレンジにサビはあくまでメロディアス。自分は特に好きも嫌いもなくといった感じですが、何気にここまでそういうバンドが居なかったので、やっぱりこういうのも必要ですよね、という事で。ただこちらは今年9月にバンドが解散してしまいました。オフィシャル見ると、この曲が前身バンド時代を含めて最初の一般流通音源だったようですし、まだこれからという時期だった筈ですが…まあ、色々難しいですよね。

オフィシャルサイト
MySpace

12.ElDorado / ノスタルジア
作詞・作曲:瞬介

ここから2曲は解散済みバンドの音源ですが、1組目は2004年に解散したElDorado(後にEllDoradoに改名)。ミニアルバム「SILENCE」からの収録で合ってるかな?
細いギターで引っ張る疾走感、切ないメロディー、こちらも細いですが歌い上げるタイプのボーカルと、ヴィジュアル系の疾走曲のお手本のような曲ですが、だからこそツボをグイグイ押されるのです。とにかく最初から最後まで勢いが落ちない名曲だと思います。バックのシンセも透明感を演出していて顔がニヤける…w 前のBALLAD.が今のスタンダードなら、こちらは2000年代前半のメロディアスV系の王道でしょうか。ですが何故ここにきてこのバンドが収録されたんだろう…次のデフリナは13music所属だったから分かるのですが。
また、このオムニバスが出た翌月、作曲者でベーシストだった瞬介が逝去していたと知った時は驚きました。2010年はV系界隈で訃報や病気による休養が相次いでアナウンスされた年だった気がします。

13.Deflina Ma'riage / True
作詞:狂華 作曲・編曲:Deflina Ma'riage

そしてこちらが1曲目のchaos systemから狂華、TOMOが在籍していたバンド。こちらはミニアルバム「MARY」に収録曲されていた曲の新録バージョンになります。
元々このバンドが90年代後半〜2001年位までV系レーベル「KEY PARTY」で活動していたバンドのメンバーによって(そしてそれぞれのバンド名を混ぜて)結成されたバンドなので、どうしても当時の曲調を期待してしまうのですが、全体的には最近のインディーズV系的な音を出していた印象がありました(過去のバンドのセルフカバーもやってはいましたが)。
しかしこの曲に関しては、2000年前後っぽさのあるポップなメロディーが前に出して疾走する、デフリナの中でもかなり明るい曲調に振り切った曲となっています。ただ狂華さんのボーカルはノーマル歌唱が微妙なので(苦笑)、それがまともに表れるこの曲を敢えて新録しなくても…とも思ったり。まあゴリゴリ方面の曲持ってくるとchaos systemと被っちゃいそうですし、差別化を図るという意味では良かったかもしれません。「MARY」収録バージョンとの違いとしては、シャウトコーラスが無くなっていたり、メインのギターソロがアコギになるなど、少しシンプルなアレンジになった印象です。

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個人的にはかなり当たり、特にSaTaN、L'eprica、DISH辺りが好みでした(後ギャップに驚いた意味でパニックちゃんねる)。上でも貼っているように、今はMySpaceやYouTubeなど、こちらからいくらでも視聴できる環境が出来ているので、こういう新規発見的なオムニバスの意義は段々薄れていくのかもしれませんが、私みたいに古い人間は、CDという形で手に取りたかったりする訳で…w 気になるバンドが幾つか入っている人は試しにいかがでしょうか。

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