一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

タグ:ze零ro

ze零ro「Material」(2004)

01.M's Venus
02.one's fate
03.True Dream

作詞 01:勇飛/02:yura/03:朱李
作曲 01:勇飛/02:yura、勇飛/03:朱李
全曲編曲:ze零ro

発売日:2004/07/21
品番:S.D.R-061


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結果的に最後のリリースとなった、ze零roの3rdシングル。この後ギタリストのyuraが脱退、4人で活動を続けましたが2005年2月に解散となりました。このシングルではソフヴィ方面のアプローチに進んでいるような印象を受けたのですが、当時の受け取り方はどうだったんでしょう。

以下各曲について。


01.M's Venus
切ないピアノのフレーズが印象的なミディアムバラード。ハイトーンボーカルも映えていますが、メロディーには歌謡曲の匂いが強くすると言うか、透明感のある音作りなのに湿っぽい雰囲気が感じられるのが面白い。シングルのリリースは7月でしたが、気分的には丁度これを書いている秋真っ盛りに合いそうな楽曲という気がします。

02.one's fate
クリーンに刻まれるギターと薄くかかったシンセをバックに歌い上げる、ザ・ソフビ! といった感のあるポップチューン。2004年という時期を考えると、既にこういう曲をやるバンドは少なくなってきたと思うのですが、この少し切なさを含みつつ流れる様なメロディーは、この手のバンドを求める人にはたまらないのではないでしょうか。

03.True Dream
こちらも2曲目の流れを組む、シンセとギターで引っ張る曲なのですが、その明るい曲調に初聴時はちょっと面食らった覚えさえある、スコンと突き抜けたような爽やかなメロディーが気持ち良い疾走チューン。歌詞の方もえらくポジティブと言うか青春してるというか……青春ソフビ?w 1stシングルにもこちら方面の曲はありましたが、本作は1曲1曲の色がある程度まとまってきたのか、あちら程唐突感は感じませんでした。個人的に、健康的な雰囲気がちょっと眩しすぎる所もありますが、それを上回るメロディの力を感じられる曲になっているのではないかと。
こうして聴くと1→2→3とどんどん明るくなっているんですね。

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当時のレビューサイトでは、この青春要素を汲んだ流れにあまり良い評価が無かった覚えがありますが、音源を小出しにしていると、その都度雰囲気がガラっと変わっているように見られる可能性が……という部分が出てしまったのかなぁと何となく思ったりします(まんま自分へのブーメランですけれど)。
ラスト作ながら、3曲の中でバリエーションを持たせつつ方向性はまとまっている印象なので、ヴィジュアル系で普遍的な歌モノをガッツリ聴いてみたい、という人には今でもアピール出来るシングルになっているのではないでしょうか。

material


ピュアサウンド
駿河屋

ze零ro「Judgement」(2004)

01.Judgement

作詞・作曲:朱李
編曲:ze零ro

配布開始日:2004/01/02
品番:zero-000


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ライカエジソン限定で配布されたze零roの1曲入りシングル。バンドロゴはもとより、「 無  配 」の文字がデカデカとデザインされたジャケットが潔いですw

その収録曲「Judgement」は、ジャキジャキしたギターとエフェクトのかかったシャウトでサビまで押し通す、所謂暴れ曲的な位置付けと思われるナンバーとなっています。シャウト部は英詩ですが、意識しても聴き取れるかどうか…w そしてサビに入ると一気にメロディアスに、とこの辺はやはり王道でしょうか。ボーカルのいづみは朗々と歌い上げるのを得意としている印象がありますが、この曲では前述のシャウトをはじめ、ちょっとがなり気味にしてみたり、その後ファルセットに移行、そしてすぐシャウトしたりと1曲の中で幅広くやろうとしているのも感じますね。
個人的に、サビメロがあまり好きも嫌いもなく……だった事もあり、この曲自体のインパクトはあまり強い訳ではないのですが、配布モノという事で一曲の中でバンドの色を詰め込んでみたのかな? と今聴き返してみて思ったり。

持ち曲に対するCD音源化曲の割合があまり多くない事もあり、他のシングル等で興味を持った人は手を出して損は無いのではないでしょうか。中古に出ていれば基本安いと思いますし。

judgement


ピュアサウンド

ze零ro「零戦開花」(2003)

01.夢幻
02.サツリク
03.永遠のパズル

作詞 01、03:勇飛/02:ze零ro
作曲 01、02:朱李/03:勇飛
全曲編曲:ze零ro

発売日:2003/02/21(1stプレス)、2003/03/21(2ndプレス)
品番:S.D.R-041(1stプレス)、S.D.R-044(2ndプレス)


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いづみ(ボーカル)、勇飛(ドラム)、朱李(ギター)、yuri(ギター)、蒼(ベース)によるバンド「ze零ro(ゼロ)」の1stシングル。単独音源はシングル3枚のみでしたが、デモテープやオムニバス収録の楽曲を合わせると、そこそこ世に出た曲は多いみたいですね。オサレ系が台頭する中、仙台から期待の正統派メロディアスバンドが! みたいな扱いを、当時のレビューサイトで見かけた気もしますがどうだったかな…。

以下各曲について。


01.夢幻
スローテンポな出だしから、徐々に盛り上がって疾走し始めるメロディアスナンバー。どこを切っても切ない歌メロ、全編に亘って鳴っている透明感のあるシンセ、ちょっとネチッこい声質で歌い上げるボーカルと、あぁ確かに王道サウンドだわと思わせられる楽曲でした。時折ツインギターのハモリやシンセによる、クラシカルなメロディーが挿入されるのもツボなのですが、7分半超えというボリュームによって、少々ダレてくる人も居るかも知れません(個人的にも、もう少しコンパクトに出来たんじゃないかな…と思ったりしますが)。
そんな所もありつつ、何だかんだで好みに入っている曲ではあります。今のバンドがこういう曲やると、もっとシンセを前面に出して、シンフォニックメタル寄りのアレンジにするのかなぁ…と今回改めて聴くと思ったりも。

02.サツリク
こちらはこちらで如何にもと言った感のある、ハードなツタツタナンバー。早口で捲し立てるボーカルも印象的ですが、シャウトがエフェクトをかけたギャーウギャーウ!ではなく、現在主流のヴォイヴォイ!になっているのが、V系的表現のテンプレが変遷する様を感じられると言うか…w サビに入ると一気にメロディアスになるのも、この手の王道といった印象です。

03.永遠のパズル
前2曲からの流れをガラっと変えるような、陽性のパワー溢れるアップテンポのポップナンバー。キラキラとしたシンセが、1曲目とはまた違った形で音作りに貢献しており、潔いまでに明るく突き抜けた楽曲となっています。
私自身は3rdシングルの方を先に聴いており、この手の曲が寧ろメインになっているのを知っていたのもあってか、これはこれで好きなのですが、当時始めて聴いた人には、ちょっとバンドの方向性を分からなくさせてしまう恐れもあったかもしれません。
ある意味、キラキラした同期が入るのが当たり前になった、今のバンギャルさんの方がすんなり聴けるのかなとも。

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3曲共違う方向を向いているので、バラエティに富んでいると見るか、バンドの顔が見えにくいと取るかで印象が異なってくるかもしれないシングル。バンド側も、時代の流れの中試行錯誤していたのかなという意味で面白く聴けるかもしれません。01、03とタイプは違えどメロディセンスは大いに感じるので、当時のそういったバンドを遡ってみたいという人の琴線にも触れてくるのではないでしょうか。

零戦開花

ピュアサウンド
駿河屋

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