Eliphas Levi「リデルの赤い書物」(1998)

01.第七の悲劇
02.赤い迷宮
03.マロリー夫人の秘やかな欲望
04.rebirth
05.時計の傷跡
06.懺悔の朝に…
07.美しきローゼの十字架

作詞 02、04〜07:Kei/03:Eliphas Levi
作曲 01、02、06、07:Shuri/03〜05:Camus
編曲 01:Shuri、Camus/02〜07:Eliphas Levi


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ボーカル:Kei、ギター・シンセ:Shuri、ベース:Camus、ドラム:鏡花によるバンド、「Eliphas Levi(エリファス・レヴィ)」の1stミニアルバム。
当時インディーズヴィジュアル界隈で有名だったレーベルの一つ、KEY PARTY所属のバンドでした。
そのヴィジュアルとシンセを多く使ったクラシカルでダーク雰囲気の楽曲は、MALICE MIZERの影響が強いのだろうなぁ、といった印象ですが、逆にここまで直系のフォロワーもあまりいない気もします。

以下各曲について。

01.第七の悲劇
シンセメインのダークで耽美な印象のインスト。ちょっとした語りも入っています。オープニングの雰囲気としては相応しいのではないのでしょうか。

02.赤い迷宮
ここからが実質1曲目になります。クラシカルな音色のシンセが印象的な激し目の楽曲。そんなにテンポが速い印象はありませんがドラムはツタツタしています。
正直上手いとは言えないボーカルがかなり好みを分けそうですが(それ言ってしまうとこのCD全部そうなのですが)、私は結構好き。尺が2分弱とちょっと短め。

03.マロリー夫人の秘やかな欲望
こちらもシンセがダークな雰囲気を出しているクラシカルお耽美寄りの曲。途中のナルシスティックな語りが受け付けられるかどうかでこの曲の評価は決まるかもしれません。私? 好物ですが何か?

04.rebirth
アルバムの中では最も激しい曲調。加工された声による語りがいかにもそれっぽくて好みですが、終盤の演奏がモタモタしている様に聴こえるのがちょっと気になるような。嫌いな曲ではないのですけれど。

05.時計の傷跡
時計の音から始まるスローテンポの楽曲。ボーカルの音程が若干危ういのが(わざと?)逆に狂った感じを出しているかもしれません。ループするピアノのメロディーもちょっと怖い。間奏で行進曲っぽいリズムに乗るシンセも好み。

06.懺悔の朝に…
ポロポロと崩れ落ちるようなピアノからホラーチックなイントロが始まる楽曲。前曲にも増して狂った印象のボーカルとクラシカルなメロディーのシンセの嫌な合い方といったら!(褒めてます)
もう少し上手いボーカルだったらこの雰囲気は出ない気もします。このアルバムの中では一番好きかな。感情が昂ぶって唐突に終わるのも良い感じです。

07.美しきローゼの十字架
ギターと嵐のSEから入るダークでスローテンポの楽曲。こういうスローで歌い上げる曲だとやはりボーカルの不安定さが目立ってしまう気も…。が、2分近くになると一気に激しくなります。やっぱりこういう展開好きだわw 所々で演奏がちょっとモタついている気もしますが、V系王道の疾走ハードチューンが好きな人にはツボに入る曲なのでは、と思います。

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正直ボーカルが曲の足を引っ張っていると思う部分も多くありますし、粗い部分のある演奏、全編に入っている語りも好みを分けそうですが、クラシカルな楽曲と「黒い羽」とか「血」「十字架」等の単語が載りまくりの、残酷で耽美なそちら方面の歌詞の世界観には引き付けられる人もいるのではないでしょうか。
多くの人にはお勧めしにくいですが、クラシカル要素の強いコッテリしたヴィジュアルバンドが好きな人は気に入るかも知れません。

しかし、バンド解散後にKeiとShuriが在籍したVinettというバンドの楽曲がめちゃめちゃポップだったのには、逆の意味でびっくりしてしまいました…w

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