音源感想ブログのやる事じゃねーよと怒られそうですが…もうちょっとだけ続けさせて下さいw
そう言えば、V系界隈には見た目や曲がアメリカンホラーなノリのバンドは多い気がしますが(SaTaNとかThe Candy Spooky Theaterとか。最近のCalmando Qualもなのかな?)、所謂Jホラーっぽい方々はあまり浮かばないような……あ、元メリゴのKazumaさんとか! 黒髪・長髪・呪われそうな眼力…完璧じゃないですか!(そんな)
でも初期のメリゴって、結構コミカルホラーなノリの曲も多かった気が。

「女優霊」(1996)
監督:中田秀夫 脚本:高橋洋 出演:柳ユーレイ、白島靖代 ほか

後に「リング」でも組んだ中田・高橋両氏による、映画製作現場を舞台にした作品。つい先月になってようやっとDVD化されたのが意外でした…とっくになっていると思っていたのだぜ。そんな訳でほぼ10年ぶり位に見返してみました。
2010年現在、「怖さ」という点ではそこまででもなくなったのかなと言う印象が正直な所で、ストーリーも初見ではちょっと飲み込みづらい所があるかもしれません。そういう意味では、原作小説の設定を色々改変しつつも、「リング」は強烈さとエンタメ的な分りやすさを併せ持った作品だったのだなぁと思ったり。
が、恐怖シーン以外における、何が起こっている訳でもないのに漂う「嫌な感じ」ときたらもうね…。そしてピントが合っていなかったり、画面の端々に見切れたりする「彼女」の見せ方は、所謂Jホラーの雛形になっているのかもしれません。そして最後に出てくる「彼女」は、ほぼ貞子のプロトタイプですね。笑い顔が強烈なのと、それが結構長く映る為人によっては笑いの方にスイッチが入る…かもしれませんが(中田監督も反省材料と捉えたのか、『リング2』のパンフにて<女優霊では長々と見せ過ぎたという反省から、貞子は「顔を見せない」方向に進んだ>という趣旨の発言をしていた記憶があります)。
日本のホラーが好きな人は是非に手に取って欲しいと思います。そう言えば今度ハリウッドでリメイクだそうで…。

女優霊 [DVD]
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「邪願霊」(1988)
監督:石井てるよし 脚本:小中千昭

その女優霊よりもっと前にJホラー的な見せ方を、更にこの間感想を書いた「TOKYO NIGHT」のような擬似ドキュメンタリー方式を、当時日本で既に行っていた草分け的なOV作品(いや自分の中で、ですけれども;)。
脚本を担当した小中千昭の著書『ホラー映画の魅力』(2003)の中で触れられており、興味が湧いたので見てみましたが…時代も感じますが結構興味深く観られれました。女優霊の方でも書いた「画面の中心には出ないが確実に映っている、しかし顔ははっきりしない誰か」が当時の映像ソフトで既に使われていたのは、実は凄いことなのでは。ストーリーも、アイドルの新曲プロモーションへの取材活動という形を取りつつ怪現象を交えて、起承転結ちゃんと付けてますし、本編が50分弱なのもダレずに見られて良かったのかもしれません。最後の怨霊大暴れ(?)は派手過ぎやしませんかとも思いますがw そして(ネタバレ反転)その終盤で出てくる「録画した覚えが無いテープに『霊の主観映像』が入っていた」という展開は、後にリングに登場する呪いのビデオに共通するものがあり面白いです。ただ『リング』執筆時と本作リリースがほぼ同じな気もするので(リングが出版されたのは1991年ですが、鈴木光司のデビュー作『楽園』より先に乱歩賞に応募されたものらしいですし)、同時期に別の人が同じ着想を得るのは決して珍しくない事だしなぁとも(反転ここまで)。
女優霊から更に遡りたい人や、日本の擬似ドキュメンタリーもののはしりに触れてみたい人にお勧めです。
因みに『ホラー映画の魅力』によると、ストーリーのキーアイテムとなる曲は、小中千昭が作曲・編曲を行い、劇中アイドルが踊る振り付けまで自分で作ったそうです…凄ぇ。

邪願霊 [DVD]
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ホラー映画の魅力―ファンダメンタル・ホラー宣言 (岩波アクティブ新書)
小中 千昭
4007000867



「四谷怪談 お岩の亡霊」(1969)
原作:鶴屋南北 監督:森一生 脚本:直居欽哉 出演:佐藤慶、稲野和子、小林昭二 ほか

もっと前の王道怪談ものもちゃんと観なきゃいけない気がしてきて(笑)、レンタル棚で目についたのを手に取ってみたり。四谷怪談の映像化で最初に見るのがこれで正しかったのかは、自分でも分かりません。
ストーリーは有名なので端折るとして(自分が覚えているのとほぼ一緒でした)、佐藤慶演じる伊右衛門の振り切った悪役っぷりが素敵。小林昭二の小悪党っぷりも素敵。自分のイメージで、どうしてもムラマツキャップに見えてしまって困りましたがw そして稲野和子のお岩さん…ひぎぃ。
あのおどろおどろしさが観られただけで大満足です。崩れた顔で髪を漉いて髪がブチブチと…おおう…。
どちらかと言えば、亡霊になるまでの人間ドラマに重点が置かれているので(その分恨み節にも力が入るのですが)、ホラーというより、時代劇としてしっかり見られるものになっているのかなとも。何だかんだで一番印象深いのは佐藤慶でしたし。

四谷怪談 お岩の亡霊 [DVD]
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理不尽な幽霊も怖いですが、「恨めしや〜」もやっぱり怖いよね!