今回にてひとまずホラー祭りはお終いです。

「ブース」(2005)
監督・脚本:中村義洋 出演:佐藤隆太、小島聖、芦川誠 ほか

最近は有名小説の映画化タイトルも監督している中村義洋ですが、自分の中では未だにほん呪初期作品の演出をしていた人だったり(自分で投稿者にインタビューしたり廃墟に潜入したりしてましたw)。何より現在もシリーズのナレーションをしているのですが、折角だからほん呪以外も何か見てみよう、出来ればホラー方面で…という事で借りてきたのがこちら。
主軸となるラジオ番組で、放送事故で済まない出来事が連発しているのに、プログラムが進行するのは現実的に見ると厳しい気もしますが、それ言っちゃうと話が進みまないので…w 狭い空間での細々とした出来事が伏線となり、パーソナリティが徐々に疑心暗鬼に陥る様が面白怖く描かれていると思います。
ここまで書いて、そう言えば「仄暗い水の底から」で中村氏が脚本で参加していたのを思い出した――とでも、言うのだろうか……。

ブース/booth [DVD]
中村義洋
B000EAV8WK




「学校の怪談f」(1997)
関西テレビで放送されたスペシャルドラマを収めた作品。中編2つに短編1つという構成。中田秀夫、黒沢清の作品が一度に見られるという、個人的に美味しい仕様になっています。

「霊ビデオ」「保健室」
監督:中田秀夫 脚本:小中千昭

「霊ビデオ」は、霊を撮りたがる主人公が、偶然見つけたおかしなモノが写った写真の舞台となった廃屋へ、ビデオを回しながら潜入して――というお話。女の子同士のすれ違いの要素も含んでいます。
終盤でのあの「顔」は、後の「リング」に於ける死に顔の元ネタなのでしょうね。ただ個人的には、そのラストより、主人公が撮ったドキュメンタリー風の映像に、不意に映る怪現象の方が嫌な感じプンプンで怖かったかも。あの見せ方とか「ほん呪」等が好きな人にはたまらないのではないでしょうか。話の面白さというより、参考文献を遡るような楽しみ方になっちゃったのはどうなんだろうとも思いますが;それでも興味深かったですね。
「保健室」は一発ネタ? のような短編になっています。

「廃校綺談」
監督:黒沢清 脚本:大久保智康、黒沢 清

廃校間近の中学校で、それまで噂になってきた幽霊達が姿を現し始め…といったストーリーですが、これはかなりツボでした。派手な演出は無いのですが(寧ろ極力抑え目にしている気がします)、気付くとそこに居なかったはずのモノがといる見せ方に、こちら側にジワジワ侵食してくる恐怖を感じられるのでは。後の黒沢清のホラーものに於ける要素がほぼ入っている気がします。ロッカーから出て来る女性の幽霊の動きは、前に書いた「花子さん」に通じるものが。中学生達のダルそうな会話や淡々とした雰囲気も好み。
制作陣豪華なのにDVD化されないのが勿体無いなぁ。

学校の怪談f [VHS]
B00005FVHP




「学校の怪談G」(1998)
「学校の怪談f」の翌年に製作されたオムニバスドラマ。中編2+短編2に加え、短いアニメーションを挟んだ構成になっています。

「食鬼」
監督:前田哲 脚本:小暮宏、前田哲

怖い…というより、ちょっといい話寄りの作品でしょうか。中盤が怖いと言えば怖いかな…? どちらかと言えばシュールな画なので意図はあまり掴めませんでしたが。取り敢えず前田亜季の可愛さと、食鬼に取り憑かれた男の子が、給食を貪る画の汚さが印象に残ります…w

「片隅」「44444444444」
監督・脚本:清水崇

どちらも数分間の短編ながらインパクトは大。今見ると、後に発表された「呪怨(ビデオ版1作目)」のストーリーを補完するようなものとなっており、出て来るモノも、もろ伽椰子さんと俊雄君w 伽椰子のヴィジュアルや動きも、この時点でほぼ完成されている感があります。怖さ(というかショック度?)では本作中一番でしょうか。本作も現時点でDVD化されていないのですが、この2編はハリウッド版呪怨「THE JUON(THE GRUDGE)」のセル版DVDに、特典映像として収録されました。

「木霊」
監督:黒沢清 脚本:高橋洋

上の「廃校綺談」も積極的な説明はしていない印象ですが、こちらは輪をかけて良く分からない物に。
一応主人公の女の子が超能力を持っている点や、ラストの彼女の台詞等から想像できなくはないのですけれど、結局「木霊」が何なのか、何故人を襲うのか、そもそもあのヴィジュアル…とかw その辺りは見る側に委ねられているのでしょうか。
揺れるカーテンを使った「あちら側とこちら側」、襲われた人は黒い水に、等の演出も不思議な印象を残していきます。

学校の怪談G [VHS]
B00005GEOJ


THE JUON -呪怨- ディレクターズ・カットコレクターズ・エディション [DVD]
B0009G3ESA



取り敢えず次からは通常営業に戻ります。
後、ブログに書くかは分かりませんが、何かお勧め等あれば教えて頂きたく…と緩く募ってみたり(笑)