Sound Horizon「Marchen」(2010)

01.宵闇の唄
02.火刑の魔女
03.黒き女将の宿
04.硝子の棺で眠る姫君
05.生と死を別つ境界の古井戸
06.薔薇の塔で眠る姫君
07.青き伯爵の城
08.磔刑の聖女
09.暁光の唄
10〜38.(ボーナストラック)

作詞・作曲・編曲 01〜09:Revo

発売日:2010/12/15
品番:KICS-91630


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本作への思いの丈は、1月のライブ感想で散々書いた気もしますが、まぁそこはそれと言うか…w

Revo率いるSound Horizonの、通算11枚目・ストーリーCDとしては7作目となるアルバム。
プロローグマキシと銘打たれた先行シングル、「イドへ至る森へ至るイド」と関連が深い……というか思いっきり話が繋がっているので、イドイドと本作2枚合わせて1作、と捉えた方が良いかもしれません。
メインの舞台は宗教改革の真っ只中のドイツなのかな? モチーフとして西洋の童話が多く取り入れられていますが、総収録時間が77分、9曲中童話を下敷きにしたものが7曲、またそれら各々の楽曲のテーマが「つの大罪」、初回盤ブックレットのページ数表記が77ページ、そして先程からやっているように、歌詞中のを含む字が強調されていたりと、やたら7にこだわった作品となっています。
その初回盤ですが、小さな絵本仕様のブックレットやら、広げるとこれまた大きな「」になるイラスト付きボックスやら、かなり豪華な作りになっています。
本作もシングルから引き続き、マーティ・フリードマン(ギター・今作は7曲目のみ参加)やSIAM SHADEのJUNJI(ドラム)、ΛuciferのYUKI(ギター)と阿部徹(SANTA)(ドラム)、元HOUND DOGの西山毅(ギター)、あと初音ミク…とその中の人――というか基の人? である藤田咲など多くのゲストが参加しています。

以下各曲について。ちょこちょことストーリーにも触れてますので、一応ネタバレ注意。
何より盲目長文注意。



01.宵闇の唄
イドイド3曲目「彼女が魔女になった理由」からそのまま引き継いだようなイントロ、ドイツ語によるカウンドダウンをバックにしたダークな序盤(初音ミクによる「エリーゼのために」のメロディーも一瞬入っています)から、ストリングス・ピアノを交えたアッパーなバンドサウンドへ。
メインボーカルはMarchen von FriedhofことRevo。相変わらず、上手い! …とは言えないのですが、この曲ではエフェクトのかかり方が良いのか、そんなに気にならず。個人的にBメロの勇ましいメロディー→一瞬入る高速ベース→独語カウント→疾走するサビのコンボがツボです。バックの女性コーラスは、他曲のメインボーカルが全員参加しているのでしょうか。
圧巻は間奏。アイネ・クライネ・ナハトムジーク→第九のコーラス→幻想交響曲(ピアノとギターによる高速バトル)→『展覧会の絵』の「プロムナード」(コーラス)のたたみ掛けがアツいです。インパクトと言えば、その後高速のエリーゼ人形ことミクによるパートもなかなか…イドイドでも思いましたが、あのケロ声はやっぱり怖いw エリーゼが復讐に拘るのは、やっぱり元の人形をくれたエリーザベトと、母/姉であるテレーゼの思い(+イド?)が関係しているのでしょうか。
長尺曲が多いアルバム中でも、最長の10分超えですが、基本アッパーで展開も多いので聴き飽きはしませんでした。……もっとも、ストーリーに合わせて楽曲展開が変化する本作において、構成的に所謂一般的なポップスの体裁を一番取っているのは、実はこの曲だったりするのですが。

02.火刑の魔女
・暴食
・ヘンゼルとグレーテル
鐘の音とメルのナレーションによる導入(これは2〜8曲目まで共通しています)から、笛の音(オカリナかな?)が哀愁を漂わせるバラードパートへ。メインボーカルを務める彩乃かなみの声は本作で初めて聴きましたが、適度にオペラティックで非常に好み。ブックレットでは、移動の描写を文字を使わず本当にイラストで表しているのが面白いです。途中から疾走アレンジに変わり、主人公は母に再会しますが――。母役を務めるMIKIのしゃがれ声、この曲に限りませんが、本当にザ・昔話のお婆さん! といった印象なのが凄い(他の曲でも、復讐される側が女性だった場合、ボーカルはMIKIさんになっています)。
因みに、初回版のボックスを開くとまず目に飛び込んでくるのがこの子が刺殺されたイラストなので、正直最初ビックリしました(苦笑)

後半は笛・ストリングスを交えたバラードながらも、ほぼ別曲と言っていい展開となり、皆が知っている「ヘンゼルとグレーテル」のストーリーが。こちらの兄妹のボーカルは、非常に子役子役していますが、実際に子役を使っているので当たり前といえば当たり前ですか。この後ヘンゼルが太った時のデブ声は結構レベルが高いと思うのですが…w お菓子の家パートではユーモラスで人懐っこいメロディーが展開されますが、この時の母の回想を読む限りでは、娘を殺してしまった後で正気に反り、夫の遺産が入った――という解釈でいいのでしょうか…? その後シリアスに疾走パートに移りますが、この終盤のメロディーは各曲共通する部分があります(今回は木管楽器で表現)。そう言えば、ラストに登場する兄妹の友達の名前がトーマス(トム)で、兄妹の兄の名前はヘンゼル(ハンス)なのですが、イドイド1曲目の「光と闇の童話」で子供時代のメル(メルツ)とテレーゼに魔女狩りを仕掛ける二人組の名前がトムとハンス、しかもハンスの方はご丁寧にデブ声…うわぁいきなりループ臭が…。
またストーリーで言えば、有名な童話の結末は、メルとエリーゼが裏で糸を引いていた――というのも各曲に共通する部分ですね。終盤の二人のイチャイチャ(?)も含めて。

03.黒き女将の宿
・強欲
・絞首台からきた男
ブラックな内容を歌う子供のコーラスと、牧歌的なメロディーによるイントロに入ってきた歌声がズーズー弁だった時の衝撃といったら! 一応V系メインで書いている(つもり)なので、分かりやすい所で言うと「可愛い仙台貨物」でしょうか…w そのメインボーカルはREMIですが、Sound Horizonの他作品では透き通った高音が印象的な彼女が、こういう歌い方も出来る事がちょっと意外でした。
そして「Chronicle 2nd」収録の「約束の丘」等で使われているメロディーが一瞬顔を出したかと思うと、
「ゲーフェンバウアー将軍に続けぇー!」
こんな所でゲーフェンバウアーの名前が出るとは思いませんでしたが、彼はプロイツェン出身ですし時代的にも合っている…のかな? まぁ大筋とは関係ないので小ネタのひとつでしょうか。ここの戦争描写の部分は、ストリングスとコーラスを交え勇ましく疾走しており、ボーカルもオペラティックに歌い上げています。
その後は、アコギが前に出たユーモラスながらうらぶれた展開になり、曲タイトルでもある黒狐亭の女将が登場しますが――ボーカルがまさかのじまんぐ。いつものショワショワ声(?)と女言葉の取り合わせ、胡散臭いなんてもんじゃありません。遂にRevoによって性別の地平線まで飛び越えさせられてしまったか…とも思いましたが、一応ナレーション内で「年齢不詳 性別も不詳」と言われているので、セーフです。曲内でのREMIとの掛け合いも面白いのですが(おい、クソババア! は噴いた…)、後半はアップテンポなアレンジとなり、REMIもまた訛ったまま歌いげますが、終盤じまんぐが若い頃の境遇を思い出す際のセリフも訛っている事から、「序盤の田舎娘が成長した姿が、黒狐亭の女将なのでは」という考察もネットの海でちらと見かけたり。
復讐パートは更に爆走、そしてとんとんタイム。だから子供のコーラスが怖いですって!

04.硝子の棺で眠る姫君
・嫉妬。若しくは色欲
・白雪姫
大罪が2つあるのは、冒頭の独語ナレーションとモチーフとなっている動物が食い違っている為。「青き〜」も同様のギミックがありますが、何か意図があるのでしょうか。

序盤はピアノをアコギをメインとした物悲しいバラード調。雪白姫を演じるメインボーカル:黒沢ともよは、前作「Moira」のライブとPVに出演(声は無し)していましたが、ゲストボーカルとしての参加は初となります。非常にハキハキした歌い方をしており、何気に今までのSHのボーカルには無かった声質の人かもしれません。そしてこちらでは継母を演じるMIKI…悪い笑い声してますw
その後民謡調の展開になりますが、ここの黒沢とじまんぐの掛け合いが、コミカルミュージカルといった感じで面白いです(アルバム全体そんな色が濃いですけれど)。ライブ感想でも書きましたが、じまんぐ演じる狩人が本当にヨボヨボで…これ雪白姫が機転を利かさなくても、腕力的な意味で殺せなかったんじゃ…と思ってしまったり。最後は疾走アレンジになります。
その後、妙な語尾の人の小人が登場したり、雪白姫がぐぅーてんもるげん☆したり、魔女に化けた継母の毒林檎食べたりとドタバタしますが、雪白姫の早口ナレーションパートのバックで、男性二人の口論が繰り広げられるのが気になります。わざわざブックレットに「一部、物語の本筋とは関係の無い音声が、流れている可能性がございます」と書く辺り関係ない筈がないんですが(笑)、次作アルバムと関連付けたりするのかな?
そして満を持して王子様登場! なのですが…。ストリングス大活躍の勇ましいメロディーと昔話の王子にぴったりといった印象の鈴木結女のボーカルに乗って歌われるのは、自分好みの女の子の屍体を探す歌でした。本当にメロやボーカルがキャラクターにハマっているが故に、物凄いネタ臭が(ただ、王子がネクロフィリアなのは、初版グリム童話に従った設定)。ある意味前曲のじまんぐ以上。雪白姫を見つけるシーンでは再び疾走アレンジに変化するのがツボです。復讐パートでは更に疾走し、残酷なラストと姫のドSっぷりを披露しつつ盛り上がって終了。

05.生と死を別つ境界の古井戸
・怠惰
・ホレおばさん
ダークな導入から、突然ポップなバンドサウンドへの切り替えに初聴時は驚きました。楽曲のストレートな明るさという点では、Sound Horizon全体でもかなり上位に来るのではないでしょうか。メインボーカルのCeuiの声は今作で初めて聴きましたが、こちらも非常に明るい声質で、微妙にアホの子っぽいキャラクターに合っているように思います(メルヒェンが彼女を評した「君もなかなか健やかに悲惨な子だね」の言葉が妙にツボった…)。
中盤からはキーボードを前に出し、更にパーティーロック色(?)を強め盛り上がります。歌詞中、「死んじゃったの? 気の【Ceui】なの?」とボーカルの名前を拝借したり、メルヒェンとエリーゼがパンやリンゴの実の中の人? としていきなり割り込んできたり、挙句「〜するだけの簡単なお仕事」をサラッと入れたりと、ユーモラスな色の濃い本作でも特にネタに走っている印象があります。最後はベタ過ぎて寧ろ今はやらないような、ライブ仕様のソロコール→ベース→ギター→キーボード各ソロ→ダンケシェーン! などやりたい放題! 楽しいから良いですけれど。
後半は、ホレおばさnお姉さんを演じる井上あずみとの絡みもありつつ(こちらも綺麗な声してます)、ほぼ別曲のような展開となりますが、こちらもちょっと切ないながらも明るいメロディーが映えている印象です。因みに「キミが、もし冬に逢いたくなったら〜」のメロディーに、前々作「Roman」収録の「朝と夜の物語」のメロディーが一瞬使われていますが、そうなると「冬に逢う」という言葉が、妙に死の暗喩っぽく思えてきてしまうのがなんとも。
復讐パートは再び前半の楽曲構成を基に疾走アレンジとなりますが、前の疑問を引きずったままですと、果たして最後のナレーション通り「可愛い復讐」だったのかどうか…。でも曲自体は、アルバム中最も陽性のエネルギーが強いんじゃないかと思いますよ。

06.薔薇の塔で眠る姫君
・傲慢
・茨姫
野薔薇姫ことメインボーカルは下川みくに。ストリングスとピアノをメインにゆったりと始まりますが、序盤の笛が民謡調でなかなかクサいです。また、曲中何度か入る「の罪科」のコーラスは、耳にする度曲の温度を下げられた気分になったり。
カエルが王妃に妊娠を告げるシーンでは、ボーカルのバックでゲコゲコ音を流したりと芸が細かい。また、前曲に出た井上あずみが今度は賢女として登場し、同じく13番目の賢女を演じるMIKIと掛け合いバトルをするのですが、このパート、高速でチェンバロ・ピアノがバックで鳴りまくる盛り上がりがツボです。因みに、この13番目の賢女の名前がアルテローゼ(Alterose)、英語読みにするとオルドローズ(Oldrose)…今度は「Elysion」とのリンクを匂わせてきましたよ。
リリースから半年近く経った今更ながら、これ書きながら思ったのですが、井上さんの賢女の名前が「アプリコーゼ」というのは、アプリコット(杏)とあずみ(井上あずみの旧芸名は「井上杏美」)に掛けたネタなのでしょうか…。

中盤はメロウな雰囲気を持った展開となりますが、野薔薇姫が塔を登るシーンの歌メロ、この後の王子が同様の行動をするシーンとほぼ一緒なんですよね。王子の方は疾走アレンジと対照的なだけに、余計印象に残るというか。
姫が眠ってしまった後は、待ってましたの王子パート。序盤は「硝子の〜」と一緒ですが、途中から別の展開へ。こちらも歌謡曲の要素も感じる勇ましいメロディーとなっており、やはり良い意味でネタ臭とかっこ良さを披露している印象です。ネットではテッテレ王子とか呼ばれてますが…w ただこちらの王子様はネクロフィリアかどうかは分かりません。そもそも雪白姫の方と別人かどうかすら分かりません。ここでも「彼女こそが僕の《探し求めていた女性》(エリスorエルス)なのだろう」と歌われたりと、やはりElysionとの関連を匂わせたり。
復讐パートは短めながらシンフォニックな爆走がたまりませんが、ここでの「の罪科」はひどく攻撃的な印象なのが面白いです。そしてラストのアルテローゼとの遣り取りと独語ナレーションは、最早完全に「魔女とラフレンツェ」のプロローグとしか思えません。

07.青き伯爵の城
・色欲。もしくは嫉妬
・青髭
メインボーカルは栗林みな実。ここまでユーモラスな色が何処かしらに顔を出してきたアルバムですが、この曲は全体にシリアスな雰囲気を感じます(まぁ元ネタが元ネタだし…)。
キーボードとドラムを前にしたダークな出だしから、ストリングスを交え激しいアレンジに変貌、ダメ押しに青髭(大塚明夫)の高笑いまで一気に畳み掛ける展開から一転、栗林による抑えめながら緊張感のあるスローパート、更に再び盛り上がり……と開始2分行かないのに中々忙しいです。
少しポップな面が顔を出したり疾走パートがあったりしますが、基本的にはダークな空気を持ったまま進行していきます。個人的に中盤の聴きどころは、青髭が代々の妻を殺害する描写と同時に、ギターソロとキーボードソロが交互に登場するパートでしょうか。恐らく一人毎にパート交代するので、少なくとも主人公の他に5人は……。そしてその後の大塚伯爵によるボーカルパート、低音で朗々と歌っており非常に渋カッコ良い。そう言えば、この後の「君を魔女として断罪した恩知らずな豚共を〜」のくだり、史実的に行けば、「君」というのはジャンヌダルクなのかもしれませんが、ここはやはりテレーゼなのかなぁ。
後半はオルゴールっぽいシンセを折り混ぜつつ、再び不気味な雰囲気になりますが、死体発見を切っ掛けに開けた疾走感を感じる展開に。ここでの歌い上げるサビ(という様式にこだわってないアルバムですが)も、ここまでの暗い流れを変に切らずに、且つ印象に残るポップなメロディーを聴かせてきた印象が。因みに、終盤の復讐パートのメロディーは、シャッフル調の跳ねたピアノがメインとなっています。ちょっとオサレ。

08.磔刑の聖女
・憤怒
・憂悶聖女
メインボーカルは、イドイドの「この狭い鳥籠の中で」と同じくエリーザベトを演じるJoelle。時系列的にも、その曲のエンディングから直接繋がる形になってますね。
重厚なコーラスパートをイントロに、重々しい雰囲気で始まりますが、程なくジャジーでアップテンポな展開に変わりメルヒェンとのツインボーカルを聴くことが出来ます。メルヒェンの声は相変わらず井戸の中から歌ってエフェクトがかかっているのですが、二人の早口での掛け合いが小気味良く感じられます。
その後は概ね穏やかなバラードパートが暫く続くのですが、個人的にはエリーザベトが復讐を拒否してから、一度台詞+ピアノをメインとした静かなアレンジから、段々と光が射してくるように歌い上げ盛り上がる展開がツボでしょうか。…と言っても、ライブを見るまでは割と流して聴いていた部分だったんだけど; 最期にエリーザベトが天に召されるシーン(死んでるんだよね…?)では、前作「Moira」の「冥王」のメロディーが一瞬流れますが、こちらでは長調的なアレンジをされているのか、優しく厳かな印象を受けました。

終盤はやはりというか何と言うか、エリーゼさんヤンデレ大爆発。その台詞と呼応するかのように、「宵闇の唄」のイントロ・アウトロを暴走させたアレンジになり、ツーバスドコドコで疾走しますが、最後は破綻してしまいます。熱くてカッコ良いパートなのですが、ストーリー展開を思うと悲痛な印象も。

09.暁光の唄
前曲から直接続いています。尺はほぼ4分半と、普通に考えれば丁度良い長さなのすが、ここまでずっと長い曲ばかりだったせいか、初聴時はえらくあっさり終わったような気分になったものでした(苦笑)
全体的には、オーケストラをバックにしたスローバラードで、メインボーカルはメルヒェンことRevo。最初の盛り上がり所は「宵闇〜」のサビメロを使った部分かなと。バックでこれまでの登場人物の台詞が順々に再生されますが、声質的に雪白姫が一番目立っている気がします…イッタダキマース!
そして大サビとして、イドイド1曲目「光と闇の童話」のラストの部分がバラード調で再び歌われ、大団円的な(と言っていいのやら分かりませんけど)エンディングへ。その後は独語でのカウントダウン→メルヒェン最期の台詞で〆なのですが、ここの台詞だけエフェクトが掛かっていないのですよね。やはりこれは台詞の内容&ブックレット最終ページの記述と合わせて、素直にポジティブな意味で受け取って良い…の、です……よ、ね?w

10〜38.(ボーナストラック)
トラック数が凄い事になっていますが、全てのトラックが7秒ずつに刻まれ、一つの曲をその中に収めた形になっています(10トラック目は無音)。
電子音がメインの混然とした印象の曲ですが、途中で足音・鐘の音・馬のいななき・合戦の音等が挿入され一層カオスに。終盤は、Sound Horizonの過去作タイトルをナレーション→オルゴール音をバックにした赤ちゃんの鳴き声→ラストはRevoの一言、と展開しますが、意味は…何だろう。やっぱりループを示唆しているようにも思えますが、何となくメルヒェンではなく、中の人Revoとして発言しているような気も。そして字に起こすと、台詞の後に「(キリッ」と付けたくて仕方なゲフンゲフン

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先行シングルがちょっと地味な印象もあったので、聴く前はハードルを下げていた部分があったのですが、蓋を開けたら良い意味で裏切られたアルバムでした。前作「Moira」でも顕著だった、いわゆるポップス的な展開は殆ど無くストーリー展開に合わせて曲調が変化する方式のため、そこがとっつきにくく感じる人も多いかもしれませんが、基本的にメロディー自体はポップなので、そこまで敷居は高くない…と思うのですが。
またこれまでに比べると、ユーモラスな部分(ネタ的な意味でも)を増量しつつ、比例するかのように残酷な描写もてんこ盛りと、この手の物語性の強いバンドが好きな人なら、好みに入るかその逆かはともかく、強いインパクトは与えられると思います。そのストーリーも、比較的メジャーな題材を取り扱ってるものが多いので、初聴でのアウトラインの把握のしやすさは、SHのアルバム中でも相当上位に来るのではないかなと。また日本語の台詞・ナレーションが再び増えてきたのも個人的には嬉しい。そこはSHに何を求めているかで変わってくるのでしょうが、折角物語音楽やってるのですから、話にはのめり込みたいのですよ!w

ただ、Sound Horizonの入り口にするには大盛り過ぎるアルバムかも知れないので、興味のある人は、イドイドの感想でも紹介したシングル「聖戦のイベリア」や、自主制作時代のベスト+新曲で構成された「Elysion -楽園への前奏曲-」辺りを聴いてみると良いかも知れません。

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