Toshi「碧い宇宙の旅人」(1997)

01. 楽園
02. Birthday Eve
03. 天使のメヌエット
04. 碧い宇宙の旅人 〜愛の物語〜
05. さまよえる地球人
06. 星の舞踏会
07. HANA 〜いのちの芽ばえ〜
08. Simplicity
09. Passion of Love 〜P&P Family Version〜
10. ガイアの祈り
11. Morning Glory 〜Studio Live Version〜
12. Reprise 〜いのちの芽ばえ〜

作詞 01:Toshi & Celestia/02、03、06、07、09〜11:Toshi/04、05、08:Celestia
作曲 01、10:Norihiro Tsuru/02、04〜06:Toshi & Norihiro Tsuru/03、09、11:Toshi/07、08:Yuriko Nakamura
全曲編曲:Norihiro Tsuru

発売日:1997/01/22
品番:BVCR-774


***

X JAPANのボーカリストでもあるToshiが、1997年にリリースした4枚目のアルバム。彼のソロに関しては割と現在進行形で集めているのですが(本作を聴いたのもリリースから10年経ってからでしたし)、前評判通りヒーリング・ニューエイジ系寄りの音作りながら、哀愁メロディやポップスとしての聴きやすさも備えているアルバムといった印象を受けました。共同プロデュースを行い、共作を含め半分程の作曲にも関わっている都留教博の色が出ているのでしょうか。

以下各曲について。


01. 楽園
包み込まれるようなシンセが全編に亘ってなっている、穏やかなスローナンバー。Toshiのボーカルも幾分抑えめな歌い方から澄んだ高音を張り上げる展開になっており、幻想的な音作りに合っているように思います。5分程の尺がありながらオープニングSE的な役割も感じる、深い森の写真が使われている本作ジャケットの雰囲気そのままといった楽曲。

02. Birthday Eve
裏打ちリズムをバックに切々と歌い上げるアコースティック色の強いミディアムナンバー。Bメロで少し明るくなるも、全体的にはどこか仄暗く切ない旋律がメインになっており、要所要所で挿入されるバイオリンもよりそれを感じさせてくれます。
また、翌年葉加瀬太郎との共同名義で出したアルバム「壊れた世界でカナリアは歌う」には、葉加瀬のアレンジによる新録バージョンが収録されており、そちらはロック色を強めたアレンジになっています。

03. 天使のメヌエット
「星の舞踏会」カップリング曲。
教会音楽のようなオルガンとピアノがメインの、優しく穏やかな雰囲気のバラード。中盤からはバンドサウンドや子供のコーラスも入り壮大に展開しますが、基本はあくまで優しい雰囲気を持ったまま進行していく印象を受けます。
翌年からMASAYAプロデュースに入ったToshiですが、こういう曲を聞く限り、他人に全乗っけせずとも十分自分でそっち方面やれたんじゃないかい? …と過去にIfは禁物ながらも思ってしまったり。

04. 碧い宇宙の旅人 〜愛の物語〜
イントロの笛のハモリがクサくてたまらない、アルバムタイトル曲でもある三拍子バラード(因みに、笛の片方はToshiが演奏しています)。そこだけではなく、全編懐かしく物寂しいメロディーがてんこ盛りとなっており、個人的にアルバム中一番好みにハマった楽曲となっています。

05. さまよえる地球人
パーカションとシンセをメインに、力強く歌い上げているミディアムナンバー。比較的ゆったりした雰囲気の歌詞が多い本作中に於いて、飛び抜けてシリアスというか切羽詰まったような言葉が並んでいるのが印象的で(と言ってもこの歌詞は外部提供ですが)、後半前向きな歌詞になるパートでも、そこだけ狙ったかのようにくぐもったエフェクトがかかっているのも逆に怖いと言うか。楽曲の方は浮遊感のあるサウンドの中に切ないメロディーが映えており、時折挿入されるサックスソロも盛り上げに一役買っているように思えます。
本作の後にリミックスバージョンとしてシングルカットもされています。

06. 星の舞踏会
ソロ9thシングルタイトル曲(ナイトホークスとの共同名義のシングルを含めると11枚目)。
前曲と打って変わって、アコギと笛のイントロに爽やかな気分にさせられるポップチューン。こちらはバイオリンやパーカションを中心に、優しさとノリの良さと併せ持った音作りになっている印象を受けました。

07. HANA 〜いのちの芽ばえ〜
Toshiのボーカルが前面に出た、穏やかなミディアムポップナンバー。歌詞・楽曲共に、アルバム中最も優しげなトーンに包まれている感があり、良い意味で真っ当な万人向けポップスとしての名曲になっているのではないでしょうか。「星の舞踏会」と合わせて、この中盤2曲によって本作の取っ付きやすさが増しているように思います。
こちらも「さまよえる地球人」の両A面としてリミックスバージョンがカットされました。

08. Simplicity
アコギとピアノをメインとした、のんびりと力の抜けた雰囲気が心地良い楽曲。歌詞もそんな感じですが(「さまよえる〜」と同じ人が提供しているのが信じ難いw)、「ぬくぬくもり」という表現はどうなんだろう…とちょっぴり思ったり。メロのすわりは良いのですが。アルバムの流れで映える、小じんまりした楽曲といったイメージがあります。

09. Passion of Love 〜P&P Family Version〜
8thシングルタイトル曲のアルバムバージョン。
割りとストレートにポップで爽やかだったシングル版から趣を変え、アコギやアコーディオンを前面に出した民謡寄りのクサさも感じる賑やかなアレンジになっています。終盤は子供の合唱も入ったりと、「みんなのうた」で流れてもおかしくなさそうな展開に。個人的には、アルバム版の雑然とワイワイした雰囲気が好みでしょうか。

10. ガイアの祈り
「楽園」と同様、フワッと包み込むようなシンセがメインの、冷たく幻想的なスローナンバーですが、途中からバンドサウンドが入り徐々に盛り上がっていきます。中盤のソロを始めとした尺八の音色に、凛とした雰囲気が感じられてツボ。

11. Morning Glory 〜Studio Live Version〜
「Passion of Love」と両A面でリリースされたシングルタイトル曲のアルバムバージョン。
タイトル通り、一発録りと思われるスタジオライブバージョンで、ピアノとストリングスをバックに伸び伸びと歌いあげる、スローテンポながら開けた印象を持つバラードになっています。クラシカルな音作りという意味では、Xのバラードでやっておかしくなさそうかな? とも思いますが、それ以上に柔らかく優しい雰囲気が全開なので、やはりどこかで線引きがあったのかもしれません。
こちらも本作の色を持ちつつ、取っ付き易さを持つ楽曲になっているのではないでしょうか。

12. Reprise 〜いのちの芽ばえ〜
「HANA」のサビパートをピアノをバックに一度歌い上げた後、穏やかなシンセのインストで幕を閉じる、エンディング的な楽曲。

***

一度Xを脱退する3ヶ月前、またMASAYAプロデュースに入る1年以上前にリリースされた事もあり、ある意味、Toshi自身によるヒーリング色が一番出ている作品かもしれません(後になってMASAYA曲の方も聴いてみましたが、メロディーのクサさという点では本作が上かな…と)。Toshiに攻撃的・アッパーな曲を求める人の好みからは外れるのかもしれませんが、冒頭に述べたように哀愁を含んだポップチューンが目白押しなので、そちら方面の楽曲が好きな人には大いにお勧めしたいアルバムです。

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