BUCK-TICK『夢見る宇宙』(2012)

01.エリーゼのために -ROCK for Elise-
02.CLIMAX TOGETHER
03.LADY SKELETON
04.人魚 -mermaid-
05.夢路
06.ONLY YOU -WE ARE NOT ALONE-
07.禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-
08.夜想
09.INTER RAPTOR
10.MISS TAKE -I'm not miss take-
11.夢見る宇宙 -cosmix-

作詞 01、02、06、10:今井寿/03〜05、07〜09、11:櫻井敦司
作曲 01〜03、06〜11:今井寿/04、05:星野英彦

DVD(初回限定盤のみ)
・CLIMAX TOGETHER(MUSIC VIDEO)
・Live at 日比谷野外大音楽堂 2012.6.10より
SE.night side -rainy-
01.エリーゼのために
02.REVOLVER
03.疾風のブレードランナー
04.夢見る宇宙
05.MY FUCKIN' VALENTINE

Members
Vocal:SAKURAI ATSUSHI
Guitars、Noises & Chorus:IMAI HISASHI
Guitars、Chorus:HOSHINO HIDEHIKO
Bass:HIGUCHI YUTAKA
Drums:YAGAMI TOLL

発売日:2012/09/18
品番:TKCA-73811(初回限定盤)/TKCA-73815(通常盤)


***

メジャーデビュー25周年を迎えた2012年にリリースされた、BUCK-TICKの17枚目のアルバム。シングル収録曲だった1、6、10、11は、全て別バージョンとなっています。
直近のシングル『MISS TAKE』が妖艶なバラードだったこともあり、そのような耽美路線で行くのかと思いきや、カラッとしたロックンロールに打ち込みを乗せた、近年の彼らの中でも特にポップに振れた感触があるアルバムとなりました。
初回盤に付いているDVDには、2012/6/10の野音ライブの一部を収録。こちらを参考にしましたが、5曲中3曲がアンコールから採られています。そのアンコールでの衣装替え後、櫻井敦司が着ていた上着が一部で「ちゃんちゃんこ」と称されていましたが、改めて観ると……うん、まぁ……。

01.エリーゼのために -ROCK for Elise-
先行シングル1弾タイトル曲のアルバムバージョン。
印象的なギターのリフによるロックンロールなノリと、対比的に耽美なサビメロといった構成はそのままですが、全体にデジタルチックなエフェクトを更にかけた音作りになっている印象です。

02.CLIMAX TOGETHER
初回盤DVDにPVが収録されている、本作のリード曲といえる楽曲。
BUCK-TICK流パーティーロックと言えそうな、とにかくその明るく陽性なアレンジに度肝を抜かれましたが、サビで今井星野による「We Love All だーきしめたーい」のちょっとユルめのバックコーラスがループし始めた時点で、彼らの術中に嵌ったのだと思います。
現時点での自分の好みとは必ずしも合致しなかったりするのですが、25周年を迎えたここに至って、ノリが若返ってきた印象すら受けるのにある種の凄みを感じたり。PVは小さなライブハウスでの演奏風景がメインですが、これは確かに盛り上がるだろうなぁ。

03.LADY SKELETON
スペーシーな打ち込みと跳ねるようなベースが印象的な、こちらもノリの良いロックンロールナンバー。
櫻井さんのボーカルとコーラスパートが交互に登場するサビが繰り返し配されており、歌メロを堪能するというよりはライブでの盛り上がりを重視した楽曲と言えるでしょう。

04.人魚 -mermaid-
本作における星野セクシャル枠はこちら。
ここまでの流れを更に突き詰めたような、乾いたギターやリズムに脳天気なムードすら感じるサマーロック(!)ナンバー。歌詞もなかなか煩悩に塗れていますが、ボーカルにかかったきつめのエフェクトのせいか、どこか浮世離れした感じも。ただ、星野さんは次曲のようなバラードと共に、このような楽曲も得意な印象があるため、そういう意味でのとっつき易さはあったかもしれません。
実のところ、明るく突き抜けた流れはこの2〜4曲目辺りまでなのですが、ここまでの印象が全体に影響を与えている辺り、それだけ強烈だったということなのでしょうね。

05.夢路
こちらはそんな聴き手をここで癒やすかのような、星野作曲のバラードナンバー。
他の星野作バラードに比べて突き抜けた何かを感じる訳ではないのですが、アコギが印象的なシンプルなアレンジに包み込まれるような気分になる辺り、楽曲配置の妙があるということでしょうか。

06.ONLY YOU -WE ARE NOT ALONE-
先行シングル2弾『MISS TAKE-僕はミス・テイク-』カップリング曲のアルバムバージョン。
シャッフルリズムをメインとした、アッパーなナンバーなのですが、Soil & "Pimp"Sessionsのメンバーがホーン隊として参加し、シングルに比べかなり豪華なアレンジになった印象があります。個人的にはこちらのアルバムバージョンが好み。

07.禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-
ギターやシンセのフレーズに、懐かしさとほんのり物悲しさを感じるバラード。ちょっとオリエンタルな雰囲気もあるでしょうか。
当初はそこまで印象が強くなかったのですが、そのヒラヒラとしたシンセのアレンジや、哀愁を感じるメロディーが聴き込むごとに沁みてきた、遅効性の名曲となっています。

08.夜想
歌謡ジャズの要素を感じるアレンジとメロディーによる、怪しくうらぶれた雰囲気を持つポップナンバー。
改めて聴くと、前半とは真逆の位置にあるような楽曲なのですよね。

09.INTER RAPTOR
適度な疾走感を持って進行する、ハンドクラップ音も交えたダンサブルナンバー。
ダンサブルと行ってもアッパーに盛り上げるというよりは、寧ろ前曲のダークな雰囲気を引き継いだ怪しさとクールさが感じられ、バキバキとしたシンセとキャッチーな歌メロともあって、アルバム曲では自分の中でトップに来る楽曲でしょうか。

10.MISS TAKE -I'm not miss take-
先行シングル2弾タイトル曲のアルバムバージョン。
終始隙のない耽美なメロディーが目白押しのミドルバラードで、色気のあるボーカルによるサビでの盛り上がりと合わせてツボをぐいぐいやられてしまいました。ポップスとしても王道の構成で聴きやすい辺り、近年のシングルでも入門に適した楽曲かと思いますが、アルバムに入ると寧ろ異質な雰囲気を持っているのがなかなか難しいところかも知れません。
「エリーゼのために」同様、デジタルサウンドが少し前に出たアレンジになっています。

11.夢見る宇宙 -cosmix-
『エリーゼのために』カップリング曲のアルバムバージョン。
シングルでも音作りのメインだったギターノイズが更に強調されており、そのノイズに優しく包まれるような心地よさがあります。楽曲の色としてもラストの位置が相応しいでしょうね。

***

前半で明るいアルバムのイメージを一気に作りつつ、後半を中心に違った顔が聴き込むに連れ見えてくる、実はスルメ盤の色が強い印象のアルバム。
前作でのおもちゃ箱のような雰囲気が好きな身からすると、本作は良くも悪くも薄口に思える所があるのですが、未だに底なしのフレッシュ感がある事に改めて驚かされた作品もありました。

個人的に、前前作『memento mori』が最近の入門アルバムとして適していると思うので、先行シングルで気になった方はそちらを経由して本作を聴くとよりしっくり来るかもしれません。


試聴あり
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