Hope And Live 〜 HIV/AIDS治療支援ベネフィット・コンサート2013」3日目@club CITTA' 2013/8/28

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大分日が経ってしまいましたが、8月に3日連続で行われたライブイベント「Hope And Live」のレポもどきを。
SPEED-iDのドラマー:HALのHIV感染が明らかになり、彼の治療費支援を目的として企画されたというのが私が知った際の情報でしたが、どんどんと出演者や企画趣旨の規模が膨らみ、「HIV/AIDSという病気のことを伝え、その治療のために役立てるチャリティ・イベント」(配布パンフレット内HALインタビューより)という感染・治療に関する啓蒙活動を趣旨としたイベントとなりました。

とは言え、基本的には出演者たちがHALさんのために集まった(良い意味での)「大規模な身内イベント」が原点にあると思いますし、私自身初見が多いながらも、出演者のステージを楽しむ事を第一に参加してきましたよ。
私は3日目のみの参戦でしたが、以下覚えている範囲で簡単に。



Awake
HALさんを交えたオープニングセレモニーに続いたオープニングを飾る出演者ですが、取りあえず……今っぽい!
キラキラポップなアレンジに分かりやすい楽曲が目白押し、ボーカルも歌う合間の細かいフリ指定、演奏前に各曲についての簡単な説明、ほんのりチャラくもグダらないMCと、基本ソツなくこなせる優等生ぶりを発揮していました。
正直個人的には眩しすぎるんですが、方向性がハッキリ振り切られている故嫌味がないのは強みに思えました。


Men's SPIDER BAND 美獣
同名雑誌出身のモデルがメンバーに在籍しているバンド。鑑賞後に知りましたが、元ニュークリッドロマンスのメンバーが居るのですね。
「Vホス系」を売り文句とする雑誌から出てきたからか、こちらも今っぽい印象ながらバンドサウンドメインな演奏だったのですが、同期で重ねられていたギターの音が、たびたびギタリストのソロを掻き消し気味だったのがちょっと気の毒でした。
(1回目のMCで、ボーカルマイクの電源が切れるトラブルもあったのですが、そちらはタイミングのせいか笑いが起こっていたので、逆に美味しかったのかも)

この時間、若干体調が下降気味だったせいもあり、終盤あまり集中して見られなかったのですが、それでもその終わり2曲がメロディアスで印象的だった覚えがあります。


HERE
「無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き」


この記事を書くに当たり当日のメモを参考にしているのですが、このバンドについては↑の1行が目立つように記してあった辺り、相当衝撃的だったと思われれます。
暑苦しくもメロがほんのり和風だったり、それでもやっぱりツインギターのハモリが熱かったり。予備知識皆無でしたが、かなりツボに入りました。

オフィシャルで上がっているPVを貼ってみますよ。ステージ上はこのPV×1.7倍位の運動量(無駄な動き的な意味で)だと思いねえ(確かこの曲も演奏していたはず)。



葵-168-
ステージ上で見るのは2回目ですが、その前回が9年前の涼平在籍時の彩冷える出演イベントだった辺りに、年月の経つ速さを感じたり。
柔らかいボーカルとV系歌謡のクサいメロディーの親和性は良く、安定感すら感じさせるステージングにここでも年月を感じたりするのでした。そう言えば、1曲目に披露された(当時の)新曲「秘すれば花」は、実際に歌謡曲界隈の有名作家だった井上大輔の提供(正確には生前に作っていた未発表曲ですが)だったと知りなるほどと。

名義を168に変えて以降の楽曲のみを演奏するのかと勝手に思っていたのですが、葵ソロで発表された「ビューティーガール」「向日葵」も披露していました。


SPEED-iD feat.RIKIJI
発起人である優朗、HAL両氏が在籍するSPEED-iDはここで登場ですが、今回はゲストメンバーにOblivion DustのRIKIJIを迎えたツインベース、低音マシマシ仕様の布陣。
オフィシャルのFacebookでタイトルだけ公開されていた「Thunderbird」が初めて演奏されたのですが、ゴシック+ロックンロール路線を更に進めたような、優朗さんが更に恰幅の良い69EYESに見えてくるような楽曲でした。
また、この日はle;kaがステージ上を絶えずアグレッシブに動き回っていたのも強烈な印象。

MCでは優朗さんが実弟の件について触れた
「(HIVや自殺などで若くして命を落としたミュージシャンの名を挙げ)若い頃はそれがカッコ良い、フリーキーな生き方だと思っていたが、実際に身内がそうなったらそんな中二病じみた認識はガラガラと崩れ落ちました」
の言葉が重みを持って響きました。
なのですが、その間当の本人はRIKIJIさんと後ろでじゃれあっていたという……(笑
HAL「出た! ドヤベース!」
RIKIJI「ハルがんばってねぇ〜」

見ていた場所が悪かったのか自分が楽器の知識に疎いせいか、ツインベース体制によって楽曲に劇的な変化があったかどうかは、実のところ良く分からなかったのですが;ラストの「DEPTH」イントロでは、普段のベースソロに加えた、RIKIJIさんのゴツゴツと動くプレイを味わうことが出来ました。

・セットリスト
Red Rocket Ride
Thunderbird
(MC)
Justice Without Blood-lust
Kicks Your Freackin' Icon
(MC)
Depth



鈴木晃二
ギター一本のシンプルな弾き語りスタイル。DEEP時代の楽曲「オルゴール」が披露されたりと、今回のイベントのメイン層を意識したサプライズ的なセトリになっていたのでしょうか。
こういうのをじっくり楽しむには、こちらの人生経験がまだまだ足りないのを痛感させられますが、DEEPのCDで聴いた歌声と殆ど年月の隔たりが感じられないのは凄いことなのでしょう。


加藤充 WITH HIS FRIENDS
この日――というかイベント全体で見ても活動歴がぶっちぎりであろう人達。リーダーの加藤充は今年で80歳ですよ。(2013/11/29追記:コメントで加藤さんは75歳であるという指摘をいただきました。検索した所、各種情報サイトで1938年生まれとの表記を確認しましたが、イベント中のMCでは上記の年齢で紹介されていたこともあり、ひとまず併記の形を取らせていただきます)
私を含めリアルタイムでの活動を知らなくとも浸透率が高い、「ガンダーラ」「バンバンバン」等の往年のヒット曲を披露する贅沢なステージで、メンバーたちの余裕と楽しさがこちらまで伝わってくるようでした。唯一(多分)90年代からは「満月の夕」が演奏されたり。黒沢博なんてオヤジギャグをはさみながら、「ノッてるかい?!」「イェーイ!」を何度も振って来るMCなのに、歌うときっちり盛り上げてしまうのだからずるい。そして楽しい。
個人的には、ゴダイゴの方のキーボードプレイに釘付けでした。

また、このバンドは前半後半でメンバーを少し入れ替える2部構成だったのですが、その後半ではHALさんがドラマーとして再び登場していました。

MEMBER
加藤充(ザ・スパイダース)
黒沢博(バニーズ)
ミッキー吉野(ゴダイゴ/ザ・ゴールデン・カップス)
沖津久幸(ザ・ジャガーズ)
佐々木秀実(ザ・フェニックス)
岡忠夫(ザ・カーナビーツ)
ナビゲーション:青木英美
駒野正美
吉岡誠司
Tatsu-G
瀬川真悟
久島勝則
HAL


鈴木新、黒柳能生(SOPHIA)、DEATH-OMASATO(defspiral)
鈴木新を中心にメジャーどころのメンバーが集まったこちらも、このイベントのためのスペシャル編成だったでしょうか。
全て攻撃的な爆走ロックチューンで固めており、ラストには黒夢時代の楽曲「Chandler」も披露。結果的にそこが一番盛り上がっていましたが、ほぼ20年前の曲がそういう存在になっているというのは、前の加藤充バンドのステージを思えば決して悪いことではないはず。


C4
興味はありつつなかなかきちんと触れる機会がなかったC4。
2曲目で同期にトラブルが発生してしまい、短くない時間ライブが中断するトラブルに見舞われましたが、
ボーカルTOKI「えーと……『ストップひばりくん』って知ってますか?」
に始まるMCで笑いを取りつつ繋いでいました。結果的には変に空気が硬くなることもなく良かったのでは。

その同期を効果的に使うサイバー・デジタルな色を加えたアレンジで盛り上げながらも、彼らの根っこの部分はビートロックなのだろうと思わせられる、親しみやすさも感じられました。


河村隆一
大トリはこの方。1日目には室姫深バンドとして真矢が、2日目にはSUGIZOがソロで登場していたからか、「5日間開催だったら、JとINORANもそれぞれ出ていたかもしれませんね」との発言があったり。
新曲リリースやMステ出演も穏やかにサラッと告知してしまう辺り、これがメジャーどころの余裕なのか(そんな

キーボード、ギター2人をサポートにしたアンプラグド仕様での演奏でしたが、初めて生で聴いたその声量とボーカルのブレなさにまず圧倒されてしまいました。
「I LOVE YOU」や「LOVE IS...」、LUNA SEAのセルフカバー「I FOR YOU」等の90年代のヒット曲→カバー→最近の楽曲というセットリストで空気を作る流れも見事。シンプルなアレンジによるスローバラードがメインにも関わらず、個人的に集中が途切れることはありませんでした。
ソロに関しては、90年代の2枚を聴いているのみというミーハー丸出しのアレなのですが、これからでもゆっくり集めてみようかと思わせられるステージでしたよ。

***

振り返ってみても、この規模のハコで(ライブハウスとしてはかなり大型ですが)この規模の面子が見られたというのは、かなり贅沢なことだったのでしょう。個人的に良い出会いだったのはHEREかなぁ。