土屋昌巳『TOKYO BALLET』(1985)

01. SUDDENLY-突然の明日-
02. SILENT HUNTERS
03. LIKE A FOREIGNER
04. THE FOREVER HOUR
05. NIGHT IN THE BABYLON
06. TOKYO BALLET
07. ALIEN
08. MANNEQUIN
09. 最上階のバタフライ
10. UNKNOWN SOLDIER
11. 風石

作詞 01〜03、06〜09:竜真知子 / 04:Tod Barron and Chi / 05:竜真知子、土屋昌巳 / 10:土屋昌巳
全曲作曲・編曲:土屋昌巳
ストリングスアレンジ:Akira Inoue

発売日:1985/06/21
品番:32・8H-37

Vocal、Chorus、Electric Guitar、Acoustic Guitar、Prophet-5、Fairlight C.M.I.、Piano、Rhodes、Pianica:Masami Tsuchiya

Bass(01〜03、06、07):Morio Watanabe
Piano(01、03、04、09)、Prophet-5(01〜07、09、10)、Emulator-II(01、02、04〜07、09、10)、PPG(02、03)、Piano(03、04、09)、Rhodes(03、09)、African Traditional Percussions(05):Akira Inoue
Computer Programming(Fairlight C.M.I.)(01〜08、10)、Computer Programming(Prophet-5)(04、07〜09)、Computer Programming(Casio CZ-101)(08):Takeshi Fujii
Alto Sax(03)、Soprano Sax(06):Satoshi Nakamura
Bass(04、05、08〜10):Hitoshi Watanabe
African Traditional Percussions(04、07、10):Akira Ishikawa
African Traditional Percussions(04、05、07、10):Bebe Hanna
Strings(04、06、09):Joe Strings
Drums(06、08、09):Jun Aoyama
Alto Sax(08):Seiji Toda
Accordion(08):Mari Fukuhara


***

一風堂のボーカリスト・ギタリストとして70年代末から活動し、現在はKA.F.KAのギタリストでもある土屋昌巳が、一風堂解散後の1985年にリリースしたソロ2ndアルバム。
ボーカルは勿論のこと、乾いたギターソロが目立つ楽曲もあるのですが、本作の音作りで中心を占めているのはシンセサイザー。楽器は全くの素人なので、今回分からない単語を調べたら、尽く当時生産されていたシンセだったのですよ……。
当時の使える機能は全て使ってやろう、との意気込みが伺えるような、今聴くとシンプルながらも、様々なフレーズ・リズム音で埋めるようなデジポップナンバーが並んでいます。流石に時代を感じてしまうか、一周回って新鮮に聴こえるかは、聴く方に委ねられますが、個人的には後述のメロディーと相まって、程良く浮世離れしたアレンジに思えてきますよ。

本作を含め、ソロでリリースした作品の多くが、現在廃盤となっていることもあり、現在進行形で土屋さんの音源を追っている最中のため断言は出来ないのですが、80年代半ばという時期もあってか、打ち込みメインのアレンジながらも、歌メロはあくまでも歌謡曲ベースなのも特徴。
土屋さんがライブサポートを務め、前後のソロ作品でもメンバーがゲスト参加しているJAPANからの影響を感じる、ネチっこいベースが目立つスローナンバー「THE FOREVER HOUR」、アラビアン風な旋律が出て来る「NIGHT IN THE BABYLON」や「UNKNOWN SOLDIER」のような楽曲もありますが、それでもメインのメロディーではお醤油の香りがするのが面白いのです。

また、90年代後半辺りのメジャーV系好きには、アルバムタイトル曲であり、SHAZNAがサビ部分を引用しリメイクした「TOKYO BALLET」に耳を引かれるかも。土屋昌巳+SHAZNAというと、一風堂のカバーである「すみれSeptember Love」の方が知名度は高そうですが(当時のSHAZNAの売上げ的にも)、こちらの原曲も、ロマンチックな旋律が映えるスローバラードで、元ネタを遡った方が気に入る確率は高いかもしれません。

カフカが始まる約30年前に、こういうことを演っていたのかと思うと、本当に人に歴史ありだなぁと。
前述の通り、全ての音源を聴けていないと前置きした上で、当時の尖ったアレンジと、メロのとっつきやすさが同居した印象で、土屋さんの関わった音源の中では、入りやすいアルバムになっているかと思われます。

トウキョウ バレエ
土屋昌巳
エピックレコードジャパン
1995-09-21