天照『天翔星使』(2006)

01. 希望ヶ丘
02. 彩
03. 産魂
04. まろがれ
05. 遼かなる大地への讃歌
06. 業
07. 焔
08. 破邪
09. かげろふ
10. 逢魔
11. 五つの海の物語
12. 暁

作詞 01〜08、10〜12:大祀、09:大祀 & 晃
全曲作曲・編曲:大祀

発売日:2006/09/20
品番:TNSR-0021

Members
vocal & background vocals:晃
guitar、programming & background vocals:大祀

bass(02):Syujirow
shouts(03、04):TaKa
drums(05):Takashi Inoue
background vocals(05):Shinko Ishida
chorus(05):JUNZO
chorus(05):Pierre
chorus(05):You
chorus(05):Yusuke
chorus(05):Shuri
drums(06):Key
manipulation(09):Kazutoshi Yokoyama


***

ボーカリストと作曲・ギター・プログラミング担当で構成されるユニット:天照が、2006年にリリースした、1枚目にして現在のところ唯一のフルアルバム。これより前にリリースされたシングル・DVDシングル収録曲が全て収められていること、翌年に活動休止に入ったことなどもあり、ベスト盤的な性格も持っているかもしれません。
休止中における、作曲者:大祀の活動については、一時「天照大祀」名義でソロプロジェクトとしての活動はありつつ、その後はMaitoreiA、ニンジャマンジャパン等に在籍、aki、KAMIJO等へのサポートも行っていましたが、今年(2017年)に入って、ユニットとしての活動を再開させました(この感想を書くにあたって調べていたら復活情報に行き当たり、ちょっと驚いた)。

本作収録のシングル曲については、これを書いている時点で(2017/09)、昔感想を書いた『五つの海の物語』(2006)しか聴けていないのですが、リリース当時に書かれた個人ブログによると(参考1)、他の既発曲も再録されているものが多いようです。


曲名や当時の評判から、V系版姫神のようなサウンドなのかな? と思っていたのですが、蓋を開けてみるとザクザク刻むギターと、硬質なデジタルサウンドを全面に出したアレンジの楽曲がメイン。所謂V系歌唱のやや篭った低音ボーカルに、引きの強い和風メロが乗っている為、ダンス要素を交えた和風インダストリアルロックといった方が良いかもしれません。上述のシングル感想でも述べていましたが、90年代V系が好きな方なら、和風メロ縛りのニューヴォーグと言うと伝わりやすいでしょうか。
シングルを聴いた時は、「破邪」のようにライブでの盛り上げ要因になりそうな、アッパーな曲はアクセント的な役割で、シンセサイザーとコーラスで聴かせる「遼かなる大地への讃歌」、「五つの海の物語」等のニューエイジ要素を導入したアレンジの曲が多いと思っていたため、曲傾向の割合が予想と真逆で驚いた思い出があります。スローテンポな楽曲であっても、「かげろふ」のようにラウドアレンジ+東洋的なメロディーといったように、激しさを全面に出したものもあり、全体的に「攻め」の姿勢が強い作品という印象を受けます(その「かげろふ」には、BUCK-TICK、aki等でサポートを務める横山和俊がマニピュレートで参加)。

個人的に、そのアッパーな曲がやや金太郎飴状態というか、好みなのだけれどもう少し幅が欲しいとも思ってしまいますが、冒頭に述べた通りベスト盤的構成なので、中々難しいところもあったのかも。アレンジやメロディーのバリエーションに関しては、スロー〜バラード寄りの方が印象に残っており、ラストの「暁」は、他曲に比べて柔らかなシンセとビートが前に出ており、歌メロと良い意味で引き算の音作りの取り合わせが成功した1曲だと思っています。

事前の予想とのギャップに戸惑った部分はありましたが、ジャケットやビジュアル、曲名のイメージに沿った曲が並んでおり、和風メロ+デジロックサウンドが好きな方にはお勧めしたいアルバム。現在、大祀さんのYouTubeチャンネルにて、本作収録曲の大半がフル視聴できる状態になっているので(参考2)、その辺りも参考になるかと。

活動再開後は、今の所新曲は出ていないようですが、休止中におけるバンド・サポート活動がどう還元されていくのかも気になります。


天照
Tricycle ENTERTAINMENT
2006-09-20




参考1:天翔星使 (++es croix es++)
参考2:Amaterase DAISHI (YouTube)