V2『背徳の瞳〜Eyes of Venus〜』(1992)
01.背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
02.Virginity
全曲作詞・作曲・編曲:V2
発売日:1992/01/28
品番:ESDB-3266
Members
小室哲哉
YOSHIKI
***
何を今更と思われる向きもあるでしょうが、今回はV2の(現時点で)最初で最後のシングルを。
当時、既に人気グループとしての地位を確立していたTMNの小室哲哉と、知名度を急速に上げていたXのYOSHIKIによって結成されたユニット。TMNのセールスがピークを過ぎていたと感じた小室が、新たなインパクトを求めてYOSHIKIへアプローチをかけたのが結成のいきさつだそうで、小室側がこのプロジェクトを通じて裏方の面白さに目覚めたことが、その後の彼のプロデューサー業に繋がっていったという事で、所謂「小室ファミリー」の原点的な要素があるのかもしれません。
メインを張る小室のうにゃうにゃボーカルについては、そこを得意げに弄っては識者顔――というのが20年前から繰り返されてきたのでしょうが、改めてやるのもそれこそ今更感があるので、今回は深く触れずに。ソロアルバムやglobe、TKプロデュース期の華原朋美等で慣れちゃってるせいもあるかもしれませんけど。
01.背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
ピアノ連弾による穏やかな入りから、シンセとドラムで絶え間なく埋め尽くすようなアレンジへ雪崩れ込むハイスピードナンバー。
メロスピ的な構成やサビメロはYOSHIKIっぽいな、でもシンセの哀愁あるフレーズやドラムと絡む打ち込みリズムのアレンジは小室っぽいな……と両者の持ち味が1曲の中で分かりやすく示されており、双方のファンの琴線に触れてきた楽曲なのではないかと(時折鳴らされる、カキンカキンとした打ち込みには時代を感じたりはしますが)。
今聴くと、こういうアレンジは浅倉大介(具体的にはICEMAN辺り)に受け継がれた気が個人的にはしています。
02.Virginity
硬質なリズムとシンフォニックなアレンジをバックに、女性と会話するYOSHIKIの語りと小室のボーカルが交互に登場するスローバラード。こちらは比較的小室さんの色が強い気がします。ボーカルを宇都宮隆にしたら、そのままTMNの楽曲として通用しそうですが、インダストリアル色も感じるリズムと、優しげなサビメロとの対比がこのユニットとしての色でしょうか。
余談ながら、V系スキーな部分としては「伝説のあの丘」という言葉選びがちょっと面白かったり(V系といったら「丘」なのですよ……ほらこのバンドもあのバンドも)
***
このシングル後、両者の作曲ペースは対照的なものになるため(どっちが良い悪いという話ではなく)、そういう意味でも絶妙なタイミングでの活動だったのかもしれません。10年経って、YOSHIKIがglobeに加入したりもしましたが、あちらも結局1曲のみの参加になっています。
2曲共、長い間本シングルのみに収録されていましたが、2011年にリリースされた小室哲哉のベスト盤『TK BEST SELECTION IN EPIC DAYS』に、「背徳の瞳」がリマスタリングされ収録されたため、タイトル曲だけであればレンタルでも聴きやすくなりました。色々な意味で面白さを含んでいるので、気になる方は今からでも是非。
※おまけ
冒頭で紹介した結成の経緯などが語られている、市川哲史のインタビュー本。
YOSHIKI、小室のみならず、当時のV系とその周辺が面白おかしく(人によっては苦味も)語られています。
01.背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
02.Virginity
全曲作詞・作曲・編曲:V2
発売日:1992/01/28
品番:ESDB-3266
Members
小室哲哉
YOSHIKI
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何を今更と思われる向きもあるでしょうが、今回はV2の(現時点で)最初で最後のシングルを。
当時、既に人気グループとしての地位を確立していたTMNの小室哲哉と、知名度を急速に上げていたXのYOSHIKIによって結成されたユニット。TMNのセールスがピークを過ぎていたと感じた小室が、新たなインパクトを求めてYOSHIKIへアプローチをかけたのが結成のいきさつだそうで、小室側がこのプロジェクトを通じて裏方の面白さに目覚めたことが、その後の彼のプロデューサー業に繋がっていったという事で、所謂「小室ファミリー」の原点的な要素があるのかもしれません。
メインを張る小室のうにゃうにゃボーカルについては、そこを得意げに弄っては識者顔――というのが20年前から繰り返されてきたのでしょうが、改めてやるのもそれこそ今更感があるので、今回は深く触れずに。ソロアルバムやglobe、TKプロデュース期の華原朋美等で慣れちゃってるせいもあるかもしれませんけど。
01.背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
ピアノ連弾による穏やかな入りから、シンセとドラムで絶え間なく埋め尽くすようなアレンジへ雪崩れ込むハイスピードナンバー。
メロスピ的な構成やサビメロはYOSHIKIっぽいな、でもシンセの哀愁あるフレーズやドラムと絡む打ち込みリズムのアレンジは小室っぽいな……と両者の持ち味が1曲の中で分かりやすく示されており、双方のファンの琴線に触れてきた楽曲なのではないかと(時折鳴らされる、カキンカキンとした打ち込みには時代を感じたりはしますが)。
今聴くと、こういうアレンジは浅倉大介(具体的にはICEMAN辺り)に受け継がれた気が個人的にはしています。
02.Virginity
硬質なリズムとシンフォニックなアレンジをバックに、女性と会話するYOSHIKIの語りと小室のボーカルが交互に登場するスローバラード。こちらは比較的小室さんの色が強い気がします。ボーカルを宇都宮隆にしたら、そのままTMNの楽曲として通用しそうですが、インダストリアル色も感じるリズムと、優しげなサビメロとの対比がこのユニットとしての色でしょうか。
余談ながら、V系スキーな部分としては「伝説のあの丘」という言葉選びがちょっと面白かったり(V系といったら「丘」なのですよ……ほらこのバンドもあのバンドも)
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このシングル後、両者の作曲ペースは対照的なものになるため(どっちが良い悪いという話ではなく)、そういう意味でも絶妙なタイミングでの活動だったのかもしれません。10年経って、YOSHIKIがglobeに加入したりもしましたが、あちらも結局1曲のみの参加になっています。
2曲共、長い間本シングルのみに収録されていましたが、2011年にリリースされた小室哲哉のベスト盤『TK BEST SELECTION IN EPIC DAYS』に、「背徳の瞳」がリマスタリングされ収録されたため、タイトル曲だけであればレンタルでも聴きやすくなりました。色々な意味で面白さを含んでいるので、気になる方は今からでも是非。
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※おまけ
冒頭で紹介した結成の経緯などが語られている、市川哲史のインタビュー本。
YOSHIKI、小室のみならず、当時のV系とその周辺が面白おかしく(人によっては苦味も)語られています。
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