優朗「UNHOLY2」(1998)

01:EVIL MOON RISING
02:BLACK OUT RIPPER 〜灯火管制下の殺人鬼
03:悪魔の庭 〜親愛なるローズ・マリー
04:QUEER
05:黒いダリア
06:デュッセルドルフの吸血鬼

全曲作詞・作曲・編曲:優朗



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殺人をテーマにした、SPEED-iDのボーカル優朗のソロCD。1998年リリース。
タイトルに合わせたのか発売日が12月25日でした。
前作「UNHOLY」同様、ほぼ優朗一人で作られています。
1,2,3,4,6は1999年に出たSPEED-iDのアルバム「UNHOLY NIGHT」に、更に1,2は2007年の「iNDEEP」、2008年の「iNDEEP lp“15th Anniversary・Edition”」にそれぞれバンドバージョンとして新録されています。

以下各曲について。
01:EVIL MOON RISING

エフェクトがかかったボーカルが乗ったダークな疾走曲。
歌詞で扱われているのは、「サイコ」のノーマン・ベイツや「羊達の沈黙」のバッファーロービルのモデルとなったエド・ゲイン
次のBLACK OUT RIPPERと合わせて3回も新録された曲ですが私もかなり好きな曲です。


02:BLACK OUT RIPPER 〜灯火管制下の殺人鬼

1曲目からノンストップで始まり更に疾走します。
ライブでもEVIL MOON〜BLACKOUTの流れで演奏されることが多い、盛り上がりのある曲です。
「BLACK OUT RIPPER」とは第二次世界大戦中のイギリスで連続殺人を行なったゴードン・フレデリック・カミンズのこと。
この頭2曲に関しては「UNHOLY NIGHT」のバージョンの方が好きなのですが、あちらは英詩なので、危ない歌詞に浸るにはこちらの方が向いているかもしれませんw

03:悪魔の庭 〜親愛なるローズ・マリー

スローに重たく展開する曲。
テーマは自身の娘を含む女性連続殺人犯フレデリック・ウェスト及び妻ローズマリー・ウェスト
低く吐き出すようなボーカルがフレデリックの歪んだ愛情を歌っています。


04:QUEER

ポップな曲なんですが、バックでギュイギュイ言っているノイズ音が気になりますw
同性愛について歌われた曲ですが、誰が特定の人物がモチーフになっているかはちょっと分かりませんでした。
このCDを最初に聴いたときに色々調べた筈なんですけどね;
尚、「UNHOLY NIGHT」のバージョンでは大幅にアレンジが変わっています。


05:黒いダリア

小説・映画にもなったアメリカの殺人事件、ブラック・ダリア事件がテーマ。
この事件は犯人が見つからずに迷宮入りしたのですが、この曲はその犯人からの視点で歌われています。
ギターの音が耳に残る、どちらかというと優しい雰囲気の曲ですが、そこに殺害状況を連想させる歌詞が載っているのがゾッとするというか。


06:デュッセルドルフの吸血鬼

ほぼ語りで構成された、ドイツの連続殺人犯ペーター・キュルテンをテーマにした曲。
処刑される直前の彼の心情を歌っています。
とにかく暗い! そして重い! そして長い!
トータルで10分超えます。最後まで聴くとぐったりしますが多分それが正しい聴き方だとも思います。
終盤一番盛り上がる部分では、前作「UNHOLY」内の「冷血 part2」の歌詞「我ガ 名ハ 冷血 目覚メヨ」が再び登場します。


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激しい曲と重たい曲の差が大きいアルバムですが、現在でもSPEED-iDで演奏される曲の元曲が結構入っています。
ソロ3作の中では、最初に聴いた優朗のソロCDというのもあり思い入れも結構大きかったりします。
たまに中古で見かけるので打ち込みメインの優朗バージョンが聴いてみたい人や、ノンフィクションの人殺しソングに興味のある人はどうぞ。