V.A.「NEW AGE PROTO-CULTURE 〜第一楽章〜」(2011)

01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
02.maggot therapy / 礎-stela-
03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
04.With you / CresCod'A
05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel

発売日:2011/05/01
品番:GRVA-001


***

いわゆる同人音楽界隈で活動するビジュアル系バンドが参加したオムニバスアルバム。Gravelが主催ということで購入してみましたが、アルバムタイトルといい「砂利を握れ」という帯の文句といい、やはりその時期のV系へのリスペクトが強いということでしょうか。元ネタのニューエイジカルチャーは手元にないのですが、ジャケットデザインもかなり近かった気が。
因みに、Gravel以外は全て初聴のバンドとなります。

以下各曲について。


01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
作曲・編曲:Winna_Strive

Winna Striveさんのソロ? という事で良いのでしょうか。
流麗でシンセが映える疾走インストとなっており、2分足らずの尺ながらメロディーはかなり耳に残るものがあります。この手のオムニバスでは、時々こういうシンセメインのインストが1曲目に入ったりしますが、本作もそれを意識して参加を打診したりしたのでしょうか。オフィシャルサイトで視聴した所、この手のクラシカルな曲がメインみたいですが。
また、この曲は同年8月にリリースされたArk of Pantasmのアルバム「Sphere」にも収録されています。

オフィシャルサイト


02.maggot therapy / 礎-stela-
作詞・作曲:stela

ブックレットのそれらしい注意書きや冒頭の攻撃的な流れに、医療系コテバンドかと思っていたのですが(実際前半はそんな曲調)、テンポを落としてゆったり歌い上げたり、突如シャッフルパートに突入したりと、なかなかにカオスな楽曲になっていました。作り手が通ってきたV系遍歴があらわれている…のかなぁ? サビでは激しく展開するため、全体の色としては、やはりダーク・ハードな印象があります。

03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
作詞・作曲:Gravel

こちらはGravelのカバー。原曲は現在「懺悔ノ終幕」で聴く事が出来ます。
こちらのボーカルは低音で艶のあるヴィジュ声なので、この手の「途中までハードに展開し、サビで一気にメロディアスになる」王道曲にはバッチリ合っている印象が。特にそのサビメロの盛り上がりに関しては原曲以上なんじゃないかとも…w ただ、サビ前のシャウトパートをはじめ、砂利度(?)がGravelに比べると大人しい印象もあるので、そこはそれぞれでしょうか。
また、間奏にジャジーなギターソロが入ったり、語りパートが結構前に出ていたりと、細かい所もアレンジしています。

オフィシャルサイト
myspace


04.With you / CresCod'A
作詞・作曲:naduki、編曲:CresCod'A

キャチーなサビや跳ねたリズムが印象的なポップチューンですが、ピアノをバックにデス声を挿入するパートや、ラウド的なあったりと、こちらも中々展開が多い楽曲になっています。録音環境の問題か、前2組に比べて音が篭っているので、流れで聴くと気になる人はいるかもしれません。ボーカルもベタッとした歌い方で、正直上手いとは思わないのですが、音質と相まってMissalina Reiが初期の音で後期の曲をやったらこうなる…みたいな面白さもあったり。ボーカルさんの声がありすがわ氏を思い出させるのですよ…w(ツイッターの方でもそんな感想を目にした覚えが)。

05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
作詞・作曲:Gravel

Gravelのカバー。こちらも原曲は「懺悔ノ終幕」に収録されています。
こちらもV系の王道疾走ナンバーで、構成は原曲とほぼ同じに聴こえるのですが、前述の音質的な要素によって、良い感じに当時のデモテープに入っていそうな音作りになっているのが素敵。

オフィシャルサイト


06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
作詞:瑠那、作曲・編曲:胡桃坂庵

Gravelの瑠那(ボーカル)、その瑠那さんが参加している「世の漆黒」の庵(ギター)らによる、本作限定? のバンド。キラキラしたシンセが舞うメロディアスな疾走曲になっており、現在のシーンを意識したようなラウドチックなギターのパートがあったり、V系とアニソンの良いトコ取りのような歌謡曲的なキャッチーなサビメロが展開されているのが印象的。中盤にクラシカルな旋律をバックに語りパートが入っているのにもニヤニヤさせられます(女声の英語ナレーションパートは、Ark of PhantasmのWinnaさんが翻訳を担当)。
この曲で世の漆黒が気になり、夏コミでCD買ってみたりしましたよ。

世の漆黒オフィシャルサイト


07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
作詞・作曲:瑠那、編曲:胡桃坂庵

ギターで引っ張るイントロが90年代っぽくてたまらないポップチューン。サビメロ・ギターソロを始めとして、とにかくメロディーが全編に亘って切なさ全開! といった感じで、ジャリバン云々のコンセプト抜きにしても普通に好みに入っていたり。個人的には前のヴュートセレスト〜と合わせて、本オムニバスのトップになっています。

08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel
作詞・作曲:CresCod'A

CresCod'Aのカバー。原曲はシングル「pastelChime」に収録されています。てかライブのMCっぽい語りから始まるイントロ、ROUAGEの「Cry for the moon」をまるっと引用しているとしか思えないんですがww
原曲を聴いていないので比べられないのですが、Gravelオリジナルの前曲と同系統の、切ないメロディーが前に出た疾走曲だからか、すんなり好みに入った曲になりました。終盤、ボーカルの高音がかなり苦しそうなのがちょっと残念ですが、当時のバンドもライブ映像観ると軒並みヘロヘロだったりするので、もしかしたらワザとかもしれません。

オフィシャルサイト
myspace

***

聴く前の想像より、若干幅広いバンドが参加してきた印象でしたが(キーパやMatina等、あの辺は後追いで聴いているので感覚が違う所はあるかもですが)、2010年代に入ってこういう音作りをしているバンドで、オムニバスを作るというのはやっぱり素敵な事なんじゃないかなと思うのです。
手に取りやすい値段設定ですし、ジャケットや曲タイトルで匂いを嗅ぎ取った方も是非。


napc1

ルーシーズポケット
D-STAGE
あきばおーこく

YouTube(公式)