一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

タグ:Gravel

Gravel「朦朧の虜」(2011)

01.「"」
02.M帰還
03.in sult-Vipper
04.Suffer scare syndrome
05.神が堕ちたアノ日

作詞 01、02:流/03、05:瑠那
作曲 01:流/02〜05:瑠那

発売日:2011/10/30
品番:GRV-006


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懐古主義的同人V系バンド「Gravel」の2ndミニアルバム(CD-R仕様)。メンバーが流、瑠那の二人になってから初めての単独音源になりますが、今回のテーマは「ジャリ名古屋系」らしく、2000年前後に於けるそちら方面のバンドへのオマージュが多いみたいですよ。てかジャケットは思いっきりPhobiaの「妄想の虜」を意識、アルバムタイトルは「妄想ノ〜」+kein「朦朧の実」でしょうし、曲タイトルもフォービア・Lamiel辺りから持ってきているっぽいですし……あぁ、ドーナツレコード……。
今作は鋭いギターとリズムが前に出た、ダーク・ハード寄りの音作りになっている印象で、そちらも今作のテーマに沿っているのかなとも思うのですが、私自身はあまりそちら方面に詳しくないので(keinとかプレミア値だしなぁ;)、取り敢えず普通に感想を書いていきますよ。

以下各曲について。


01.「"」
鐘の音や嵐、不気味なメロディーのピアノ等をバックに語るダークな雰囲気のSE。何となく、某マディスのデモテープのオープニングもこんなだったかなぁ……と思ったり。でもタイトルの元ネタは「妄想〜」収録の「’」だと思われます(あっちはボーカル曲ですが)。
後、最後の台詞は……シクマ○タトキ?w

02.M帰還
こちらもタイトル元ネタは「妄想〜」収録の「S帰還」からでしょうか……って冒頭数秒のドラムが全く一緒だこれー!?
いざ曲が始まると展開は全く異なり、どこかウネウネとした音色のギターと、呻くようなボーカルが絡む攻撃的な曲調になりますが、そちらもPhobia…というか当時のドーレコの主流を意識しているのでしょうか。サビではダークながらメロディアスな展開になりますが、そこでもバックを呻きシャウトが占めている為か、やはり全体的には攻撃的な雰囲気が。Aメロ後半に一瞬メリゴのG.○.Dっぽさを感じたり、後半は疾走しスーサイダイ! したりと、3分半の尺ながら結構展開が多い印象があります。

03.in sult-Vipper
タイトルはLamielの「in sult-Viper」から持ってきているのでしょうが、pが一つ増えるだけでここまで字面の空気が変わるとは…w
こちらもウネウネテロテロしたギターが印象的ですが、曲調はアッパーでポップになっています。サビメロもどこかで聴いた事がある気がするけどパクリではない、という良い塩梅な王道具合が素敵で、その後テンポを落としクラシカルなメロを展開する大サビもツボ。ただ、メロディアスな曲にしてはボーカルが奥に引っ込んでいるのがちょっと残念でしょうか(本作全体に言えることなんですが)。当時のデモテープを聴いている様な気分にもなるので、音のバランスは敢えての狙いなのかもしれませんが。

04.Suffer scare syndrome
今回も来ましたツタツタ発狂曲。エフェクトかけたギャウギャウシャウト! 無闇に猟奇的な歌詞!! そしてマディス辺りを彷彿とさせる、ちょっとモゴモゴした歌い方と、その徹底ぶりにニヤニヤが止まりません。ダウナーな語りパートにて煽りが繰り返され、シャウトの冒頭でバンギャルさん達が逆ダイする光景が目に浮かぶ……w そしてこのまま突き抜けて終了かと思いきや、ラストのドラムソロが某Dirのとりk――おや誰か来たようだ
尚、タイトル元ネタはkein「Keen scare syndrome」でしょうか。

05.神が堕ちたアノ日
ラストは開けた感のある、ツインギターで引っ張る疾走メロディアスチューン。タイトルはLamiel「空が堕ちるアノ日」が元ネタかと思われます(例によってそちらは聴けていないですが…)。
本作と前後して、作曲者の瑠那さんが参加している「世の漆黒」や「さくらソルフェヰジュ」の音源も聴いてみたのですが、この曲は女性ボーカルを乗せてアレンジしても普通に通用しそうな、切なくキャッチーなメロディーが前面に出た(3曲目で述べた通りボーカルは引っ込んでますが)90年代臭溢れる1曲という印象を持ちました。

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個人的に特に明るくない方面ながら(つい最近になってdeadmanのアルバム聴いたりする程度のアレ)、ジャリバンとしての徹底ぶりと併せて(最早普通に格好良いとも思いつつある)、オマージュ先を探る面白さも幾つか感じられましたので、そちら方面のバンドを熱心に聴いていた/いる人は更に楽しめるのではないでしょうか(下にリンクを貼った、特設ページのフライヤー画像もなかなか……w)。
取りあえず私は、「妄想ノ虜」を改めて聞き直してみる事にします。


mourounotoriko


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V.A.「NEW AGE PROTO-CULTURE 〜第一楽章〜」(2011)

01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
02.maggot therapy / 礎-stela-
03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
04.With you / CresCod'A
05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel

発売日:2011/05/01
品番:GRVA-001


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いわゆる同人音楽界隈で活動するビジュアル系バンドが参加したオムニバスアルバム。Gravelが主催ということで購入してみましたが、アルバムタイトルといい「砂利を握れ」という帯の文句といい、やはりその時期のV系へのリスペクトが強いということでしょうか。元ネタのニューエイジカルチャーは手元にないのですが、ジャケットデザインもかなり近かった気が。
因みに、Gravel以外は全て初聴のバンドとなります。

以下各曲について。


01.邂逅への扉 / Ark of Phantasm
作曲・編曲:Winna_Strive

Winna Striveさんのソロ? という事で良いのでしょうか。
流麗でシンセが映える疾走インストとなっており、2分足らずの尺ながらメロディーはかなり耳に残るものがあります。この手のオムニバスでは、時々こういうシンセメインのインストが1曲目に入ったりしますが、本作もそれを意識して参加を打診したりしたのでしょうか。オフィシャルサイトで視聴した所、この手のクラシカルな曲がメインみたいですが。
また、この曲は同年8月にリリースされたArk of Pantasmのアルバム「Sphere」にも収録されています。

オフィシャルサイト


02.maggot therapy / 礎-stela-
作詞・作曲:stela

ブックレットのそれらしい注意書きや冒頭の攻撃的な流れに、医療系コテバンドかと思っていたのですが(実際前半はそんな曲調)、テンポを落としてゆったり歌い上げたり、突如シャッフルパートに突入したりと、なかなかにカオスな楽曲になっていました。作り手が通ってきたV系遍歴があらわれている…のかなぁ? サビでは激しく展開するため、全体の色としては、やはりダーク・ハードな印象があります。

03.staurophobia(Gravel cover) / 礎-stela-
作詞・作曲:Gravel

こちらはGravelのカバー。原曲は現在「懺悔ノ終幕」で聴く事が出来ます。
こちらのボーカルは低音で艶のあるヴィジュ声なので、この手の「途中までハードに展開し、サビで一気にメロディアスになる」王道曲にはバッチリ合っている印象が。特にそのサビメロの盛り上がりに関しては原曲以上なんじゃないかとも…w ただ、サビ前のシャウトパートをはじめ、砂利度(?)がGravelに比べると大人しい印象もあるので、そこはそれぞれでしょうか。
また、間奏にジャジーなギターソロが入ったり、語りパートが結構前に出ていたりと、細かい所もアレンジしています。

オフィシャルサイト
myspace


04.With you / CresCod'A
作詞・作曲:naduki、編曲:CresCod'A

キャチーなサビや跳ねたリズムが印象的なポップチューンですが、ピアノをバックにデス声を挿入するパートや、ラウド的なあったりと、こちらも中々展開が多い楽曲になっています。録音環境の問題か、前2組に比べて音が篭っているので、流れで聴くと気になる人はいるかもしれません。ボーカルもベタッとした歌い方で、正直上手いとは思わないのですが、音質と相まってMissalina Reiが初期の音で後期の曲をやったらこうなる…みたいな面白さもあったり。ボーカルさんの声がありすがわ氏を思い出させるのですよ…w(ツイッターの方でもそんな感想を目にした覚えが)。

05.傀儡人形-マネキン-(Gravel Cover) / CresCod'A
作詞・作曲:Gravel

Gravelのカバー。こちらも原曲は「懺悔ノ終幕」に収録されています。
こちらもV系の王道疾走ナンバーで、構成は原曲とほぼ同じに聴こえるのですが、前述の音質的な要素によって、良い感じに当時のデモテープに入っていそうな音作りになっているのが素敵。

オフィシャルサイト


06.LEGEND OF BLUE ROSE / ヴュートセレストcrossfade世の漆黒
作詞:瑠那、作曲・編曲:胡桃坂庵

Gravelの瑠那(ボーカル)、その瑠那さんが参加している「世の漆黒」の庵(ギター)らによる、本作限定? のバンド。キラキラしたシンセが舞うメロディアスな疾走曲になっており、現在のシーンを意識したようなラウドチックなギターのパートがあったり、V系とアニソンの良いトコ取りのような歌謡曲的なキャッチーなサビメロが展開されているのが印象的。中盤にクラシカルな旋律をバックに語りパートが入っているのにもニヤニヤさせられます(女声の英語ナレーションパートは、Ark of PhantasmのWinnaさんが翻訳を担当)。
この曲で世の漆黒が気になり、夏コミでCD買ってみたりしましたよ。

世の漆黒オフィシャルサイト


07.眠り誘う菖蒲 / Gravel
作詞・作曲:瑠那、編曲:胡桃坂庵

ギターで引っ張るイントロが90年代っぽくてたまらないポップチューン。サビメロ・ギターソロを始めとして、とにかくメロディーが全編に亘って切なさ全開! といった感じで、ジャリバン云々のコンセプト抜きにしても普通に好みに入っていたり。個人的には前のヴュートセレスト〜と合わせて、本オムニバスのトップになっています。

08.Winter dust(CresCod'A Cover) / Gravel
作詞・作曲:CresCod'A

CresCod'Aのカバー。原曲はシングル「pastelChime」に収録されています。てかライブのMCっぽい語りから始まるイントロ、ROUAGEの「Cry for the moon」をまるっと引用しているとしか思えないんですがww
原曲を聴いていないので比べられないのですが、Gravelオリジナルの前曲と同系統の、切ないメロディーが前に出た疾走曲だからか、すんなり好みに入った曲になりました。終盤、ボーカルの高音がかなり苦しそうなのがちょっと残念ですが、当時のバンドもライブ映像観ると軒並みヘロヘロだったりするので、もしかしたらワザとかもしれません。

オフィシャルサイト
myspace

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聴く前の想像より、若干幅広いバンドが参加してきた印象でしたが(キーパやMatina等、あの辺は後追いで聴いているので感覚が違う所はあるかもですが)、2010年代に入ってこういう音作りをしているバンドで、オムニバスを作るというのはやっぱり素敵な事なんじゃないかなと思うのです。
手に取りやすい値段設定ですし、ジャケットや曲タイトルで匂いを嗅ぎ取った方も是非。


napc1

ルーシーズポケット
D-STAGE
あきばおーこく

YouTube(公式)

Gravel「So white love story -2ND SEASON-」(2010)

01.冷たい肖像 -LU-NA VER.-
02.Cry for Christ -RYU VER.-
03.Fiction-判決- -華脛 VER.-

作詞 01:華脛、LU-NA/02:LU-NA/03:RYU
作曲 01:LU-NA、華脛/02:LU-NA/03:LU-NA、RYU
編曲 01。02:LU-NA/03、RYU、LU-NA

発売日:2010/12/31


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出ている枚数が少ないので早目に感想を…と思っている間に、他のサイトさんにも熱いレビューが載ったりと後乗せサクサク感爆発ですがご勘弁を(苦笑)
所謂同人音楽シーンで「past times memories of visual rock」を売り文句に、90〜00年代初めのインディーズV系(彼ら曰く「ジャリバン」)の音を今に体現している、RYU、華脛、LU-NAによるグループ「Gravel(グレーベル)」の3曲入りCD-R。こちらは2009年にリリースされたCD-R「So white love story -冷たい肖像-」のリメイクとなっており、自分はリメイク前の音源を聴いていないのですが、ボーカルは新録・ミックスもし直しているそうです。

以下各曲について。


01.冷たい肖像 -LU-NA VER.-
透明感のあるシンセが乗った疾走メロディアスチューン。ギターもジャキジャキ刻まれる方とクリーンな音色を弾いている方に分けられていたりと、正に白系疾走曲ど真ん中といった感じです。サビメロも切なさ全開、ラスト前にはシンセメインでテンポを落とし壮大感を出したりと、当時の王道の匂いがプンプンしますよ。ボーカルは物凄く上手い! …という事ではなく、序盤はちょっと走り気味にも思えますが、これさえも計算だったとしたら恐ろしい…w

02.Cry for Christ -RYU VER.-
デジタルチックなイントロから一気に激しく展開する、こちらはダーク寄りのアッパーな楽曲。
このシャウトが! 今のスタンダードである「ヴォーイ! ヴォーイ!」ではなく、エフェクトのかかった「ギャゥア! ギャゥア!」なシャウトが!! こちらの歌い方も、如何にも当時のダークV系ボーカリストだなぁとニヤニヤしてしまいます(いや、某アリエネマリアージュのノーマル歌唱なんて、最初聴いた時は引っくり返りそうになったものですよ…)。サビではどキャッチーなメロディーで疾走するのもツボ。いや本当たまらないですこれ。

03.Fiction-判決- -華脛 VER.-
ダダダダッ! ダダダダッ! というリズムが印象的な、こちらもエフェクトがかかったシャウトと早口の語り全開の、1分ちょっとの短い発狂曲。歌詞は勿論「アーティストの意向により歌詞未掲載」
この曲、タイトルはROUAGEの「Creation -審判-」が元ネタなのかな? と思ったのですが、曲調と尺は寧ろ「ファンクション」っぽい気がします。

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私があの頃のインディーズV系(ジャリバン?w)に手を出し始めたのが、オサレ系が躍進し始めた2002年頃からなので、正確にはリアルタイムで体験している訳ではないのですが; それでも彼らが、当時の音が好きで好きでその香りを体現しようとしているのは、懐かしさと共に感じる事ができました。
現在はインディーズでも音圧バッチリのメタル・ラウド寄りのバンドが多いように思いますし、現役のバンギャルさんが聴いて気に入るかまではちょっと分かりませんが、一昔前のインディーズV系に通っていた人ならば、ニヤニヤ出来る事間違いなしだと思いますよ。3曲300円という値段も、V系界隈の搾取値段に疲れたお財布に優しいですし(笑) こちらが気に入った人は、2009年に出たベスト盤「懺悔ノ終幕」の方もお勧めです。

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あきばおーこく
ルーシーズポケット

オフィシャルサイト(試聴あり)
Myspace

※参考リンク
番外編:Gravel『懺悔ノ終幕 〜神従者ガ通リ過ギタ痕〜』 (pinkblood/管理人:行様)
懐古主義的V系同人音楽制作集団「Gravel」 (ヴィジュアル系CDショップ 販売&買取 ルーシーズポケットのブログ/上記通販サイト「ルーシーズポケット」店長氏のブログ)

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