一人で全部食べるのかい?

CDの感想を中心に…なったら良いなぁ……

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love solfege'「Reception for witnesses」(2011)

01.bourree
02.濛々たる黒煙は咲き〜hard-seasickness Pf&Dr ver.
03.菫
04.√48色の虹が映った水たまり
05.Vanity Clock
06.Il Mondo dei Sogni
07.MONOPOLE/ANNIHILATION
08.tiny navigation

作詞 01:オーギュスト棒(訳詞:Simona Stanzani Pini)/02、03、05:紺野比奈子/06:Simona Stanzani Pini/07:神田川雙陽/08:ぬきちゃん。
全曲作曲・編曲:オーギュスト棒

発売日:2011/08/13
品番:KDR-073


***

ジャケットイラストのおじいちゃんが渋い、love solfege'2011年の新作。本当は春頃リリースの予定だったのですが、震災の影響で夏に延期されたそうです。今作もクラシカル要素を多分に含んだ楽曲が詰まっており、その辺りは安心クオリティーでしょうか。

以下各曲について。


01.bourree
ボーカルは綾野えいり。
クラシック曲のアレンジと言われたら信じてしまいそうな、オペラティックなボーカルとストリングスによって構成された前半部、バックが打ち込みリズムメインなダンサブルなアレンジに切り替わる後半部で構成されたクラシカルな楽曲。音数はシンプルですがそのボーカルの存在感には圧倒されるものがあり、アルバムのオープニング的な2分半という尺ながら大きなインパクトを残す1曲なのではないでしょうか。

02.濛々たる黒煙は咲き〜hard-seasickness Pf&Dr ver.
2ndベストアルバム「Requiem」収録曲の別バージョン。ボーカルはRita。
現時点でRequiemが手元にないため聴き比べは出来ないのですが、サブタイ通りピアノとドラムが乱舞するジャジーでパワフルな雰囲気の楽曲になっている印象があります。ボーカルもえげつなくならない程度にパンチが効いた歌い方をしており、曲調に合っているのではないかと。
そう言えば、オーギュスト棒氏のブログによるとジャズシーンで有名なドラマーの協力を受けながらアレンジを行った曲なのだそうですが、そこまでしながらゲストドラマーを入れないのは逆に打ち込みへの強い拘りがある……という事なのでしょうか。別に打ち込みリズムがショボいとか言いたい訳では全然なくて、録音の知識が皆無な人から見た単純な疑問というか。

03.菫
ボーカルは真理絵。
大仰なオーケストラサウンドからスタートする、切なくクラシカルなメロディーが前に出たポップチューン。ストリングスやピアノ、ボーカルの流麗なメロにツボを押されまくり(中盤のピアノソロがまた良いんだ)で、個人的には全編聴きどころと言って良い位、本作中最も掴まれた曲だったりします。クラシカル+ポップの取り合わせが好きな人にはたまらないのでは。

04.√48色の虹が映った水たまり
頭3曲がそれぞれ違った方向に濃かった為、ここらで落ち着きを……という事かどうかは分かりませんが、優しくちょっと懐かしいメロディーが心地良いピアノソロ曲となっています。

05.Vanity Clock
ボーカルは鮎。
ダンサブルなリズムに乗って、チェンバロやストリングスをメインにしたメルヘンチックなアレンジが楽しいポップチューンですが、曲の進み盛り上がるにつれ忙しなくなる鳩時計の音といい崩壊を始める歌詞といい、どんどん不気味な印象が募るのですが…。変な言い方ですが、ボーカルも見えない力に無理やり明るく歌わされているような気がしてきてもうね、もうね!(褒めてます)。「みん○のうた」で子供にトラウマを残すような曲として使われそうな方向というか、とにかくこちらも本作中において深く好みに入った曲となりました。

06.Il Mondo dei Sogni
ボーカルは綾野えいり。
1曲目同様オペラティックなボーカルが映える、ピアノメインのシリアスな雰囲気の三拍子バラード。サビでの壮大な盛り上がりにも重厚感を感じます。折り畳み先で触れているカラオケ音源もなかなか聴き応えありますよ。

07.MONOPOLE/ANNIHILATION
ボーカルは桜庭わかな。
バキバキした打ち込みと気怠げなボーカルの対比が印象的なデジポップチューン。アップテンポでシンセも結構派手ながら何処か沈んだ空気や、サビのクラシカルで軽快な歌メロ+中盤におけるピアノのフレーズが好みを突いてきます。ラストで突然テンポアップするのにちょっとびっくりしたり。濃いバラードに挟まれていますが、中々の変態振りを発揮している曲ではないでしょうか。

08.tiny navigation
ボーカルは楠鈴音。
ラストは壮大なオーケストラサウンドと包み込まれるようなコーラスをメインとしたスローバラード。Il Mondo〜が硬質で凛としたイメージなら、こちらは優しく穏やかな色が強いでしょうか。個人的に間奏のピアノソロ→多重コーラス→ラストのサビへの大団円的な流れが王道感あって好きだなぁと。

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前作「墟律のサンプル」から再び楽曲の色を絞ってきたのかな? とも思えますが、クラシック要素を基盤にしつつ聴きやすさも維持しているのは変わらないと思いますので、安定してお勧めできるCDになっていますよ。そろそろ電波電波した曲も聴いてみたいですけれど…w


アルバム特設ページ(試聴あり)
love solfege

オフィシャルサイト
Kodomore Records

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love solfege'「墟律のサンプル」(2010)

01.墟律のサンプル
02.Cronaca dell'Akasha
03.アルカナの祈り
04.iota-theta
05.褪色回廊
06.somnium vitium
07."Land art"
08.MEMORANDOOM

作詞 02:Laura Baggio/03:ぬきちゃん。/05:リチャード・チャーン/06:Jenya/07:鮎/08:神田川雙陽
全曲作曲:オーギュスト棒
全曲編曲:auguste beau、namanie banzaburo

発売日:2010/08/14
品番:KDR-072


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作曲を手掛けるオーギュスト棒(松本慎一郎)を中心とした「love solfege'」が2010年にリリースしたアルバム。5年程前からハマっていたのですが、感想を書くのは初めてですね。
結成10周年ということで、原点回帰的な方向で作っていたらしいのですが、聴く方にとっては今作も複数の女性ボーカルを迎え、クラシカルな要素をふんだんに使いながら聴き心地はポップに仕上がっているアルバムという感じを受けます。前作よりは少しカラフルな気もしますが。

以下各曲について。


01.墟律のサンプル
ボーカルは鮎。
壮大なイントロを抜けて、アップテンポな打ち込みリズムと、クラシカルなシンセのフレーズ・怪し気ですが流れるような歌メロが交差する楽曲。終始シリアスな雰囲気ですが、メロディーが立っているので聴きやすいと思います。そのボーカルですが、ずっと歌詞なしのコーラス(造語かも)で通しています。何と言ってるんだろう…。

02.Cronaca dell'Akasha
オペラティックな出だしからノックアウトされました…綾野えいりパネェ。少しダンサブルなデジタル音と、これでもかとばかりに使われるオーケストラ音によるクラシカルなメロディーの絡む壮大な曲ですが、その絡みがもうツボ過ぎます。透明感と力強さを持ったボーカルもバッチリハマっていると思いますし(途中の多重コーラスがまた凄いんだ)、8分近い曲にも関わらず、殆どスピードを落とさず開放的なアレンジで突き進むのも振り切った感じでたまりません。個人的に本作ではぶっち切りで好みですね。
…テンションに任せたら絶賛ばかりに(苦笑)。とりあえず、自分が「Mignon」でlove solfegeを知った時の衝撃を思い出させる程の曲だったという事でひとつ。

03.アルカナの祈り
ボーカルは真理絵。
切ないストリングスのメロディーが映えるイントロから始まる、打ち込みビートが目立つこちらもオペラ寄り(ボーカルがすっきりした声の人なので、どちらかと言えばミュージカルかな?)な楽曲。クラシカルなギターのフレーズも入りますが、どちらかと言うとキーボード主体のシネマロック…ってこれじゃAMADEUSだwクラシカルポップスですね。ストーリー性が強そうな歌詞もあって、メロディアスながら何処か悲壮な雰囲気も。こちらも8分近くあります。

04.iota-theta
軽快なピアノ演奏によるインスト。2分半程の曲ですが色々やっています。

05.褪色回廊
ボーカルは楠鈴音。
輪唱コーラスによるメロディーが可愛らしくも癖になるポップチューン。パキパキした打ち込みから、サビでは一転して大仰なオーケストラアレンジ、一部では民謡っぽい音も入ったりと展開の緩急が面白いです。作曲者、オーギュスト棒氏のブログによると、この曲は1時間半でレコーディングが終わったとか。

06.somnium vitium
打ち込みリズムと、クールなJenyaのボーカルが前に出た、R&B色の強い楽曲。淡々と進行する印象のポップチューンですが、サビはキャッチーだったりスタイリッシュな流れに溶け込みながらもピアノソロはやっぱりクラシカルだったりと、その辺の主張はしている気がします。

07."Land art"
こちらも全曲の流れを汲んだような、軽快なリズムで引っ張る曲調ですが、要所要所で叙情的なメロディーを奏でるアコギや(一部ではチェンバロっぽく聴こえたり)、ボーカルが綾野えいりという事もあってか印象は結構異なります。こちらはクラシカルな要素がより前に出ているような。「Cronaca〜」が即効性に長けているなら、こちらはスルメ型の楽曲でしょうか。

08.MEMORANDOOM
ボーカルは桜庭わかな。
流麗なピアノと弦音によるイントロから、ループするデジタルサウンドに気怠げなボーカルが乗って展開するダンサブルな楽曲。ですがサイバー色がなく、寧ろ妖し気な空気がプンプンなのは、ボーカルの声質が妙にエロい(個人的に)のと、その歌メロの引きが強いからなのかなと思ったり。コーラスも裏で複雑に絡み合っています。終盤は再びピアノ中心のパートになり厳かに終了。

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個人的には02、03が頭抜けて好きですが、他の曲もクラシカルなメロディーをうまく織り混ぜた聴きやすい楽曲が揃っているのではないでしょうか。作り手からすると難しいことを色々試しているようですが、自分みたいな音楽理論が全く分からない人にも、小難しくならずちゃんとポップスとして成立しているのは好印象。
自分が聴いてきた限りでは、1枚気に入れば自動的に他のCDもハマるグループだと思うのですが、本作は最近のアルバムの中でも入りやすくなっている気がします。ディープ過ぎるのは苦手だけど、クラシカルなメロディーが入ったボーカルものってないかな…と思っている人は一度お試しを。

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アルバム特設サイト(試聴あり)
love solfege’

オフィシャルサイト

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